〈最終回〉約束の地 只見 「イスカンダル」。 | 風・雪・海・空。ハインケルーパーの独り言

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風・雪・海・空。


その軽やかさと勢い、風の如く。

その重きこと・染み渡ること、雪の如く。

その思慮深きこと、海の如く。

その志高きこと、空の如し。



そんなブログを目指して行きたい。

<前記事の続き>

……「よいや・れいや」さんを後にした私は、再び「ブナと川のミュージアム」に向かいました。
やはり、この日は一日中風雨が収まらない様子だったからです。

この日、ミュージアムの来客は私の他に2、3名程だった様子です。休憩室には、相変わらず誰もいませんでした。
雨の音が微かにする程度の静かな空間と時が流れていました。


私は、休憩室の片隅にある木工細工コーナー「てわっさ」が目に入りました。


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「てわっさ」とは、会津地方の方言で「手作業」を意味します。

ここでは材料・接着剤・簡単な工具など、工作に必要な物は全て揃っていて、材料費\100だけで子供から大人までが木工細工を行えます。
私も、休憩室で長時間休ませて頂いた御礼の気持ちも兼ねて、木工細工を作製させて頂きました。


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……後で気が付いたのですが、よく見ると日付の年数が「2014年」となってしまっています(笑)。

最近、私はたまにあるのですが「平成24年」と頭の中でゴチャ混ぜとなってしまったようで、赤面ものです(汗)。
しかし。自身のこの書き違えを私は都合の良い「祈願」としてとらえようと思いました。それは……
「2014年11月18日までに只見線が全線復旧し、沿線の皆が笑顔で友好を深められるように」という願いです。

もし皆さんが、このミュージアムに訪問された時この木工細工を見かけたら、どうかそのように思って頂きたいです。

……列車に乗り遅れた朝には途方に暮れていた時間の長さも、気が付くとこのミュージアム終了時間の夕方5時になろうとしていました。
駅に向う前に、事務室に一言御礼を申し上げに行きました。

事務室には40代位の女性館員の方が御一人だけ残っておられました。

すると、この方は何と「駅までお送りしますので、5時15分まで待って貰えますか」と言って下さるではありませんか。
さすがにそれは悪過ぎると思い、一旦遠慮申し上げましたが「帰り道の途中なので」と言われ、この日の予想以上の日暮の早さと寒さもあり、私もつい御言葉に甘えることにしてしまいました。

駅まで向かう車中で私はそれまで自身も知らなかった、世界サミットの開かれる程の規模を誇るブナの森についてミュージアムで教わることができたことと、当地で狩猟が代々盛んであったことに関心を持ったことをお話しました。

この館員の方のお話ですと、只見には新潟(魚沼市入広瀬)からも山を越えて猟師の方が来ていたといいます。魚沼では既に廃れつつある狩猟の文化についても、ここではしっかりと受け止められていて、地元の子供達への地域教育にも生かされているようです。

ミュージアム休憩室にあった資料によりますと只見の猟師達は共同で捕獲したクマなどの獲物を売って得たお金については、決して年齢・経験・捕獲した本人かどうかで格差をつけるのではなく、全て平等に分配するのが慣わしだとのことです。

こうした精神も、大自然と人間。そして人間同志が平和に暮らせる為の必然として只見に残されて来たんだなと感じた次第です。



・・・・・駅まで送って頂いた館員の方へ御礼を言い、既に灯りのついた駅舎に入ると、午前中御世話になった観光協会の女性が笑顔で迎えて下さいました。

一時は心細さで一杯となった私自身の気持ちでしたが、一日過ごした只見の皆さんから頂いた思いがけない温かさによって満たされていました。


「今日は、列車に乗り遅れて良かったです(笑)」

そんな言葉が、私の本心から出てきました。


「これも、何かの縁ですね」

彼女も笑っていました。


18:35発小出行き最終列車は、強風と「線路に溜まった落ち葉」で車輪が滑る為(!)20分遅れでホームに到着しました。

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列車は私と、埼玉の川越へ帰るという母娘さんの三人の乗客を乗せて出発しました。


駅の改札口を見返すと、只見駅の駅長さん、駅員さん、送迎バスの運転手のおばさん、そして観光協会の女性がいつまでも列車に向かって手を振っておられました。

私も車内から思わず手を振り返し、最後に会釈してお別れしました。


魚沼へと向かうキハ40のシートが、いつも以上に温かく感じ、走行音も力強く感じました。





・・・・・・やはり、只見は私にとって夢見ていた「イスカンダル」そのものでした。


「守兄さん」にも逢えました。


そして「スターシャ」にも逢えました。


コスモ・クリーナーならぬ、ネイチャー・クリーナー。

そして、只見の皆さんの温かい思いやりで私の心の汚れも消し去ってくれた気もします。


宇宙戦艦ヤマトがたった一隻で旅の成就を成し遂げたように、たった1編成のキハ40も立派に六十里越えを果たし、私を無事に送り届けてくれました。




私は、自然に宇宙戦艦ヤマトの主題歌の1フレーズを口ずさんでいました。



「必ずここへ帰って来ると 


手を振る人に笑顔で応え・・・・・・・」






<終>



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