…翼端を掴んで投げるフリーフライト・グライダーは、主翼の長さが1Mはある大きさだ。
重さは、バランス取りのウェイト(オモリ)含め100~200g。
振りかぶって投げる方法は肩を痛めることがあり機体の大きさにも限界があるが、翼端を掴んで振り回して空中に投げる方法はその憂慮は皆無だ。
しかし、やはりリスクは存在する。
「投げ損ね」をすると、機体は上空へ行かずに猛スピードで地上へと突っ込む。
そのことを考慮し機首と胴体は固い桧材で作られ、先端はショック吸収の為分厚いゴムで覆われている。
しかし。
翼はそうはいかない。
鈍い音を立てて地面に激突した瞬間に伝わった衝撃は、主翼の真ん中の継ぎ目を真っ二つに砕く。
主翼の中で最も力の加わる場所なので、ここに固いカーボン棒(カンザシとも言う)又は繊維を通す機体もあるが、そうもいかない機体は哀れである。
上昇テストの最中、私は三度目の「主翼割り」を起こしてしまった。
「…ちくしょう、ちくしょう!」
真っ二つになった主翼と胴体を無念の思いで持ち帰り、すぐさま瞬間接着剤を滝のように割れ口に浴びせ、つなぎ合わせる。
それだけでなく、傷口に絆創膏を貼るかのごとく、サンドペーパーで平らに仕上げた割れ口に絹のようなガラス繊維の布(マイクロ・グラス)を瞬間接着剤で貼り倒す。
私の両手の指は瞬間接着剤でゴチゴチに固まり、サンドペーパーで舞い上がった粉で両手だけでなく服も真っ白になる。
しかし、こうして機体は砕けても砕けても、ゾンビのように復活するのだ。
時には直すのに疲れ果てて、作業の途中でメチャクチャに破壊してしまいたい衝動に駆られることもある。
もう、終わりにしたいと思う時もある。
しかし…大抵その度に私の中にある反骨精神が、再び機体に魂を植え付けたがるのだ。
そうして、再び機体は空へ帰って行く。
人は失敗から全てを学んでいくと聞いた。
大袈裟だろう…
馬鹿だと思われるだろう…
しかし、下手の横好きの私も断言する。
ハンド・ランチ・グライダーは、男であることを思い出させる。
「ちくしょう!…ちくしょう!!」
機体から教わったこと…
「悔しかったら、強くなれ!!」