先日のペーパーグライダーに続き、6月の記録会に向けてバルサ材製の小型グライダーも同時に用意しておくことにしました。
何年か前に購入し、良く飛んだAG社製バルサ・キット・グライダーの図面が残っていた為、改めて試してみることにしたのです。
こちらも先日のペーパー機と同じく、ゴム・カタパルト(パチンコ)で発進させるタイプです。
完成機の重さは・・・・・・・1g以下(重心合わせのオモリ込みで)!!
軽すぎて、家にある計りでは計測不能でした。針の振れ方から、おそらく0,5g程度に収まっていることでしょう。
胴体は厚さ3mmのバルサ・シート(ホーム・センターなどで購入可)から、図面のコピー通りに切り出します。
・・・切り出した各パーツをサンド・ペーパーで整形し、胴体と翼を瞬間接着剤で取り付け、オモリで重心を合わせて素組みの完成した一番機と二番機。
揚力(浮き上がる力)を生み出すカギとなる、主翼の反り・キャンバー(真横から見た主翼の形)の設定は紙のように自在にいかない為、あらかじめサンド・ペーパーで削って形作ります。1mmしかない厚さのバルサ板なので、ほとんど勘です!!
しかし、これをやらないと機体の浮き方に大きく差が出てしまいます。
最終的な仕上げはペーパー機と同じくクリア・ラッカーを塗りますが、その前に機首部分の安全策と同時におおかたのセッティングを決めてしまいます。
バルサ(木)材の利点はケント紙ほど湿度などに左右されずセッティングを固定しやすいところですが、ケント紙のように容易に翼を微妙に曲げて自在に調整することができません。
ですので翼の調整はより慎重に行い、場合によってはサンド・ペーパーで主・尾翼の特に端を研磨します。
まずは、やはり滑空テストから行い機体の挙動を観察しながらそうした調整を行った後、空中へと飛ばしてみます。
最初は少しのゴムの力で空中へ発進し、最終的にフルパワーで最高点まで上げるつもりで飛ばします。
この機体の大きさは主翼長160mm・全長170mmのほぼ手の平サイズですが、これまでの私の経験上こうした小さな機体は安定して飛ぶことは少なく、大抵大小の縦揺れ(ピッチング)・横揺れ(ローリング)を起こしながら飛び、悪い場合はいきなり失速し墜落するか、または長い滞空時間をキープするのが困難なサイズでした。
これは、私が感じただけでなく模型飛行機の先輩方が口を揃えて言われる「小さいほど難しい」という言葉通りです。
これに関連する学術用語に「レイノルズ数」という項目があります。
イギリスの物理学者、オズボーン・レイノルズ(1842~1912)が研究した、空気や水などの流体の特性を表す定義です。
レイノルズ数では、空気には粘性=粘り気があり、それが抵抗となると同時に物体の周りの空気流れの性質を決めているとします。
この定義では空気中の物体の形だけでなく、速度・大きさもそのおおかたを決定するともし、また「大気中を移動する物体は、小さくゆっくりな程、空気の粘り気の影響を受けやすい」ということです。
この場合、小さく速度の遅い飛行物体は「レイノルズ数が小さい」と表現されます。
詳しいことは割愛しつつ、レイノルズ数の違いというものを簡単に表現しますが、例えばジャンボ旅客機が高速道路を走っている車だとすると、ゴム動力の模型飛行機は運動会の障害物競走くらいの性能差(ハンディ)が生じているということです。
・・・説明が長くなってしましましたが、そうしたわけで今回の小型バルサ・グライダーにまともな上昇・滑空パターンを確立させるまでは、難関が待ち受けると覚悟の上でした。
では何故わざわざこんな小さな機体を?ということになりますが、それは6月の競技会には「射出用ゴムの容量を2gまでとする・機体の大きさは無制限」という規定があり、最近入った情報では更に少ない「1gのゴムで飛ばす」規定変更がなされる可能性が出てきたからです。
カタパルトに使うゴムの量が少なければ少ないほど、大きく重い機体は上昇しにくくなり、不利となります。
今回の小型バルサ機作製の背景には、レイノルズ数の低下というリスクを負いながらもそうした規定の中で競技を戦わなければならないという事情があったのです。
カタパルト・ゴム・フルパワーのテスト飛行は、まずは二番機から行いました。
天候は曇りぎみの晴れ、地上では秒速2mほどの風がありましたが、上空では不明でした。
・・・驚いたことに、私が懸念していたような不安定さはほとんど見られず、少しの微調整により上昇・滑空パターンが決まってしまったことでした。
これには、私も気を良くしました。
さらに、機体の速度は驚くほどゆっくりで(人の歩く位の速さ)、機体の沈下速度も大変遅く、なかなか高度が落ちません!この機体の大きさを考えると、予想を遙かに越えた理想的な滑空です!!
二番機は何回かのテストで、サーマルに乗らなくても滞空時間は35秒を超える性能を得ているとわかりました。
さらに、その軽さと形状から想像以上にサーマルに乗りやすく、小さなサーマルをゲットしつつ飛行した場合はコンスタントに1分以上飛行することもわかりました。主翼のキャンバー処理もうまくいったようです。
着陸時の速度も非常にゆっくりで、容易に指で掴めるほどです!
大気の海の中をゆっくり押し進む、小型ボートといった感じです。
これにより素組の状態から、クリア・ラッカーで表面処理を施し最終調整を行った後再テストをし、機体の完成を確認しました。
・・・ところが。
せっかく良い状態で組み上がった二番機に気を良くした私を絶望の淵に落とす事態が・・・!!
二番機は完成後の何回目かのフライトで先日のような巨大サーマルに拾われてしまい、数分間の上空フライトの後、上写真の杉の大木の頂上付近に刺さってそのまま降りては来ませんでした。
森の神も、今回は許してはくれませんでした(泣)。
落胆したまま一番機の調整に入りましたが、さすがに一番先に組んだだけあって「ハズレ」の機体でした。
今度はどのように調整しても、まともに飛んでくれません。
どうやら尾翼の取り付け角度を間違っていたようです。市販キットでなく自分でバルサ・シートからパーツを一つ一つ切り出している為、余程の技量と細心の注意が無いと精度にバラツキが出てしまいます。
数時間にも渡る調整も空しく、一番機は諦め三番機と四番機の作製に移ることとしました(涙)。
一番機・二番機の経験と教訓を踏まえ、さらに機体の紛失が怖いので飛行時の撮影はしませんでしたが、二機とも満足できる仕上がりとなっています。
いづれも、未だに大木の上にいる二番機をしのぐ性能となりました。
あと一機、五番機の作製も予定しています。
私は小型グライダーで、競技を戦うのみでなく「大気の謎」について学んでいけたらと考えています。










