「おんなスキー一本道 競技スキーへの挑戦」(1978年 ベースボール・マガジン社版)
この本は、魚沼市内の堀之内図書館で見つけたものです。
皆さんは南雲美津代(なぐも・みつよ)というアルペン・スキー選手を知っていますか。
今から40年近く前の1970年代前半、回転、大回転、滑降全てをこなす今でいうオールラウンダーとして、日本の女子アルペン・スキー界の女王に君臨した選手です。
この本はその南雲選手の自叙伝で、戦後間もない新潟県湯沢の貧しい家で生まれ育った少女が、唯一の冬の遊びだったスキーで次第に才能を開き続け、やがては日本代表選手として国際試合を転戦し二度目のオリンピック直前の怪我により引退した後までのエピソードが、選手本人によって描かれています。
私もスキー選手本人が自分の本心、感じたことを綴った本を読んだのは初めてです。
この度の冬季五輪もスケジュール半分を過ぎましたが、既に様々なドラマを見せられました。
期待されていながら代表の選考から漏れてしまった選手。
苦労して何回も出場しながら、思うような結果が得られず涙した選手。
代表に決まりながら出場直前に怪我をしてしまい、試合を断念しなければならなかった選手。
実は、南雲選手もこうした経験を全てしてきた人なのです。
実績がありながら海外遠征メンバーから外され連盟に反発。
中学生でジュニア選手に選ばれ、人並みの青春の全てを捨てて目標とし二十歳で迎えた札幌五輪での、惨敗。
その後に世界選手権で9位入賞、ヨーロッパカップで準優勝を始めとし数々の入賞で希望に満ちて代表となったはずのインスブルック五輪。しかしその直前での膝靱帯断切で断念。
そして引退。
更にこの本を読んでいくと、強豪欧米諸国と比べた日本のスキー選手への不遇の実態もわかり、彼女の日本スキー競技発展への心の叫びも感じられます。
私はアメブロを始め多くのスキー選手のブログを読みますが、この本を読むと「この国のスキー競技への理解や待遇とかは、40年前と大して変わって(改善されて)いないんじゃないか?」とさえ感じます。
この本は30年以上前に発刊されたもので手に入れるのは難しいと思いますが、日本のスキー選手の気持ちがわかるのは、著者である美津代さんかもしれません。