「その箱もらえますか?」
すると店主は
「あ、これ?すいませんこれあげられないんですよ」
「あぁ次の新しいチョロQ入れるとかですか?」
「いやそういう訳じゃないんだけどね、もうこれ最後の一個だからねぇ」
「他にもあったんですか?」
「うん去年くらいまでここに並んでたんだけど」
「え?チョロQが?」
「うん」
「マジで?お前知ってた?」
「いやぁ知らなかった。って言うかそんな箱の事まで見てないすよ」
「いろいろチョロQあったんですか?」
「うん、10年くらい前からチョロQだけ残っちゃったからね。今集めてるの?」
「そうなんですよ。もうあんまり残ってないですからね」
「ウチにはたくさんあったのになぁ(笑)、あでも、そうか、
最近少しずつ売れてたからまた流行ってんのかなと思ってたんだよ。
それならまた入れようかと思ってねぇ」
「うーん流行ってはいないけど、あーやっぱり
他にも探してる人いるんだなぁ。誰だよ今時チョロQなんか集めてるの?」
「おめぇだよ(笑)」
「じゃあもういっぱい持ってんの?」
「そうですねぇ、たぶん普通の人よりは…
だからチョロQのカタログとか箱も一緒に集めてるんです」
「そうかぁ…いや実はねぇ、箱欲しがってる人がもう一人いてさ、
この中身が全部売れたらあげる約束しちゃってるんだよ」
「えぇ?じゃあその人が時々チョロQ買ってるんですか?」
「いやまたそれは違う人。何かいろんな玩具のパッケージを集めてるらしいよ」
「最近その人来たんですか?」
「いやもうずっと来てないけど名刺置いてったんだよな。
だから電話しなきゃならないんだよ」
「いやぁとりに来ますかねぇ?」
「うん取りに来ないんならお客さんにあげてもいいんだけどねぇ」
「もう忘れてんじゃないかな」
「うーんそうかもしれないけど、まだ聞いてないから」
「そうですかぁ…」
「また来てみたらいいじゃないすか?」
「お前また後で見といてよ」
「いいすよ」
こんなやりとりの後、会計を済ませ、しぶしぶ諦めて店を出た。
しかし、もう少し粘れば、もしかしたら貰えたかもしれないが、
あまりしつこく出来ない性格上、あれ以上は無理だった。
友人からのいい知らせを待つことにして、店を出た。
「どうせ来ないから大丈夫じゃないすかね?」
「まあな・・・でもこの前目黒のおもちゃ屋でもおんなじ事言われたよ」
「何て?」
「そこさ、ミクロマンとか超合金とかサイボーグとかいろいろ残ってんだけど
絶対売ってくれないんだよ。でも売るとしたら、最初に名詞置いてった人だってさ」
「へぇー・・・」
数日後、友人から
「なんか箱なくなってましたよ。マジで来たのかな?」
と伝えられた。
ワンプッシュチョロQの元箱は、現在も未入手。

あの時もう「ワンプッシュ(一押し)」してみるべきだったと、
今更ながら後悔している。