ミニカーマニアなら一度は聞いた事があるトイイベントだ。
そのワンダーランドマーケットが、まだ新横浜プリンスホテルで開催されていた時の事。
チョロQを持ち寄るブースはまだ少なく、Y氏U氏らのNパブリッシング連合ブースが、
チョロQのディーラーとしては最も目立っていた。
扱うディーラーの数は少ないが、チョロQを買いに集まる客数は多く、
開場するとNパブ連合ブースには大勢の客が押し寄せていた。
僕やスカイラインマニアのT氏は、そのブースに貼り付いて、
ちょっとでもいい物があれば並べる前から流して貰えるように構えていたが、
当時は皆がコレクターだった為、それほどイイ物の重複品は出ない。
ある時、こんな事があった。
ディーラータイム(出店者同士が売買する時間)には、
出店者が掘り出し物を探し求めて他のディーラーテーブルを見てまわる。
僕らもチョロQを求めて歩いていたら、何やら騒がしいブースがあった。
そのディーラーの前にはY氏とU氏の2人が陣取っている。
あの様子は何かを見つけたようだ。
T氏も気がつきブースに近づくと、テーブルの向こうには
顔と体がまん丸の男性が立っていて、チョロQをいくつか並べていた。
T氏と2人で覗き込もうとするが、Y氏U氏2人に4~5人分の幅を取られ、
入り込む事が出来ない。それでもかき分けながら、テーブル上を覗き込んだが
時既に遅く、全てY氏らの手中に収まっていた。
よくみると、普通のチョロQにはない妙な物が入っている。
4台セットの横長の箱に入れられたチョロQは、どれも見たことが無い。
白いボディのミニタイプⅡ、ピンクのシャーシーがついたベンツ280GD、
4色メッキのポルシェ956、クリアボディのディノ246やトランザムなど。

パッケージにはネームシールが貼ってあり、手書きで「プロト」と書いてある。
プロトタイプの事だろう。つまり大量生産前に試験的に作られるテストショットだ。

そんな物がいくつもある。
これほどのチョロQを持ってきたこの男は一体何者だろうか。
ふと見ると、Y氏U氏の2人共が他にも興味深い物を持っていた。
入手が非常に難しいと言われているCRTタイプⅡの3色、
しかもボディ全体にタンポ式印刷が施された仕様の物だ。
これらの実物を見るのは初めてだが、既に遅かった。
チョロQコレクターでデザイナーのK氏も唸りながら
「Yさん達いいなぁいいなぁ」
と羨ましがるばかり。
Y氏らに先取りされたのなら諦めるしかない。
しかし、やはり同じコレクション仲間。Y氏がテストショットの方を譲ってくれた。

テストショットという物の存在を初めて認識し、入手したのが、
この日のイベント会場だった。
販売をしていた丸顔の男性は、
「シティのフルタンポなら、多分まだあるから次回持って来ますよ」
と言っていた。この言葉に、デザイナーのK氏も興奮気味だ。
この丸顔の彼の正体は後にわかる事になる。
このようなトイ・イベント会場は、様々な人が
いろいろな商品を持ち寄って来ている、言わばお宝発見の場所
という事を再確認できた。
その後も、試作品やテストショットをいろいろな会場で入手、
試作コレクションはどんどん増えて行く事になった。
近年は、イベント会場に足を運んでも掘り出し物が見つかる事は少なくなったが、
暇つぶしに行ってみると、意外な所から面白い物を発見できるかもしれない。
