いつものように近場の玩具店探しをしていたある休日。
同じ区内ではあるが、正反対のエリアともなると、
さすがに自転車では時間がかかる。この日は車で移動していた。
タウンページからリストアップした、ある店に向かう途中、
信号で止まった時に何気なく左側を見ると、
店の入り口の引き戸と棚に挟まったままの
「ルイジ・コラーニチョロQ」 のカプセルに気がついた。
その店まで小走りで戻ってみた。
そこは、昔よく見た模型や駄玩具も売っている小さな文具店だった。
先程見たカプセルは、やはりコラーニのチョロQ。
店内に入り、そのコラーニを取る前に、一応隅々まで確認してみた。
古い文具が乱れて並んでいる中、奥から声の大きなおばさんが出て来た。
よほど暇なのか、店内に入って3分と経たないのに、
ものすごい勢いで話しかけてきた。
正直、今となっては何を話したのかは覚えていないが
(というかそれ程聞いていなかった)、
話に一段落した頃合いを見て 「チョロQ今無いですか?」 と尋ねてみた。
するとおばさんは、
「昔あったわねぇ、どっか隅の方に転がってないかしら」
窓際に転がっているのは既に見つけていたが、それは後回しにして、
おばさんと一緒にゴソゴソと探し初めた。
陳列されている商品は散乱していたので、整頓しながら探していく。
探している最中も、独り言のように話していたが、良く聞くと、
「昔チョロQ流行ってたでしょ。ウチは近くに小学校あるから良~く売れたのよ。
でも何だか知らないけど急に売れなくなってだいぶ残しちゃったんだけどさ、
とーきどき少しずつ買ってく子がいたのよね~。お客さんも昔遊んだんでしょう?
また急に欲しくなったの?」
こんな話をノンストップてしてきた。
そしてこんな事も言っていた。
「すぐ裏にお相撲さんの親戚の家があんのよ。
あの今の若花田と貴花田が小さい時、
あ小さいっても体は大きかったんだけどさ、
こっちに遊びに来るとウチに良く来てね~、
大きいプラモデルとか、いっつも買ってったわよ。
それが二人ともおんなじ物欲しがるわけよ。大きいプラモデルとかね。
そんなおんなじ物なんかウチみたいなとこに何個も置ける訳ないじゃない?
でもいっつも買ってくれるからさ、それからは2つずつ置いたのよ。
でもそうすっとなかなか来ないのよ。来れば買ってくんだけどね~」
と、花田兄弟の小さい頃の話をしてくれた。
そして、チョロQはというと、ホコリだらけのガラスケースの中に、
タイヤの外れたパルサーエクサEと、少々砂埃が付着したWセット
(スカイラインGTS、CRTF3、フォードフェスティバ)の数台が見つかっただけだった。
気づかぬ程少しずつ売れていたのだろう。
それでも何も無いよりはいい。
そして最後に、窓際に挟まれたルイジコラーニチョロQを取り出した。
するとおばさんが、
「あ、そんなの良く見つかったわね~、その辺もっと見てみれば?」
というので、その半分崩れた便箋やノートを、これ以上崩れないように戻してみると、
その下にまたもコラーニチョロQが2つ転がっていた。
もっとあるかもと思い探したが、これ以上は出て来なかった。
この9個のチョロQをおばさんに手渡して、会計をお願いすると
「じゃあ全部で1000円ね。掃除手伝ってもらったからサービスで」
と笑顔で言ってくれた。
普通なら3分といないような店だが、店を出た時には1時間を経過。
店主の話の長さも忘れられないが、文具店にいた時間も最長を記録した。
後に思った事だが、花田兄弟はチョロQを買わなかったのだろうか。
少しだけ気になった。

