下北沢。
アンティークショップが立ち並ぶようになったのはいつからだったのだろうか。
古物を扱う玩具店もたくさん集まっている。
オムライス、懐かし屋、ヒーローズ、プラネットX、2丁目3番地…
当時、僕の仕事は配送トラックのドライバーで、運転をしている途中、
下北沢周辺の茶沢通りを通ると、こまごました物が並ぶ店が数軒あったのは
車内から見えたので知っていたが、それが全てあの古物玩具店だった
という事までは判らなかった。
20年以上前に持っていた超合金が新品で売っている。
付いている値札は当時の数倍だが、買えない金額ではなかった。
早速購入し、自宅で恐る恐る開封すると、
黄ばんだ発泡ウレタンに包まれた新品の超合金が顔を出した。
十数年ぶりに手に取ったそれは、当時と変わらない重厚感で、
小学生時代の記憶を蘇らされた。
その下北沢を発見する約1年前、アルバイト仲間が、
車の玩具を集めている事を耳にした。その中心はチョロQだった。
バイトが終わった後、朝までデニーズにいる事が度々あったが、
帰り際レジの前に立つと、彼は必ず「チョロQおごって下さいよ」といって、
デニーズの玩具売り場からチョロQを持ってきた。
350円、高くは無いが安くも無い。
代わりに車で家まで送らせたから安い物だったかもしれない。
「チョロQ昔は家にも何台かあったけど、
どこいったかねぇ…捨てられたかな」
こんな事を言う程、頭の中をチョロQが走る事はなかったが、
既に脳内のプルバックゼンマイは少しずつ巻かれていたらしい。
それに気付くのは、それから2年後の事になる。
この時期売られていたチョロQは、90年初頭のチョロQスーパースポーツシリーズ。
フェラーリF40、ランボルギーニ・ディアブロ、ザウバーメルセデスC9、
ユーノス・ロードスター、スカイラインGTR…
昔と違いカッコ良く出来てるなぁ、というのが久しぶりに見たチョロQの
最初の印象だ
さて下北沢。
通い始めると、それぞれの店が何に力を入れているのかが判るようになるが、
この中で少々変わった商品を陳列しているお店があった。
「おもちゃ天国2丁目3番地」
他の店には無い品揃えで、外から見ると、指人形の店かと思う程、
こまごました物が目立つ。
店の造りは古びた小屋、店内には甘い香りが漂う不思議な店。
昔のごちゃごちゃした駄菓子屋の様な感じで、
どの店よりも懐かしい雰囲気があった。
気のいい2枚目(イケメン)の社長と長髪の店長がいて、
店に入ると必ずコーヒーをサービスしてくれる。
自然とこの店に通う回数が多くなっていた。
店内を良く見ると、チョロQがたくさん置いてあるのに気付くが、
その時は全く関心は無い。
年に2回あるバーゲンセール時には必ず顔を出していたので、
その時に高い超合金を格安で買うのだが、
そんな話を車物好きのバイト仲間に話すと
「チョロQもあるんなら何でもいいからチョロQ買ってきて」と良く言われた。
当時ここには、チョロQのあらゆるシリーズが並んでいたが、
価格は安い物で1000円、高い物で3000円と、当時の金額の3~8倍。
半額セールでも高額だったので、たくさん買う事は不可能。
この中から、彼が持っていないであろう物をいくつかチョイスして買った訳だが、
自分が興味の無い物を数千円分買うのは、ある意味恐怖だ。
その時は約8000円分買ったと記憶している。
今思えば、初めてチョロQに大金を使った記念すべき日だ。
その内容は、
金賞パッケージのミニクーパー
ホワイトチョロQ
ワールドラリーシリーズ
GTオープンカー
ビッグフットチョロQ
これらを各数台ずつ。全部で12台。
その後、ここでの買い物にはチョロQも入る事になった。
余談だが、この時の2丁目3番地には、金賞銀賞のコンテスト物や
透明チョロQが3000円でいくつも置かれていたが、
買う人はほとんどいなかった。
また、この時期のデニーズには、変わったチョロQセットが売られていた。
商品名「ピッタンコチョロQ」
ギャルソンという自動車部品メーカーから発売されたこの3台セットのチョロQは、
ドアの一部に穴が空けられて、小さな吸盤が埋め込まれていた物だった。





