さて、今回はCHET BAKERへ捧げられたレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、フランスのトランぺッターによるトリビュートで、腕利きを揃えたドラムレス・トリオ編成になっておりますよ。

「LOVE FOR CHET」 (naive)
STEPHANE BELMONDO(トランペット)、JESSE VAN RULLER(ギター)、THOMAS BRAMERIE(ベース)によるドラムレス・トリオ編成で、2014年の録音であります。主役のSTEPHANEは、1985年~88年にかけて、パリでCHETと接する機会があったそうです。当時、駆出しのミュージシャンだったSTEPHANEを、一緒に演奏しようと誘ってくれ、色々とアドバイスもしてくれたそうです。また、音楽や人生について、たくさん語りあったそうで、STEPHANEにとってCHETは父のような存在だったそうです。CHETとの出会いが自分を大きく変えたことから、彼の死後25年かかってようやくトリビュートを吹き込むに至ったとのことです。そんな長い間吹き込めないほど、想いが強かったのでしょう。STEPHANEのトランペットは、ソフトな音色で音数は控えめで、CHETに近いスタイルです。冒頭の「YOU CAN’T GO HOME AGAIN」などのバラードでは繊細に優しく、「I REMEMBER YOU」や「SEVEN STEPS TO HEAVEN」などのアップ・テンポの曲ではキレのいい演奏を聴かせてくれます。JESSEのギターも音数は控えめで、お互いのためのスペース(余白)を残した演奏になっています。THOMASのベースは、饒舌ながらもスペースは残しており、かつ、リズムのキープもしっかりしていて、かなりの腕利きのようです。晩年のCHETが好んだひっかかり気味のベース・ラインの「LOVE FOR SALE」もカヴァーしていて、聴き応えのある演奏を繰り広げていますよ。インスト曲が並ぶなか、1曲だけ入っているヴォーカル曲が「BLAME IT ON MY YOUTH」で、AMIN BOUKERという歌手がしゃがれた声で唄っており、いい味を出していますよ。本作は数多くあるCHETへのトリビュートもののなかでも、ドラムレス編成において屈指の出来で、腕利きの奏者たちの音楽的対話をじっくりと堪能したい1枚でありますよ。
今回の記事で、年内のブログ更新は最後となります。相変わらず景気も悪く、厳しい日々が続いていますが、今年も1年間、何とか乗り切ることができました。ありがとうございました。みなさま、よいお年をお迎えくださいね。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107