さて、今回はCHET BAKERへ捧げられたレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、CHETと同世代のイタリアのミュージシャンたちによる吹き込みで、当時のイタリアでのCHETの人気の高さがうかがえる1枚であります。

「PARLAMI D’AMORE MARIU」 (GMG)
イタリアの誇る名手、GIANNI BASSO(テナー・サックス)、OSCAR VALDAMBRINI(トランペット)がフロントを取り、RENATO SELLANI(ピアノ)、GIANNI AZZOLINI(ベース)、GIANNI CAZZOLA(ドラムス)によるリズム隊を加えたクインテット編成で、1959年の録音であります。当時のイタリアのジャズ界で人気を誇ったのがCHET BAKERで、1960年前後には、映画に出演したり、PIERO UMILIANIやARMANDO TROVAIOLIが手掛けたいくつかの映画音楽に起用されたり、CHET自身のレコードもイタリアで数枚吹き込んでいますし(BASSO、SELLANIも参加した59年の録音「IN MILAN」など)、CHETを撮ったショート・フィルム「TROMBA FREDDA(COLD TRUMPET)」も作られたり、引く手あまたの活躍だったようです。そんなCHETに傾倒していたのが、BASSO、VALDAMBRINI、SELLANIたちでした。とくにテナーのBASSOは、少ない音数で美しくメロディを組み立て、唄うように演奏するというスタイルは、CHETの影響を強く受けていると語っています。トランペットのVALDAMBRINIも、CHETに近い演奏スタイルで、BASSOと組んだレギュラー・グループで長く活躍しました。本作の曲目を見ると、「EVERYTHING HAPPENS TO ME」や「LIKE SOMEONE IN LOVE」など、有名な愛奏曲のほか、マイナーな「FAN-TAN」まで取り上げていますし、フロントの2人のハモりが楽しいオリジナル曲「CHET TO CHET」も捧げています。「I CAN’T GET STARTED」ではBASSO抜き、「LOVER MAN」ではVALDAMBRINI抜きのカルテット編成になっており、それぞれトランペットとテナー・サックスが存分に堪能できます。本作は、イタリアの名手たちの若かりし頃のプレイがじっくり味わえる興味深い1枚であります。その後も、CHETはイタリアを訪れたときには、BASSOのライヴを観に行ったり、時には飛び入りで参加したりして、晩年まで交流が続いたそうですよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107