第8回『もしも世界が意味を持つのならこんな気持ちも無駄ではない?』の巻 | ゲーム制作会社 サイバーコネクトツー 松山洋の「絶望禁止」ブログ

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福岡に本社を置くゲーム制作会社 サイバーコネクトツー 代表取締役 松山洋の公式ブログです。
定期的に最新の“思っていること”や弊社で刊行した書籍に掲載したコラムのアーカイブを掲載していきます。


反省した。



海よりも深く。


炎よりも熱く。


反省した。




え?何があったかって?


まあ、聞いてくださいよ、この愚か者の話を。




え?ブログだから?



“聞く”んじゃなくて、“読む”だって?



あー、そうね、じゃあ、読んでくださいよ。




この愚か者に、何があったのかを。





それは、先週、ジャパンエキスポというイベントでフランスに
行った時のお話でした……。



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ジャパンエキスポというのは毎年フランスで開催されているイベントで
日本のマンガ・アニメ・ゲーム・音楽・ファッション……まあ、なんでも
アリなんですが、簡単に言うと
“日本のサブカルとかエンタメや
キャラが大好きなフランス人が集う、
でっかいイベント”
みたいな感じです。



今年は15周年で、特に規模が大きかったです。


5日間で25万人も集まるイベントなのです。



で、私はこのジャパンエキスポに毎年参加してるわけです。


ちょうど毎年この時期に『NARUTO-ナルト-』ゲームの最新作の
プロモーションが重なったりするので、ちょうどいいわけですね。


のプロモーションで参加してきました。


プロモーションって何するの?


だいたいこんな感じのメニューです。


1)メディアインタビュー
2)ステージイベント
3)サイン会



1)のメディアインタビューがメインです。基本的に。

事前に現地の複数のメディアに
“日本からゲーム開発者が来るから
直接インタビューしませんか?”
みたいな感じで、聞くわけです。


そうすると、返事があって“やりたい!”って言ってくれたメディアを
順番にスケジュール組むのです。


だいたい1メディア30分くらい。

それをまるまる二日間朝から晩までやって、
30(メディア)セット
くらい。


どのメディアからもだいたい、おんなじことを聞かれますし、同じことを答えます。


ただ、注意点は、朝一番にやったメディアに対しても、
その日最後のメディアに対しても
毎回同じテンションで答える・話す
ということ。

当たり前ですが、私にとっては10回目でも15回目でも、相手にとっては
初めましてからスタートして新鮮な気持ちで話を聞くわけですから。


疲れを見せるわけにもいきません。



“よーくぞっ!その話を聞いてくださいましたッ!
いーですか!それはですね……”



というのを30回やるわけです。


まあ、だいたい喉も枯れるしボロボロになります。


1日が終わるとホントにクタクタでいつもより早く寝てしまいます。




2)のステージイベントはジャパンエキスポの会場内にあるメインホールで
バンダイナムコゲームスの枠でプレゼンを行うのです。

“バンダイナムコゲームス
最新ゲームタイトルプレゼン”

みたいな感じで。



これは交互通訳も必要なので、
事前に何度もスライドの確認やリハーサルを行います。

内容によってはスライドだけではなく、動画や、
最新の実機プレイによるプレゼンもあったりします。


ホールは大きく広く、300人から500人くらいが
いっぺんに話を聞くのですから、こちらもそれなりの準備を行います。


テクニカルなことから、ステージ上の立ち位置の確認から、
ジングルのタイミングなどなど。


1)のメディアインタビューが会場から離れた(一般の人は入れないエリア)場所
で行われるのに対して、こっちはたくさんの人の前で打ち上げる
いわば大きな花火みたいな感じです。



そして3)のサイン会


私自身、いつもこういったプロモーションの時には
コスプレでやることが多いです。

まあ、コスプレするのは、趣味……ではなくて、
メディアの方々や現地のお客様に喜んでいただけるからです。

それで少しでも、ひとつでも多くの記事を書いていただけるのであれば、と
繰り返してきたところ、おかげさまでたくさんの方々に
認知していただけるようにもなりました。

『NARUTO-ナルト-』に関してはもう10年以上にわたって
こういうスタイルでプロモーションを続けてきましたからね。


今では、コスプレしてない時でも“マツヤマサーン!”って、
声をかけられるようになりました。


よく“アジアの人たちはみんな同じ顔に見える”と言われがちな日本人が、ですよ?


非常にありがたいことです。


で、たくさんの人に名前と顔を覚えていただいたら、やれることが増えてきます。


より喜んでいただけるように。


少しでもこちらの感謝の気持ちを相手に伝えるために。


いつの頃からか、“サイン会”が行われるようになりました。



もちろん、最初(10年前)は、なんか恥ずかしかったし、
ゲーム作ってる人がわざわざサインをするなんて、おかしい、
と言って断っていた時もありました。


役者でもあるまいし。




けど、その当時のバンダイ(現バンダイナムコゲームス)のプロデューサーに

“じゃあ、松山さんはどうやって彼ら(お客様)に感謝の気持ちを伝えるんですか?
英語できる?フランス語できる?できないでしょ?直接、言葉で伝えられないんだったら
別の方法で伝えなきゃ。松山さんにとっては『別に欲しくないでしょ?俺のサインなんか』
って思ってるかもしれないけど、地球の裏側のファンにとってゲームを作った人って
ゆーのは、憧れであり、ヒーローなんですよ?クリエイターでしょ?だったらどんな
形であれ、感謝の気持ちを示さなきゃ。さ、いいからサインやって。”

てな、感じで言いくるめられて(笑)。



気が付いたら、毎回、恒例になっていきました。



で、そのサイン会自体も今となっては、やる以上は。


(当たり前ですが)最大限に(お客様に)気を配っているのです。




少しでも感謝の気持ちを伝えよう。


そう思って、事前に色々確認もしますし、準備もします。



“今回のサイン会に来る人はどういうお客様なのか?ゲームソフトを購入して遊ばれた
お客様なのか?それともこれからのお客様なのか?年齢はいくつくらいの方々なのか?”


“実際にサインをする用紙は色紙なのか?ポスターなのか?ジャケットなのか?
マジックは水性・油性?裏写りしないか?にじまないか?白い絵柄には黒系のマジック。
暗い絵柄には明るい色を。それぞれキチンと準備できてるか?”

“お客様に『名前を入れてほしい』と言われた場合の通訳の人用の紙とペンも用意でき
てるか?他者のタイトルを間違えて持ってこられた時の説明はちゃんと想定できてるか?
単行本を持ってこられたお客様に『それにはできない』ことをキチンと伝えられるか?”


いつもちゃんとたくさんの想定とたくさんの考えられる準備を行った上で
サイン会に望んでいました。





そして……。




今回、私自身が目の当たりにした“ソレ”は、
このサイン会の時に起きたのでした。


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今回のジャパンエキスポでのサイン会は


1)事前にネットで申し込みがあったお客様であること

2)サイバーコネクトツーの松山洋のサイン会という告知であったこと

3)(現地時間の)木曜日と土曜日の計2回実施されること


という状態でした。



特に2)は重要で。

“サイバーコネクトツーの松山洋”ということは
『NARUTO-ナルト-』に限ったお客様ではないということ。


なので。


『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストームレボリューション』だけではなく、
『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3』や『.hack』シリーズや
『Solatorobo それからCODAへ』、ひいては『ASURA’S WRATH』まで、
今まで弊社で開発してきた全てのタイトルのファンの方々が対象であるということ。


それならば、(前述のように)いろんなパッケージやポスターにサインをすること
が想定されるのであらかじめ用意しておかなければならないマジックの種類も増える
ということなのです。


もちろん、今回もたくさんの種類のマジックが用意されてました。

流れはこんな感じ。


1)まずお客様とご挨拶&握手(ボンジュール!とか言う)

2)名前を(係の人が聞く)確認して記載する

3)ポスター(もしくはジャケット)にサインする

4)そのまま記念撮影(ポーズ込み)


これをただひたすら繰り返す。

だいたい1時間くらいで100人弱くらい。



今回も、沢山の人が、『NARUTO-ナルト-』はもちろんのこと、『.hack』シリーズや
『Solatorobo それからCODAへ』の欧州版や、『ASURA'S WRATH』のパッケージなどを
持参してくれて、わきあいあいとサインをすることができました。


話しかけられる言葉の意味はわからなくても。


喜んでくれていることは伝わるし、
こちらが感謝していることも伝わっていると思いました。


いや、……。


“こちらが感謝していることが伝わっていると”

“思っていました。”



……ええ。


“思っていた”のです。


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“ソレ”に気付いたのは、私のサイン会が終わったあとのことでした。



だいたい、この手のサイン会は一日の終わりに入れられることが多いので、私自身も

“ふー、今日も一日頑張ったなあ、このあとはみんなで
一度ホテルに戻ってそのあとディナーかな?”


くらいの感じで、ふと横を見ると。




私の隣の隣の席に(なんと!)
“しょこたん”がいたのです!



ええ、中川翔子さんです。



私にアテンドでついていた現地スタッフがみんな隣を見てるので
“誰かいるのかな?”くらいで横を見たら、
それは“しょこたん”だったのです。


ジャパンエキスポのサイン会はエリアが決まっていて、
複数の著名人が横に並んで座り、
その前にそれぞれのお客様の列ができる作りになっているのです。



他にもアニメーターさんや、漫画家さん、イラストレーターや、映画監督。

もちろんゲームクリエイターも。

バンダイナムコゲームスだと、原田勝弘(鉄拳)や、
馬場英雄(テイルズ)

そして、日本からゲストとして招待されたアイドルだっていらっしゃるわけです。



しょこたんもきっとそうして招かれたアイドルの一人だったのでしょう。



いらっしゃってもなんの不思議もないのです。


“そういえば前も、しょこたんはゲストで来たことがあるって
誰かが言ってた
なあ、今回も来てたんだ……。
うわぁ、顔ちっちゃいなぁ。かわいいなぁ。”



くらいで、眺めていたその時です。











!?








……衝撃が走りました。



全身に電流が回るのを確かに感じました。


それくらい、はっきりと衝撃を受けたのです。





しょこたんの“その姿”……いや“その姿勢”に。


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まず、お伝えしておかなければならないのは。


しょこたんのサイン会と私のサイン会は、
スタイルは全く同じです。


机もイスも同じものが使われていますし、列の並び方も全く一緒。


そしてサインをする流れも全く一緒。


前述のとおり、以下の流れです。


1)まずお客様とご挨拶&握手(ボンジュール!とか言う)

2)名前を(係の人が聞く)確認して記載する

3)ポスター(もしくはジャケット)にサインする

4)そのまま記念撮影(ポーズ込み)






……“問題”は……“違い”は……。



1)まずお客様とご挨拶&握手(ボンジュール!とか言う)


のところの“握手”





横から見たところを図解すると。


私のパターンがこちら。

このように一段高いところに座っていて、お客様が低いところにいらっしゃいます。


で、この状態から“握手”をすると







こうなります。


まあ、私が高い位置にいるので、こうなりますよ。

こんな感じで握手してから、サインして、記念写真撮って、
また次の人と握手して……の繰り返しだったのですが。








その時に私が目撃した、しょこたんの握手がこちら。















!?




衝撃ですよ!?

わかります?







↑まず、この状態で握手してから




↑この状態に少しもどって




そして、この状態でサイン。↓





で、また次のお客様がきたら、こう! ↓




……ホントに。



頭の中で“バリーン!!!”って、ガラスが割れましたね。


なんだ、これは?と。


いや、違う、なんだ、俺が今までやってきたのは?と。



頭では。


理屈では。


わかってるつもりになってて。


最大限、気をつけているつもりになってて。



なーんにも、わかっちゃいない。


ひとつも、わかっちゃいなかった。



“感謝を伝える?”



その最初の“握手”の差が“これ”ですよ!?



俺は、バカだ。



大バカだーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!





お客様に“感謝を伝える姿勢”


その最初の“姿勢”


最初の“挨拶”



これが。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
プロだ!!!!!!!






その日の夜のディナーは何を食べたのかも覚えてないです。


ホテルに戻ったあとも眠れませんでした。


なんか、悔しくて。


なんか、恥ずかしい気持ちで。


そして、その日の私のサイン会に並んでくれたお客様に対して
申し訳ない気持ちで、いっぱいで。




この二日後。


2回目のサイン会では。


このしょこたんと同じ“姿勢”で
握手をする私の姿がありました。




もちろん、そんなことをしても初日に来てくれた方々へ
何かを返せるわけではありませんが。


その時も、今までも、決してファンの皆さまの前で、
手を抜くような姿勢で接してきたつもりはありません。


ありませんが。


今回のジャパンエキスポでしょこたんから受けた衝撃は
ずっと忘れることはありません。


そして。


これからも、しょこたんから学んだ“姿勢”を胸に。


日々、精進していこうと思います。


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実際、私自身が、芸能関係やイベントに疎くて、アイドルのサイン会や
握手会にいったこともないし、見たこともないので。



みなさんが、しょこたんのような“姿勢”なのかはわかりませんし。


ひょっとしたら、しょこたんだけが特別なのかもしれませんが。


それが、どちらであっても。


別に、あまり、今回のこととは関係がないこと。



私自身が、衝撃を受けたのは事実ですし。




今後。



好きな芸能人は?

と聞かれたら、迷いなく
“乃木坂46の
橋本奈々未ちゃんです!”
と答えますが。




尊敬する芸能人は?

と聞かれたら、間違いなく
中川翔子さんです!”
と答えます。





“姿勢”を正して。




これからも。




誠心誠意、頑張ります。



どうぞ、よろしくお願いいたします。




本当に沢山の方々にお集まりいただきありがとうございました。
まだまだ勉強不足。まだまだ努力も足りません。
これからも本当に、ホントに頑張ります。
何卒、応援の程、よろしくお願いいたします。


株式会社サイバーコネクトツー
代表取締役社長 松山 洋



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