幻のギブソン・モダーン/その2 | おんがく・えとせとら

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 前回,70年代に神田商会が入手したフェイク・モダーン(Moderne)を紹介しましたが,同社はそれを元にコピーモデルを製作していたようです。ヘッドのブランドネームは「Ibanez」,提携先の星野楽器の製作品だと思われます。

ibanez

 上写真はイバニーズ製"コリーナ"風トリオ。モデルネームは、真ん中のモダーンが「#2469フューチュラ」、左のエクスプローラーが「#2459デストロイヤー」,エドワード・ヴァン・ヘイレンがギタギタにして使ってたアレですね。右のフライングVは「#2387カスタム/ロケット・ロール」となっています。当時のイバニーズは輸出専用で、神田商会向けOEM品はグレコ・ブランドで発売されていました。
 フューチュラは、ヘッドこそ後のグレコGOなどと同様の形状に変えてあるものの,ピックガード・デザインやノブの配置は神田商会のモダーンと全く同じです。先の入手サンプルを元に制作されたのは間違いないでしょう。

ibz futura
ibz futura2

 …かと思えば,ギブソン・ヘッドの個体もあったようです。ただし,トラスロッドカバーは3点止めみたいです。発売当初はギブソンヘッド,いろいろあって後に形状を変更したということかもしれません。1975年製とのこと。
 背面もこれまた想像の世界。ノブ,トグルスイッチはなんと背面から仕込まれてるではありませんか! ピックガードは上から被せただけの飾りなんですね。座位で膝と接触する部分にはコンター加工までしてあります。「エクスプローラー等はフェンダーを意識してデザインされた…」というところからの連想でしょうか。これらは,コピー元のフェイク・モダーンがこういう作りだったのかもしれない。なかなか興味深いです。
 ボディ材はアガチスらしく,着色によりコリーナっぽく演出してるようです。

fake

 これもフェイク。アメリカで購入をもちかけられた人が,トム・マーフィー他専門家に鑑定を依頼した結果,偽物と判明したもの。
 ヘッドはオリジナル風(ちょっと小さい)であるものの,ボディデザインは上記イバニーズと同じです。コピー品を流用した改造ギターかもしれません。


 
defil

 こちらは、デフィル・コスモス(DEFIL KOSMOS)。80年代のポーランド製コピー品。
 ヘッド形状が違ってたり、デタッチャブル・ネックだったり全体に再現力に乏しいので、これを本物と間違える人はないだろうね。大きめのピックガードやノブの配置はイバニーズに似てますが,ギブソンのリイシュー(reisue/再発行)発売後のコピーモデルのようです。でっかいピックガードは工程を簡略化して見栄えをよくするためのものでしょう。



 最後におまけ,本家ギブソン・モダーン。
 82年のリイシューはコリーナ・ボディながら,赤,白,黒といったカラーモデルもあったようです。

mod2 専用ケースが付属
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