
昨年5月,地元の有力レコード店が自己破産しました。ほとんどCDしか置いてなかったのでレコード店と呼ぶのは正確ではありませんが,最盛期には近県も含め数店舗を構えた老舗でした。
いつ頃からかほとんど立ち寄ることも少なくなってましたが,覇気のない店員さん,品揃え,店頭POP等から,いつつぶれてもおかしくない雰囲気は漂っており,新聞でニュースを知った時には「やっぱり」というのが第一の感想でした。無理な設備投資と売れ行き不振が原因だったとか。
閉鎖当時に撮影した写真(上)を今改めて眺めてみると,破産管財人の告知が貼られたシャッターにCDの文字はなく,とうの昔になくなっていたはずの「2F 楽器・ジャズロック」「3Fホール」の売場案内が堂々と生き残っていたのに初めて気づきました。
そういえば,高校時代にここで買ったキング・クリムゾンのベスト盤「新世代への啓示」は,写真集が抜かれてたなぁ。同じ盤を持ってた知人に教えられるまで,そういう付録が同封されてたのを全く知らなかったけど!!

さて,「CDはどこへ行く」。現在発売中のミュージック・マガジン2008年7月号の特集です。
そういえばここ最近,CDを買ってません。最後は…4月に買った中山ラビのベスト盤かな? そのCDをいざ聴こうとしたら見つからなくて…。
んー,「CDはどこへ行った」じゃなくて,国内では1998年ピーク時の2/3に売上げが落ち込んでいる,なぜ売れなくなったのか,この先CDはどうなるのか,はたまたレコード会社に未来はあるのか? についての考察ですね。
米国でも同様に下落傾向にあるそうですが,本誌では統計も含めて国内限定の検証を行っています。

「音楽配信に食われてる」「少子化のせい」等々,本誌でもいろんな説が紹介されてますが,私が考える,CDが売れない原因は以下のとおり。
・まず,洋邦問わず「これはというヒット,ムーブメントがない」ということ。本誌でも指摘のとおり,音楽を個で楽しむツールの隆盛,ヘッドフォンで楽しむ閉ざされた音楽が主流になった今,他人と共有する広がりのある音楽というものは成りたちにくく,仮にヒットしても短命にならざるを得ない。
・CDになって,いろんな意味で商品が水増し傾向にあること。文字通りコンパクト化されたことで,かつてレコードが占めていたのと同じだけの売り場容積を埋めるには数量を増やす必要があり,短命な流行商品が品揃えの中心になる地方小売店は在庫を抱えてしまう。また,楽曲の収録時間が拡大されたため盤を埋めるためとしか思えないような駄作が増えた,あるいは,売らんがためにボーナストラックと称してオマケで別テイク等をたくさんつけ,本来別の商品として販売するチャンスを自ら潰している…等々。
古来,音楽はライブで楽しむ以外に術はなく,エジソンが蓄音器を発明する以前には,ライプで聴いたヒット曲を自ら再現したい人向けに楽譜出版事業が盛んだったそうです。フォスターやラグタイム・ピアノのスコット・ジョプリンなんかが好例ですね。
今,ライブに来てもらうのを前提に,録音楽曲を無料で配信するミュージシャンも出つつあるとか。演奏機材も進歩して,後期ビートルズの曲でさえ再現不可能でなくなっている今日,原点回帰しつつあると考えれば、過渡期の一メディアに過ぎないCDが売れなくなるというのも当然,という説にも納得がいきます。
…とまあ,いろんなことを考えさせられる内容でした。