私の心を占めるニクいやつ…それはもちろん悪性黒色腫。
寝ても覚めても、24時間私の頭の中はやつでいっぱい。ちょっとドキドキしたりして、まるで恋(ポジティブシンキング)。ホルモンが出て若返るかしら、などと考えていたら、
「いつでも考えてるって、なんだか仕事みたいだよなー」
と夫が水を差した(笑)。
でも、考えようによっちゃ、人生最大の危機なんだから、それで頭がいっぱいでもいいのでは。いっぱいなのを前提として、その中身の質をコントロールすればいいのだ。
あくまでも私は、支配されるより、する側にいたい。支配側にいるとすべてが自分の責任になるので、そういうキツさはあるけれども、自分の人生だものね。支配されることによる不自由さは、私には耐えられそうもない。
ちなみに、局所を鏡で見て観察することを最近決心したばかりだけど、4、5回だけで、もうやめた。毎日眺めていたら、まさに支配されそうになったからだ。今はお風呂の時の手触りだけで、日々の状態を把握している。
メラノーマ啓発のシンボルは、ブラックリボン。乳がんだとピンクリボンだ。ブラックは世界的に見ても死を意識させる色だけど、この世で一番深い色でもある。すべての色を混ぜると黒色になるからだ。混ざれば混ざるほど、黒色に近づいていく。それってまるで人生のよう。と考えると、私の人生は、メラノーマ前にすでに黒かったと言い切るにやぶさかではない(笑)。
しかし現在、悪い条件が重なりすぎている私のuncommonな病気の色具合は、きっと概念的には言葉で表現し尽くせないほどの黒色に違いない…。
でも、ブラックリボンは、出身高校の制服のリボンを連想させるので、私は別に嫌いではないのだ。喪章だなというのはこの際置いておいて。この歳にして再びリボン。ほら、ちょっとだけ楽しい(笑)。ブラックだからサテンがいいね。あのツヤツヤとした黒色はちょっと貴族的な感じすらする。
免疫療法薬がどんな風に体内で効いてくるのか、私にはまだわからない。運良く完全奏功(腫瘍が消えること)しても、あいつは血液やリンパ液の中に存在し続けるのではないか。今後、私の体内の、潜在的転移が消えることはあるのだろうか。まさにこれが、がん罹患者ということなのだ。メラノーマは特に。一生、心にブラックリボン。
一旦サヨナラをして、3年後くらいにバッタリと再会(これが男と女なら、色っぽく盛り上がるのだが…)。今の私には、それくらいが現実的で、ちょっと欲張った希望かもしれない。
まずは、今の出会いにドキドキして、若返りホルモンを出そう。