この3連休、みなさまいかがお過ごしでしたでしょうか。3連休はどこも混み合うのと、真ん中の日にマンションの避難器具の点検があったので、遠出はせず地元でミッションをこなしておりました。

 

今週末のミッションのひとつは映画「落下の解剖学」を鑑賞することでした。2月25日は雨ということもあって、映画館の100席程度のスクリーンは半分以上埋まっていました。

 

 

 

メモオフィシャルサイトなど

右矢印映画『落下の解剖学』公式サイト (gaga.ne.jp)

右矢印落下の解剖学 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

右矢印Anatomie d'une chute (2023) - IMDb

 

メモインタビュー

右矢印アカデミー賞5部門ノミネート! 夫婦の崩壊を実際の映画監督カップルが描く「落下の解剖学」ジュスティーヌ・トリエ監督インタビュー : 映画ニュース - 映画.com

 (eiga.com)

右矢印作家・樋口毅宏が語る、アカデミー賞ノミネート『落下の解剖学』の魅力「強すぎる妻と絶対勝てない夫の現実に泣きました…」(MOVIE WALKER PRESS) - Yahoo!ニュース

 

 

■概要(抜粋)

これが長編4作目となるフランスのジュスティーヌ・トリエ監督が手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞したヒューマンサスペンス。視覚障がいをもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘が暴かれていき、登場人物の数だけ真実が表れていく様を描いた。

出典:映画.com

 

 

■スタッフ

監督:ジュスティーヌ・トリエ
製作:マリー=アンジュ・ルシアーニ ダビド・ティオン
脚本:ジュスティーヌ・トリエ アルチュール・アラリ
撮影:シモン・ボーフィス
美術:エマニュエル・デュプレ
衣装:イザベル・パネッティエ
編集:ロラン・セネシャル

■キャスト
サンドラ(妻): サンドラ・ヒュラー
ヴァンサン(弁護士):スワン・アルロー
ダニエル(息子): ミロ・マシャド・グラネール
検事: アントワーヌ・レナルツ
サミュエル(夫):サミュエル・セイス
マージ(保護士):ジェニー・ベス
弁護士:サーディア・ベンタイブ
学生:カミーユ・ラザフォード
裁判長:アン・ロトジェ

 

 

注意注意注意以降 ネタバレです注意注意注意

 

 

 衝撃だったのは、死因も特定されないのに、「殺人」と決めつけて検察が動いていたこと。「科捜研の女」の沢口靖子さん演じる榊マリコさんの「科学は嘘をつかない」の名言が去来した人は多かったはず…。

 

 それはこの映画の本質ではないので、おいておいて…本題に入ります。

 

 死因がはっきりしないのにもかかわらず、サンドラは起訴されてしまいます。この裁判はマスコミに報道され、注目されています。裁判でサンドラの人となり、夫婦の在り方が表に出てきます。サンドラを支えるのは旧来の知人でもある弁護士ヴァンサン。

 

出典:Anatomie d'une chute (2023) - IMDb

 

裁判が始まると検察側から出てくる衝撃の「事実」。


 サンドラはバイ?

 夫婦喧嘩が多い?

 サンドラに他の男関係があった?

 

出典:Anatomie d'une chute (2023) - IMDb

 

 あたかもそれが真実かのような根拠のない審問は、ジャンヌ・ダルクの魔女裁判のようです。「あらゆる可能性を排除するため」といいながら、被告であるサンドラを貶めることに快感をもっているようにも思われます。対する弁護側は、サンドラのために自殺説を印象付けるために、検証を重ねます。

 

審問の中で、印象深いセリフはこちら。

 

Sandra Voyter: 
Sometimes a couple is kind of a chaos and everybody is lost.Sometimes we fight together and sometimes we fight alone,and sometimes we fight against each other, that happens.

 

(訳)夫婦は一種のカオスで、誰もが道を見失います。あるときは協力し、あるときは一人で、そしてあるときはお互いに争うこともあります。

 

サンドラの審問中の態度について、監督のインタビューにこんな話がありました。

 

(抜粋)

サンドラからの提案はたくさんありました。例えば裁判所でのシーンで、私のシナリオの中では、ザンドラが涙を流し、いわば模範的な被害者のような演技を想定していましたが、彼女は、謝るような表情も見せずに、それよりもその状況に少し衝撃を受けている、そんな風に演じたいと要望がありました。それから母と子の関係についても、母性に溢れた理想的な母親像ではなく、完璧ではない母親を見事に演じてくれたと思います。夫との口論のシーンも私はユーモアのあるものを想像していましたが、彼女はもっと激しく過激なやりとりにして、私としてもそのアイディアが物語を面白くすると思いました。そんな風に彼女は自分を投げ出してくれましたね。

(抜粋ここまで)

出典:映画ニュース - 映画.com (eiga.com)

 

 

 判定の切り札になったのは、夫が自殺する前日に録音した夫婦の会話。(夫のサミュエルは小説のネタにするために、録音していたようです)検察側はサンドラの有罪を決定づけるために、その録音を出してきたのですが、実はそれは夫の弱さを赤裸々に映しだしたものでした。

 

 そして、さらに息子のダニエルは、サミュエルがアスピリンを大量に服用して吐いた物をなめた犬のスヌープがけいれんを起こし、何日も水しか飲まなかったことを思い出します。そして獣医に連れていくときのサミュエルが「誰もが死ぬんんだ。いつの間にかいなくなることもある」(うろ覚えですが)といっていたことを思い出します。ダニエルは、「いなくなるのは自分自身のことを言っていたのではないか」と証言し、大きく自殺説に傾くことになります。

 

出典:映画ニュース - 映画.com (eiga.com)

 

でも、モヤモヤが残ります。

 

サミュエルが「俺に黙って2度も浮気した」という言葉。裁判では追究されませんでしたが、それは弁護士のヴァンサンだったんだろうなと。「恋人同士で裁判に臨んでいることがわかったら、大変だろうな」と思うとドキドキ。

 

出典:映画ニュース - 映画.com (eiga.com)

 

出典:Anatomie d'une chute (2023) - IMDb

 

 

最後に、夫のサミュエルはどんな人だったのかと。この空っぽの部屋がそれを物語っているようです。

 

出典:Anatomie d'une chute (2023) - IMDb

 

 

 何事も途中で放り出して、腰をすえて完遂できない人です。そして、「女性はこうあるべき」と察してくれと言わんばかりに50Centの「P.I.M.P.」(Instrumental)を大音響で(町中だったら訴えられるレベルで)鳴らし、40歳になっても、自分が成功しない理由がわかっていない哀しい人です。「男子こうあるべき」という偏見やプライドが邪魔していたのでしょうか。

 

(抜粋)

――劇伴のない作品ですが、ラッパー、50Centの「P.I.M.P.」が効果的に使われています。この楽曲を選んだ理由を教えてください。

 

90年代にアメリカ、ヨーロッパでは大ヒットしていて、私の世代では誰もが知っている曲です。劇中ではインストゥルメンタルにしましたが、過激で女性蔑視的な歌詞がついています。夫は妻をイライラさせるために、あの曲をかけます。心地よい享楽的な音楽であると同時に、死を伴う過激なことが起こるというコントラストを表現したかったのです。

(抜粋ここまで)

出典:映画ニュース - 映画.com (eiga.com)

 

出会った頃はお互いの奥底までは見えていなかった二人。

出典:映画ニュース - 映画.com (eiga.com)


 息子さんが4歳の時に会ったバイクの事故で視神経に障害を起こし、盲目になってしまったことで、二人の間に亀裂が入っていきます。

 一見すると、息子の事故が夫婦仲の亀裂やサミュエルのうつ病の原因のように思われますが、サンドラは小説家および翻訳家としてそこそこ稼いでいるようです。

 

 サミュエルを窓から突き落としたのは、彼の40年間崩せなかった女性への偏見と男子こうあるべきというプライドだったのかなと私は思います。

 

落下したとき、その重みに気が付いたのでしょうか。

 

 

 

 


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