6月は週末は忙しかったので、漫画ばかり15冊です。特に今回のトピックはますむらひろし先生の「銀河鉄道の夜」の再読です。詩人 天沢退二郎氏の前書きによると、この原稿は生前未発表だったそうです。初稿は1924年~1925年に一応の完成していたようですが、それから8年余の間、何度も書き直されたそうです。この巻には、初稿「ブリカニロ博士編」と一般的に広まっている最終稿とが収録されています。初稿があるおかげで、当初、宮沢賢治氏がどのような結末にしたかったのは、輪郭がわかる構成になっています。

 

 私にとっては、初稿版は壇上から「幸せはこうだ。人はこうあるべきだ」と決めつけているような、そんな感じがしました。最終稿に至るまでに、妹さんの死、友人との別れがあったそうですが、初稿で感じた押しつけのような浮世離れした感じが現実の近づき、ジョバンニの言葉が人によりそうようになっていく過程を見て、8年間の著者の迷いを見たような気がします。

 

 タイタニック号の沈没でなくなった人達が乗り込んでくると、物語に流れる音楽が聞こえてきます。


一曲目はタイタニックが沈没するときに歌われたという「Nearer My God to Thee」。

 

 

トウモロコシ畑に彼はアメリカ大陸を見たのかもしれません。とうもろこし畑が見えると、遭難した女の子が「新世界交響曲が聞こえる」と呟きます。


二曲目は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」 

 

 

この「銀河鉄道の夜」から着想を得て「銀河鉄道999」を作った松本零士先生も旅立たれました。松本先生はこの作品の中に音楽を感じていらっしゃったのかもしれません。音楽にはとてもこだわっていらっしゃいました。

 

 


作品中「銀河ステーション」を表す三角票が出てきますが、P324にますむらひろし先生がこんなことを記載されていました。

 

「この三角票は琴座のベガ、鷲座のアルタイル、白鳥座のデネブをつないだ三角形から着想を得たのではないか」




ジョバンニが三角票を見たのを夜8時とすると、8月20日、お盆にあたるそうです。彼は、彼岸の死者と現実の生者を結ぶ三角形にステーション、そして、ステーションと今を結ぶ幻想4次元軌道の鉄道を初秋の夜空に見たのかもしれません。

 

 


 

 

6月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:3405
ナイス数:69

悪役令嬢の中の人 (一迅社ノベルス)悪役令嬢の中の人 (一迅社ノベルス)感想
「推しの子」といい最近は転生ストーリー流行っているのでしょうか。他は読んでいないけれども、語り口が星新一に似ているのが昭和の私には合っていました。のっとられた悪役令嬢レミリアのエミの描写。冷めたレミリアとレミリアの物語を知る優しいエミの二人三脚ぶりが新しい。ただ、エミの天敵は、物語の主人公の星の乙女。ただ、レミリアは彼女の正体を見抜くけれども、エミは見抜けず、二人が入れ替わるシーンが秀逸。コミック化されていますが、描写は流麗で美しいです。
読了日:06月30日 著者:まきぶろ


銀河鉄道の夜―最終形・初期形「ブルカニロ博士篇」 (宮沢賢治童話集 ますむら版)銀河鉄道の夜―最終形・初期形「ブルカニロ博士篇」 (宮沢賢治童話集 ますむら版)感想
 是枝監督作品「怪物」で出演する子供たちに読んでもらったのがこの書籍ということを聞いて、再読しました。昔は文字面だけしか追っていませんでしたが、ますむらひろし先生の猫を主人公とすることによって、より原作に近づけているような気がします。  今回読んで印象に残ったのは、俗人の鳥捕りへの思い「本当にあなたの欲しいものは何ですか」、バックに流れる新世界交響曲、カムパネルラが流された真っ黒い河の水面の光…。
読了日:06月29日 著者:ますむら ひろし


【推しの子】 11 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 11 (ヤングジャンプコミックス)感想
結局最新刊まで購入。この巻ではスキャンダルの闇取引き。アクアがあかねのスキャンダルの代わりに売り込んだのは、アイのスキャンダル。そして、最終章「15年の嘘」に突入。  衝撃なのは、片寄ゆらさんがカミキヒカルの牙にかかるシーン。こうなると、「15年の嘘」に関わる俳優にもカミキヒカルの魔の手が忍び寄りそうな予感がします…。最初の獲物に舌なめずりをしているヒカルの眼が浮かびます。大丈夫なんでしょうか、苺プロ!! 2023年7月19日に発売される次の巻に続きます。
読了日:06月18日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 10 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 10 (ヤングジャンプコミックス)感想
俳優よりも探偵に向いているのかもしれない黒川あかね。なんと、アクアとルビーの父親 カミキヒカルを洗い出す。彼はプロダクションを立ち上げ、あかねに花も贈っていた。 そして、アクアは盗聴器をあかねにつけており、あかねの情報もゲット。再び、復讐に闇落ちしていきます。  一方、あかねはとある監督といっしょにマンションに入るところを盗撮され、スキャンダルの窮地に立たされる。
読了日:06月17日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 9 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 9 (ヤングジャンプコミックス)感想
黒川あかねとアクアが付き合い始め、有馬かなとアクアの関係性が微妙になる巻。アクアは「東京ブレイド」以降、アイの死のトラウマを引きずってしまっている(演劇で相当消耗していると思われる)そんな中、有馬かなとアクアの仲裁に走るMEMちょは本当に大好きなキャラクター。また最後に雲隠れしていた苺プロの壱護さんが登場。復讐という目的をもったルビーの執念たるやいかに!!。
読了日:06月13日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 8 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 8 (ヤングジャンプコミックス)感想
とうとうルビーとあかねの転生前の運命の地、宮崎に到着。黒川あかねの呼び寄せ力とルビーのゴローへの恋心が相まって、ゴローの遺体がとうとう白日の下にさらされます。 ところで、この巻から登場するの謎の少女。二人の転生までも操作できるようなことを言っている。3次元の人間ではないのかもしれません。  そして、  憧れのアイドル、アイと、ゴローの死を見たルビーも犯人への憎悪をむき出しにします。
読了日:06月13日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 7 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 7 (ヤングジャンプコミックス)感想
「東京ブレイド」クライマックス。アクアは、自分の恐怖の正体との闘いになります。方や現実では有馬かなと黒川あかねの熱い演劇対決。  この巻では、DNA鑑定で姫川とアクアの父が同一人物の可能性が高いことが判明。そして、姫川の両親が二人ともなくなっているという事実。  (これは何かの匂わせのような予感…)  B小町は新曲のPV撮影のため、転生前のゴローとさりながいた宮崎の地に赴くことになります。
読了日:06月12日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 6 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 6 (ヤングジャンプコミックス)感想
「東京ブレイド」劇中劇。この巻で印象に残ったのは黒川あかねと有馬かなとのライバルの始まりのエピソード。
読了日:06月12日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 5 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 5 (ヤングジャンプコミックス)感想
アイが生前所属していた劇団「ララライ」の代表 金田一敏郎に近づくため、アクアは「東京ブレイド」に出演することを決断。この巻の大部分を占めるのは原作者と脚本家の確執。両者が折り合って作ったのは、説明書きのない役者にまる投げのキラーパス脚本。恋人の死ぬシーンでアイの死の衝撃が蘇えり、アクアは演技を続けられなくなります。
読了日:06月12日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 4 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 4 (ヤングジャンプコミックス)感想
有馬かな、ルビー、そしてYoutuber MEMちょも加えて新生「B小町」始動。有馬かなの自虐ネタや2人の間をつなぐMEMちょの言葉、ピエヨンに扮して3人を応援するアクアの支援が面白い!!
読了日:06月11日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 3 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 3 (ヤングジャンプコミックス)感想
この巻は「恋愛リアリティショー」SNSの炎上に巻き込まれた黒川あかねが主人公。そして、黒川あかねのプロファイリング力は想定の斜め上をいき、アイになりきってみせる。アニメでもアイに豹変したシーンは鳥肌が立ちました。「リアリティーという見世物」の危険さを描いた巻。
読了日:06月11日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 2 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 2 (ヤングジャンプコミックス)感想
アニメを見ると、アイにそっくりなはずのルビーは転生前の天童寺さりなを性格をもってきているし、アクアも同じ。このアニメは侮れません!!この号では、アイドルになりたいルビーにひっぱられて同じ高校に入るアクア、そして、上級生の有馬かなとの再会がポイント。そして、有馬かなにひっぱられて、「今日あま」に出演することになるアクア。そして、アイの事情を知るプロデューサーに接近!!
読了日:06月10日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


【推しの子】 1 (ヤングジャンプコミックス)【推しの子】 1 (ヤングジャンプコミックス)感想
友人に勧められてアニメを視聴。双子の推し活のシーンを見て、ドはまりしました。また、業界の事情のエピソードも妙に納得してしまいます。1話だけでも3~4話のボリューム(時間的にも)があったのですが、この1巻が第一話だったんですね。  転生前の事情から始まり、「15年の嘘」は登場人物には何かが起こっているかもしれないという「匂わせ」が見事!!
読了日:06月10日 著者:赤坂 アカ,横槍 メンゴ


ようこそ、わが家へ (小学館文庫)ようこそ、わが家へ (小学館文庫)感想
 最近、池井戸さんの作品をKindleで買いなおしています。今回は「ようこそわが家へ」を再読しました。  銀行員だった池井戸さんの仕事ぶりを想像してしまいます。きっと現場現物で確認し、辻褄の合わないところを究明する勘所がすばらしいです。自分とは違った業界の視点を勉強するのにもよい本だと思いました。
読了日:06月09日 著者:池井戸 潤


詩歌川百景 (3) (フラワーズコミックス)詩歌川百景 (3) (フラワーズコミックス)感想
月刊でも読んでいるけれども単行本が出るのを心待ちにしていました。(要望)雑誌のカラーページを電子書籍でもカラーにしてほしいです。美しいのにもったいない。  リンダを嫉妬する従弟、  リンダの恋  そして、最終話では、海街Diaryのすずの姉、チカちゃんの旦那さんが登場し、行方不明だった山本さん(1巻)の遺品の発見につながります。最後の剛の「おかえりなさい」で涙腺崩壊。
読了日:06月09日 著者:吉田 秋生

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