以降ネタバレです。
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映画『不思議の国の数学者』公式サイト|4月28日公開 (klockworx-asia.com)
感想
高校一年生ですでに高校3年生のカリキュラムを終えるくらいレベルが高い高校。みんな塾に通っているので既に予習済み。質問もなく、授業が終わります。その中で落ちこぼれているのは、母子家庭での特別入学生のハン・ジウ。彼は、先生からは転校をすすめられるが、母の期待を裏切りたくないと思っている優しい男の子です。
出典:IMDB
そんな折、寮の同室メンバーから頼まれて酒類の買い出しから帰ってきたところ、夜警に見つかってしまいます。本当のことをいえば軽くすんだはず。でも、メンバーを【友達】と思っていたジウは一人で罪を背負い、一ヶ月の退寮処分となります。でも、主犯のメンバーは【友達】とは思っていなかったという…。
雨の中さまようジウがいきついたのは、今は倉庫になっている古い寮。そこで、あのパクさんと呼ばれる夜警に再会します。何気なく、パクさんは、ジウさんのカバンからこぼれた超難しい数学の難問を解いてしまいます。
ジウは、パクさんにいちごミルクを授業料にして、毎晩教えてもらうようになります。
パク「この数字は美しくないか」
ジウ「不思議だけどわからない」
出典:IMDB
そんな彼にパクさんは、π(パイ)の数字に1はド、2はレというように音を割り当てて、ピアノを奏でます。これがびっくりすることに本当に音楽なんです。πSongその他はオフィシャルサイトで視聴できます。(こちら)
そんな彼は、「バッハは音楽の始まりで終わり」ときっぱり言います。バッハの楽譜があれば、以降の音楽を再構築できるのだそうです。
パンフレットによると、「バッハ以前に使われていたピタゴラス音律はオクターブが上がるにつれて同じ音程を保つことができずに誤差が生じてしまいます。一方でバッハの平均律クラーヴィア曲集は1オクターブを均一に分けた平均律で書かれています」とのことでした。
そんなパクさんと対極にある先生がグノ先生。
出典:IMDB
生徒のためといいつつ、保護者向けの保身しか考えていない先生で、塾の先生でも間違えるような難しい問題を宿題に出します。あるとき、ジウが先生の問題について、意見を
いうと、「出題者の意図を読んで、解くのが受験では重要」「問題をたくさん解くのが大事」だといいはり、「自然数とするという条件」が必要だとジウには、聞く耳をもってくれません。
韓国の受験状況を物語っているのでしょうか…。
北朝鮮から来たというのは、韓国の人は発音でわかるみたいです。誰も彼もが、パクさんの発音を聞くと「北からきたの」と聞くんです。次第に、世界的に有数の数学者だといくことがバレてしまいます。
ジウといっしょに楽しそうに見えたのは、3年前、実は息子を韓国軍に殺されたから。イムジン川を北上しているときに、無抵抗の少年を韓国は銃殺してしまったんです。彼は、息子を失う一因になったリーマン定理の証明を焼き捨てようとしました。たぶん、彼のトラウマは息子と分かり合えなかったまま、息子が死んでしまったことによるのかなと…。
一方、ジウは期末試験のテストを盗んだ疑いをかけられます。疑いを証明できないまま、学校を去ろうとしたとき、助けてくれたのは、ボラムとパクさんもといイ・ハクソンでした。
出典:IMDB
最後の演説には、さすがミンシクさん。やわらかな語り口からくる現実を語る言葉に、涙腺がゆるくなりました。
心を整えたいときにまたもう一度見たい映画です。
映画館で見るポイント
パクさん(イ・ハクソン)がよく聞いているのはバッハの「Cello Suite No. 1 in G Major, BWV 1007: I. Prélude」です。最初はカセットテープの音ですが、次はジウのスマホの音、最後はホールの音色がわかるのは、映画館の音響のほうが良いと思います。
#不思議の国の数学者みた
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