最近、山岸涼子氏の「レベレーション」が電子書籍化されて、心は14世紀のフランスに飛んでいます。そんなマイブームの中、この映画が公開されることを映画館のチラシで知って、今日見に行ってきました。

 

 

 

注意以降 ネタばれの感想です。

 

 

 

時は14世紀のノルマンディー

1386年12月29日の決闘シーンから話は始まります。まず、決闘の条件が読み上げられ、マルグリットは薪が組まれた高台に足かせをつけられて、男達の決闘を神妙で面持ちで見守ります。

 

その理由を、第一章は主人公ジャン・ドゥ・カルーシュの視点で、第二章はその親友で平民で出世株のジャック・ル・グリ、最後は強姦されたと語るマルグリットの視点で語られるというもの。

 

後生は黒澤監督の「羅生門」に影響されたそうで、一章と二章は、主演でもあるマット・デイモンとベン・アフレックで、マルグリットの章は『ある女流作家の罪と罰』でアカデミー脚本賞候補になった女性脚本家ニコール・ホロフセナーが主に執筆したそうです。

 

(抜粋)

かつて『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で共に脚本を執筆し、私生活でも親友のマット・デイモンとベン・アフレックが24年ぶりにタッグを組んで脚本を執筆したのが本作『最後の決闘裁判』だ。

 

彼らはかつて本当にあった決闘裁判の物語を複数の視点から描くため、『ある女流作家の罪と罰』でアカデミー脚本賞候補になった女性脚本家ニコール・ホロフセナーを迎えて3人で脚本を執筆。アフレックは「男性は自分が何をしてきたかということを事細かに書いて歴史に残したがるが、女性の歴史は目に見える形で残っていないことが多い。本作でマルグリットの視点を作り出すにはニコールが必要だった」と説明する。

 

彼らが書いた脚本に興味を示したのが巨匠リドリー・スコット監督だ。彼は「マット(・デイモン)は取り憑かれたように『羅生門』の話をしてきた。ひとつの行為が三つの視点で語られる。私はこの企画に惹きつけられたのはそれが理由だ」と振り返る。

 

ひとつの事件を複数の視点から語り、それぞれが異なった展開や印象を与える物語運びは黒澤明監督の作品から“羅生門スタイル”と呼ばれることがあるが、本作も史実を基にしながら異なる声を積み上げ、俳優たちの繊細な演技によって同じ出来事を別の視点から描き、カメラワークの違いで見えていなかった部分が徐々に明らかになっていく。

(抜粋ここまで)

出典:ぴあ

 

 

人というのは、自分が見えていないものです。

 

第一章 ジャンはジャックばかりが取り立てられる理由がよくわからず、嫉妬しています。また、都合よく記憶が変わるようで、ジャックに助けられたのに、「助けてやった」とうそぶき、戦いに明け暮れる文盲の騎士でした。

 

1371年、新しく仕えることになったピエール・アランソン伯爵に忠誠を見せようとして、ジャンは深入りしてリモージュを失いますが、ジャックはラテン語、算盤のスキルで税理士になります。

 

第二章 ジャックの視点です。ジャックと彼をひいきにしているピエール伯爵の視点です。何かにつけて、ことを大きくするジャンに辟易するピエール。どちらかというと剣よりも知を好む彼は、ジャンを冷遇しますが、ジャンはそれは我慢ができません。

 

第三章 マルグリットの視点です。彼女は、マリーという親友がいますが、家の中には姑と夫という心の安まらない相手がいます。夫は夜の勤めは果たすものの、自分中心の人。


 そして、課題は同居の姑。マルグリットを身ごもらないことなど、何かにつけていやみたらたら。この姑さんの存在感が怖すぎ。全然前に出てこないのに、あの醸し出している雰囲気は怖いですよ

 マルグリットが強姦されたのも、この姑にも責任の一端があります。彼女が召し使いを全員連れて出かけてしまったからなんですね。


 マルグリットの本心は誰かに聞いてもらいたかったと思うのですか、旦那も旦那で、強姦されたマルグリットに投げた言葉は「あいつが最後の男にならないように、俺が抱く」ですよ。


 出世株の親友への妬みのため、親友を蹴落とすために、国王に直訴して、決闘裁判を申し込むという、最悪の選択をします。代償は自分の命とともに妻の命も。それも、裸にされて火焙りの刑という…。観客は言葉も出ません。

 

 

最後の決闘は、誰が勝っても後味が悪いので、神様のお慈悲を願わずにはおれませんでした。

 

彼らを取り巻く人も、現代につながります。

 

マルグリットの親友マリーは、憧れの騎士だったジャックにマルグリットが強姦されたのを知ってマルグリットに嫉妬します。そして、マルグリットは「ジャックは美しいけれど、信用できない男だ」と言っていたのを都合よく切り取って「ジャックは美しい」と言っていたと教会に証言。怖いですよね、変な妬み~叫び

 

 

 もしかすると、アダム・ドライバーが演じるジャックは今でいうアイドル的な存在で描かれているのではないでしょうか。推しがいる人はいろいろ共感できるのでは…。そんなことを思うほどアダム・ドライバーはセクシーです。

 

 

 

ところで、

 

時は1386年、おそらくこのとき17歳だったシャルル7世の父、シャルル6世も登場します。

 

 

決闘シーンには妻のイザベルも登場します。また、後世のマリー・アントワネットと同じく、当時の流行を牽引していたようで、王妃の真似をして胸を大きく出したマルグリットが夫にとがめられるようなシーンもあります。

 

 

 

そして、当時の蝋燭の照明にこだわっているせいか、全編、レンブラントやラトゥールのような絵画の雰囲気をまとっています。30代後半以上の人は面白いんじゃないでしょうか。

 

 

 

■ご参考

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで、

決闘はどちらが勝ったかというと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンです。