3月8日 エヴァンゲリオンが公開され、3月12日に鑑賞してきました。宇宙戦艦ヤマトで火傷を負った身としては、「エヴァンゲリオン」は、火傷しないように距離を置いておいかけておりました。

 

 

今回、あらゆる伏線を吸収しての「終劇」。

感慨深いものでした。

 

 

 

 

 今回の映画も、網膜が焼かれそう…ということで、後ろの方から鑑賞。今でも、目の奥がピリピリ(黄砂とヒノキ花粉の影響もあるかも)。3回目見ることはないと思うので、備忘録を兼ねたネタバレの感想です。

 

■概要

ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中、ネルフのEVAが大群で接近し、マリの改8号機が迎撃を開始した。一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた……。

2021年製作/155分/G/日本

出典:映画.com

 

 

 

■気になった点

1冒頭、流れる歌

 それは水前寺清子の「真実一路のマーチ

 

シンジ…ツ イチロニ イキタナラ

 

確かシンジは神の子イエスを指していると言っていたはず…。この歌を持ってきたのは、シンジ(ツ)=真実?前作の「もやもや」をひきずらない宣言なのでしょうか。

 

次に流れてきたのは、佐柄直美の「世界は二人のために」。どちらも1960年代の名歌謡曲でしたが、NERVが目指した世界は碇ゲンドウさんの偏見と妄想の世界だったのか…と思いながら、マリと変形エヴァの大活躍を凝視。

 

 

2 マリの戦闘シーンに見るヤマトの影

 

 あれは、大和型ではなかったのでしょうか…。

大和と兄弟艦 武蔵 (出典:ウィキペデア)

 

 あの戦艦の操り方を見て、宇宙戦艦ヤマト2202 第三章で戦艦がグルグルしているのを思い出しました。

 

↓この予告編にもあります。

 

L結界密度の高い赤い大地を見たときは、「宇宙戦艦ヤマト」の放射線に侵された赤い地球が脳裏に浮かびました。

 

ちなみに、庵野監督は人生の分岐点が「宇宙戦艦ヤマト」(旧作)と言っています。思い入れのある作品だからか、「宇宙戦艦ヤマト2201」第一章の絵コンテを手掛けていたり(詳細)、「星巡る方舟」では原画の1スタッフで参加していたり…(詳細)。

 

 

 

そんな監督の想いがそこはかとなく…。

実は、火傷を負ったというのは「復活篇」だったんですが、冒頭でヒロインが爆発に飲み込まれます。それが葛城(加地?)ミサトさんの特攻にかぶってしまいます…。

 

 

 

#あの日、ラストを観客に選択させようとしたプロデューサーにドンビキしました。結局終わらなかったあの復活篇のエンドの片りんをなぜかエヴァで感じたというのか…、故西崎さんの想いを引き継いだような…感じがするんですよね。

 

 

 

3冬月コウゾウ

 

 冬月は旧日本海軍の一等駆逐艦の名前。そして、宇宙戦艦ヤマト完結編で、沖田艦長を残して、クルーは退艦するんですが、退艦するときの艦名が冬月。

 

 

 

 

冬月がマリに「イスカリオテのマリア」といった語調を考えると、ゲンドウが暴走をし始めたころから、そばに控えて、ちゃぶ台返し伏線回収する立場だったんだろうなと。第3の村で転車台がモチーフとして使われていますが、冬月が運命を変える転車台だったのかなぁと思いました。

 

 

4自虐的なセリフ

 

色波:

そんな精神耐性で、エヴァに乗らないでほしかったわね!!

 

これはファンにも監督自身にも投げた言葉では~アセアセ

 

5宇部新川

ラストに出てくる駅は、監督の故郷でもある宇部新川駅。

 

 

 

3月22日放送「プロフェショナルの流儀」の冒頭、庵野監督が橋っていました。よくよく見たら、冒頭に真っ赤な宇部新川駅が出ていました。綾波レイのそっくりさん、シンジ、色波アスカがいる村はもしかしたら、宇部新川なのかなぁと思いました。

 

6同じ遺伝子でも同じようになるとは限らない

 

 綾波レイと同じ遺伝子からなるクローンのそっくりさん。

 

周囲の環境で、すこしずつ、綾波とは違う人格が芽生えてきます。NERVでしか生きられなかったがために、シンジの前で自爆しちゃいますが、飛び散った血のしずくに、綾波とは違う人格だととどめを刺されたのではないかと。自分の行動で、何かがかわることをうっすらでも認識したのか…。

 

 また、ゲンドウが何体も何体もクローンを作りながら、狂ったというか偏見に満ちた「人類補完計画」に至った理由が見えてくるような。

 

 ゲンドウはコミュ障で偏見が強い子供だったことが、後半でわかります。彼にとっては、妻のユイだけが人間で、それ以外はカーストの底辺に生きる愚か者。そのカーストの愚かな人間をユイのような至極の存在にするのが、彼の夢。でも、彼の力だけではユイは戻ってこないので、シンジくんが持っているユイのイメージが欲しかったのかなと。(子供に嫉妬する父親だったのですかね…💦)

 

最後にそっくりさんが残した言葉は、

 

「おはよう

おやすみなさい、

さようなら、

ありがとう」

 

第三村で教えてもらった人生に必要なおまじないでした。

 

7お遊び!?

 

映画の中には、庵野監督の思い入れが深いものがちりばめられています。

 

・トトロ

 ※見つけられず

 

・ウルトラマンのロゴ

 ※シンジが家出から戻ってきたとき、ケンタロウの部屋のロッカーにステッカーがあったのを発見。

 

8「君の名は」

 

 「ゴルゴダオブジェクト」が出てきたとき、もしかして、シンジがゲンドウを第三の槍、ミサトさんが決死の力で作ったヴィレの槍で貫けば、時空が変わるのではないかと思いました。だんだん、「君の名は」のイメージが頭の中をグルグル。

 

 

 

 ラスト、崩壊する真っ白の世界(なんと庵野さんが原画を描いていて、「よろしくおねがいします」でバトンを渡しています)。その世界にいるのは成長したシンジ。彼を神木隆之介くんが演じていますが、ちょっとしたオマージュなのかな…なんて思いました。

 

 

「誰だかわかる?」

「胸が大きい、いい女」

 

そして、彼らのホームの向こう側にはカヲル、レイ、ミサト、アスカ、ケンタロウたち。ゲンドウのユイへの歪んだ愛のもつれがほどけて、彼らの人生がRe:Startしたのかなと信じたいラスト。

 

9渚カヲル

 

渚は陸と海のはざまの意味で渚という名前だと加地さんが説明。なんと、彼は加地の上司で「司令官」。加地役の声優さん、台本の誤植だと思ったらしいです。

 

 彼は「破壊と再生を繰り返してやり直している」というようなことを言っていました。いくつも並ぶ棺は彼のトライ&エラーだったのでしょうか。 

 

ヒンズー教で破壊再生を司るシヴァ神か萩尾望都作「銀の三角」に出てくる時空人のように、失敗(破壊)と再生を繰り替えす力を持っているのかなと思ってみていました。

 

償えない罪はない

 

 彼はそういってシンジを慰めるけど、それはカヲルだから言えることでアセアセ

 

今回の結末はカヲル的にも、満足のいく結末だったのだと思っています。

 

ただ、庵野監督がやりたくなったら、「また始まるかもしれないという余韻を残す」ラストでもあったのかなと…。

 

渚の存在で、「旧」も、いかなる作品のエヴァも、これからのエヴァも否定していないと思うんです。

 

■最後に、3月28日の舞台挨拶の映像です。

 

 

 

 

 

エヴァそのものよりも、

宇宙戦艦ヤマト、君の名はよりの感想でした。