東京富士美術館に初めて行ってきました。

 
この方に会いに。
 
 
到着したのは13時30分頃。その頃は割合、お客さんがまばらで見やすかったです。
 
 
 
今回の目玉の3作品は撮影可能。
サイズ感がよくわかるのではないかと思います。特にヴァトーの「ベネツィアの宴」は小さい。でもその中にドラマがいっぱい。
 
■ジャン・アントワーヌ・ヴァトー
「ベネツィアの宴」
 
■ジャン・フランソワ・コルソン
「休息」
 
そして、
 
■エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン
ポリニャック公爵夫人
額ですら、当時のマリー・アントワネットの好みを反映しているように見えます。
 

 
1月26日まで上野にはマリー・アントワネット様があらせられます。ベルサイユ宮殿美術館にあるポリニャック公爵夫人の肖像とウィーンにある肖像画が東京都に集まっているなんて、奇遇すぎますヒヨコ
 
 
まずは、ヴィジェ・ルブラン夫人の肖像画について、エピソードをメモします。
 
「クリュソル男爵夫人」
アンヌ=マリー・ジョゼフィーヌ・ガブリエル・ベルナール(1785年)
出典:http://www.batguano.com/bcrussol.jpg

2011年3月1日~5月8日 三菱一号美術館で開催されていたヴィジェ・ルブラン展の図録にこんなエピソードがあったそうです。(詳細はこちら

 

(抜粋ここから)

彼女が手にする楽譜にはグルックのオペラ「エコーとナルキッソス」の音譜と台詞が読み取れる。おそらくこの細部は、王妃マリー・アントワネットが1774年、グルックにパリに定住するように取り計らい、彼をフランスの王太子と王女の音楽の教師に任命したことを想起させるためにモデルが望んだか、あるいはヴィジェ・ルブランが提案したのだろう。

(抜粋ここまで)
 
ということは、この方は王妃のお気に入りのひとりだったのでしょうか。
個人的な想像ですが、1784年、フェルゼンがアントワネット王妃に「ルダンゴトを着た女性の肖像」を依頼し、実際に王妃が自分で折って送ったというエピソードを書きました。(詳細はこちら
 
 
このルダンゴトを見るような気がします。王妃のとりまきだったら、モードもまねていたはず…。
 
ヴィジェ・ルブラン夫人は1989年フランス革命勃発後、イタリアに亡命し、各地の宮廷を転々としながら、亡命生活を送ることになります。
 
そして、1795年から1808年ロシア宮廷で滞在中に描かれたのはこの肖像画。
 
■ユスーポフ公爵夫人(1797年)
 
 
モデルはエカテリーナ二世の愛人でもあったG.A.ポチョムキン(1739—91)の姪、タチアナ・ヴァシリエーナ・エンゲルハルト(1769—1841)。ロマノフ家よりも資産を所有していたユスーポフ公爵。
 
どっかで聞いたことがあるなと思って調べてみたら、この方の孫はフェリックス・ユスポフ公爵。そう、「オルフェウスの窓」のファンの方ならご存じかと思いますが、ロシア革命の一因にもなった怪僧ラスプーチンを暗殺したフェリックス・ユスーポフでした。(詳細はこちら
 
 
タチアナの娘すなわちフェリックスの母、ジナイダ・ユスーポフ。写真の佇まいから推しはかると、どんなにか美形の一族だったか…。また、ジナイダ女史は宝石の収集家としても有名で、マリー・アントワネットが作らせたダイヤモンド(14.25 / 20.34カラット)のイヤリングも所蔵していたそうです。(詳細はこちら
 
さらに脱線すると、ブルボン王家で持っていたダイヤでは、ルイ14世が購入したホープダイヤ(元は112カラット、現存するのは45.52カラット)、呪いのダイヤが有名ですね。ランバル公爵夫人もよくこのダイヤを借りて身に着けていたそうです。
 
 
 

 
脱線はこのへんで終わりにして、展覧会に戻ります。
この展覧会で特に印象が強かったのは、ヴァトーのデッサン力とゴヤや後のルノアールを彷彿とさせる筆のタッチ。
 
■「ヴェネチアの宴」
このドレスの質感や肌や髪の美しい光沢。
 
写実的にも関わらず、絵画ならではの洗練された物語性!
このような男女が向き合って踊る構図の中に、二人の心に生じる微妙な感情を表現するのはヴァトーが好んだそうです。
 
心配そうに二人を伺う右端の楽器を持つ男はヴァトー自身だそうです。そして右上の彫像はまるで生きているかのよう。
 
これは私の想像ですが、これがヴィーナスの彫像だとしたら、男にはすでにご執心の愛人がいることを示唆しているようです。
 
ピーンと張りつめた空気感がたまりません。
この絵から、いくつも物語がつくれそう…。
 
また昨年7月に行ったルーブル美術館展でも展示されていたドラクロワの「オルレアン公 フェルディナン・フィリップ 風景の前で」(1843年)の絵葉書(下の画像、右側)がありました。
 
左はルーブル美術館展で展示されていたマリー・アントワネットの娘、マリー・テレーズことマダム・ロワイヤル(1816年)。ルーブル美術館展では、フィリップの絵葉書が売ってなかったんです。かといって図録を収納する場所もなく、記憶の片隅におくしかなかったこの肖像画。ハガキをゲットできてうれしかったです。
 
今回、気に入った絵のハガキです。
この展覧会の絵葉書の印刷がとてもよかった。
 
■上段(左から)
「煙草を吸う男」ジョルジュ・ラトゥール
「クリュソル男爵夫人」ヴィジェ・ルブラン夫人(1785年)
「オルレアン公 フェルディナン・フィリップ」ドラクロワ(1843年)
 
■下段
「ポリニャック公爵夫人」のメモパッド(250円 税別)
「ウェヌス(ヴィーナス)の勝利」フランソワ・ブーシェ
「ファンションの目覚め」ニコラ・フェルナール・レビシエ
 
(原題:Le Lever de Fanchon
これは1773年当時の使用人の朝を描いているものだそうです。年代といい、マリー・アントワネットの架空の人物「マルグリット」を見ているような気がして。
 
■それにしても遠かった。
下の地図で★マークがある場所が東京富士美術館です。
 
左の建物は創価大学。なお、東京富士美術館は創価学会によって設立されたものだそうです。コレクションも私設美術館とは思えないほど、充実しています(詳細はこちら)。
 
まずは今回の展覧会だけみてきましたが、行ってよかったです。きっと近所に住んでいたら、車を運転できたら2カ月に1回くらいは通いそう…。次、行くときは夏場がいいかな。今は日が暮れるのが早くて、13時30分~15時まで滞在して、早々に帰ってきてしまいました。
 
美術館に併設されているカフェ
Cafe SEINE
 
カップやソーサーのオシャレさにびっくり。
 
次は常設展もゆっくりまわりたいです。
ではでは。
 
 
 
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