昨夜、びっくりしたのは樹木希林さんの逝去のお知らせでした。たたずまいだけで含蓄のある演技をされる方でした。一番好きな映画は日本アカデミー主演女優賞を獲得し、カンヌ映画祭でも「ある視点賞」を受賞した河瀬監督の「あん」。もし、追悼番組を企画されるんでしたら、見たいのがこの一本です。
(オフィシャルサイトからお借りしました)
私が素の樹木希林さんにお会いしたのは、2005年第26回ヨコハマ映画祭。このとき、2003年に乳がんが原因で芸能界を離れていた樹木希林さんが久しぶりに来場されて、めざましテレビだけがカメラを入れていました。このときまでは写真を撮影するのが許可されていたので、このとき、撮影した写真は宝物です。
で、10年後の第37回のヨコハマ映画祭で特別大賞を受賞された希林さんが、このとき「あのトロフィーはランプの笠の芯にした」なんてことを言っていたのが、印象的でした。言葉を拝見するにつれ、「あるがままに、でも上を向いて歩いてこられた」という気がしています。
怖い描写だなと思ったのは、この内田裕也さんについてのこの言葉。
「あの人は汚いものにまみれているんですよ。その汚いものをかき分けてかき分けていくと、きれいな鏡をみつけるんです。その鏡に映っていたのは、かき分けてきた(裕也さんの否定し続けてきた)汚い自分」
いろいろな価値観や世知辛い幻想にまみれているとき、人のあらさがししてしまう自分がいます。ひとのあらさがしをする自分で、自分が信じられないから、または自分を肯定したいから、人のあら捜しをして、何かとそれを理由にするんですよね。そういうことの例えかなぁなんて思っています。
闘病の中、生涯現役でこられた希林さんのご冥福をお祈り申し上げます。