先日、字幕版で「ブゴニア」を鑑賞しました。あともう1回見たいと思ったら、すでにほとんどの映画館で終わっていました。今、レイトショーではない時間帯に上映しているのはTOHOシネマズ日比谷くらいのようです。
ブゴニア : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 - 映画.com
■概要
邪悪な地球外生命体が私たちの中に潜んでいるという狂った考えに取り憑かれたテディ・ガッツ。人類を異世界の脅威から救うために、【宇宙人】狩りにいそしんでいます。そのテディ・ガッツの相棒は従弟のドン(左)。
彼の最新の標的は、オクソリス・バイオメディカルの有名なCEO、ミシェル・フラー。
テディは彼女から、地球侵略の自白を引き出し、4日後の月食の夜までに侵略を止めようと決意します。月食まであと4日の日、ミシェルはテディに誘拐されてしまいます。
■スタッフ
監督:ヨルゴス・ランティモス
製作:
エド・ギニー
アンドリュー・ロウ
ヨルゴス・ランティモス
エマ・ストーン
アリ・アスター
ラース・クヌードセン
マイキー・リー
ジェリー・ギョンボム・コー
オリジナル脚本:チャン・ジュナン「地球を守れ!」
脚本:ウィル・トレイシー
撮影:ロビー・ライアン
美術:ジェームズ・プライス
衣装:ジェニファー・ジョンソン
編集:ヨルゴス・モブロプサリディス
音楽:イェルスキン・フェンドリックス
キャスティング:ジェニファー・ベンディッティ
■キャスト
ミシェル・フラー:エマ・ストーン
テディ:ジェシー・プレモンス
ドン:エイダン・デルビス
警官ケイシー:スタブロス・ハルキアス
サンディ:アリシア・シルバーストーン
■感想
Crime101のマーク・ラファロを見て、ヨルゴス・ランティモス監督の作品が公開されているんだったと慌てて見に行ったのがこちら。「哀れなるものたち」と同じく、血みどろ血まみれの展開は辛いのですが、現代だからこそ、見ておいたほうがいい映画だと思いました。目黒シネマで公開されたら見に行こうかしら。
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ここからネタバレです![]()
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映画をみたとき、誘拐した被害者をいうことを聞かせるために拷問をかけるシーンは「ミザリー (映画) - Wikipedia」に似ているとうっすら思っていたんですが、「地球を守れ!」の原作者も「ミザリー」から着想を得たのと「レオナルドディカプリオの正体は地球上の女性全員を誘惑して征服しようとしている宇宙人」というサイトから着想を得て執筆したそうです。
1990年代のディカプリオだったら、それはありだったかも。友人達とも「ギルバート・グレイプ」や「ロミオ+ジュリエット」の頃がよかったよね~と言っていました。
映画のタイトルの「ブゴニア 」ですが、wikiによると、「ウェルギリウスの『農耕詩』を含む古代地中海の文献に記されている民俗儀式の名称」だそうです。この儀式では、ウシを犠牲に捧げることで、その死骸からミツバチが自然発生すると信じられていたそうです。ブゴニアはギリシャ語の「βοῦς」(牛を意味する)と「γονή」(子孫を意味する)に由来し、牛糞による燻蒸は巣箱の健康に有益であると考えられていたそうです。
養蜂家の兄弟は、「巣の働きバチが少なくなるのは、ミシェルの工場が作る農薬が原因」だと考え、ミシェルを誘拐するわけです。
養蜂を【少子化問題】、ウシの生贄を【子供家庭庁】や【出産補償費などの施策】と考えたら、「日本って【ブゴニア】…」。そうなんですよ。この映画は、私達の身近な不条理な世界を描いていると思ったんですよね。国会での立憲民主党、共産党とのやりとりをみていると、ミシェル(与党)とテディ〈野党)のやりとりをみているようでした。
衆議院予算委員会で、3月8日のWBCの試合を東京ドームまで見に行ったかを挙手させる中道の小川議員。
米国に移管したミサイルの正確な配備の場所を予算委員会で聞く共産党の辰巳議員
会議の体裁をなしておらず、一部の議員の内閣に対するパワハラ含みの国会は聞くのがつらいんですけど、この「ブゴニア」を見てから、あのパワハラの耐性がついたような気がします。
閑話休題。映画の話に戻ります。
このテディの妄想がすごすぎます。
まず、誘拐してきたミシェルの髪をバリカンで刈り上げます。なぜかというと、この髪を使って、宇宙船と連絡をとっているからというのがその理由。
テディはミシェルが宇宙人だと決めつけますが、もちろんのこと、エマは否定します。物語の転換になったのは、テディがミシェルをもてなそうとしたときです。テディが与えた服には、ミシェルが知っている名前が記されていました。まるで女王のような風格でテディと取引を試みます。
ミシェルは彼の母がミシェルの会社の農薬で病気になり、訴訟になったことを思い出します。なぜか浮いている母。この描写がすごいです。19世紀の画家、ジョヴァンニ・セガンティーニ - Wikipediaの「悪しき母たち」という絵を彷彿とさせます。
ちなみに、「悪しき母たち」は中野京子氏の「異形のものたち」の表紙になっています。
テディの母を見つめるミシェルはまるでBOSSのCMの宇宙人トミー・リー・ジョーンズのように見えます。
ミシェルは、彼の弱みはで母だと思ったのではないか…と思います。ところが、ここでもすれ違います。テディはミシェルのいうことの意味がわかりません。おそらく、テディの母は「悪い母」だったのじゃないかと。テディは母がいなくてもドンがいれば幸せだったのではないかと。
(この後、ミシェルに騙されたテディは実の母を殺してしまうのですが)
次はドンの説得を試みるミシェル。
でも、純粋すぎるドンは銃で自殺してしまいます。【罪】を償うにはその罪は大きすぎたのでしょうか。保安官が訪ねてきてテディにミシェルのことを聞きます。保安官は、ことなかれ主義の権化のようで、テディに期待する答えは「変わりないよ」。でも、気になることも言っています。
「【あの時は】悪かった」と。
テディの認知の歪みの一端はこの保安官にもあったように思います。テディが保安官の相手をしている間に、ミシェルはなんとか自力で束縛を解いて、テディの地下室を探ります。そして、見つけたのは驚愕の事実。テディはミシェルの前にも、人をさらって惨殺し、標本を置いていました。こういうところはさすが「ミッド・サマー」のアリ・アスターの影響でしょうか。
あの保安官を殺して、家に戻ったテディを待っていたのはドンではなくミシェル。
「何人のアンドロメダ人を殺したの?」
このショット、まるで「地獄の黙示録(Jigoku no mokushiroku (1979))」。
いよいよ月食が始まる夜、ミシェルは会社に戻り、テディを「宇宙船に通じる通路」を案内します。テディはアンドロメダの船についたら、自爆するつもりで、爆弾を体に巻いています。そして、テディに「ここが宇宙船に通じている」といって、自分の社長室のクロークに招き入れますが、テディはそこで自爆してしまいます。テディの頭がちぎれてミシェルの頭に衝突し、ミシェルは気を失います。(あの衝突は即死レベル…)
幽明の境界をさまよっているのか、彼女は強靭な体力で、マスクもはずし救急車から脱出します。そして、あのクロークに戻って向かったのはアンドロメダ星人の船。
















