ツーリング6日目。
上川ファミリーオートキャンプ村の朝。
管理運営にどこか微妙なずれを感じる所もあったが、
やはりきれいに刈り込まれた芝サイト、適度に木陰も差して、いい場所だった。
ゆっくりコーヒー飲みながらこの日を含め残り3泊の動きを考え直した。
今日は初山別みさき台公園オートキャンプ場まで足を伸ばし、明日は芦別の滝里湖キャンプ場、最後は予定通り苫小牧アルテンに行くのがいいだろう。
初山別みさき台公園は週末の人気が高いので、水曜日ならチャンスだ。
一方、芦別は二輪サイトがありレイクビューがよさそう。
9:00になってから初山別を電話で予約し、滝里湖はネットで予約を入れた。
予約していた明日の富良野のはネットでキャンセル。
道具の撤収を終えて、旭川紋別道を上川から西に走り、比布北ICで降りたら、国道40で北上する。
途中、ランチ場所やビュースポットがないか探しながら安全速度で走行する。
マップルで和寒の西に書き込まれている「眺望の丘」が気になったので途中、寄り道してみる。
眺望の丘は、Google検索でヒットしないので、ツーリングマップルのアプリ版とGPSを頼りに彷徨ってみる。
道道48から道道251に入ってすぐの山道に入る。
しかし、マップルの該当地点に行ってもいまいち眺望は開けてこない。何もない、おかしい。
仕方なく諦めて街に下りかけたとき・・・きっとここかと思った。
きっと、ツーリングマップルは線をひき間違ったんだろう。
北海道版を長年担当していた小原信好さんはついこないだ、今年4月に急逝された。
余りにも突然の訃報。
マップルのライターが「足で稼いだ書き込み情報」は、できるだけ自分の目で見に行くということが、読者ができる最大のリスペクトかもしれない。
マップルに赤文字で「和寒、剣淵の丘陵地を望む」とだけ書きこんだ氏の想いが偲ばれる。
何も看板はないが、同じ場所に今立てているだろうか。
天国から答えが返ってくるはずもないが、自分の中では勝手に納得して、勝手に感動した。
丘から剣淵の町に降りたら士別をショートカットし、日本海・苫前まで駆け下りる。
国道239は67kmと、途中でひと休憩も挟みたくなる快走ロングウェイ。前にも後にも通行車両はほとんどない。
午後2時に、ココ・カピウに到着。
和寒で、何度も他の店に心が揺れたが、ここの海鮮丼を食べたくて我慢してた。
入口に立てられた「本日ウニ完売しました」の張り紙に、またかと、小さくがっかりした。
けれど店の人が言った。「ムラサキならありますよ」と。
ならばと、ウニ・カニ・ホタテの三色丼を頼んだ。
値段のことは、訊かないでほしい。「お金は一瞬、想い出は一生」という言葉がある。
自分が今考えた。
初山別には小さなAコープしかないので、少し手前の羽幌のDZマートで先に酒と食料を買い出しした。
焼肉用の豚肩ロースは、包装トレーを剝き取って、サッカー台のポリ袋に中身だけ詰め替えた。
初山別はゴミ持ち帰りなので、嵩張る包装トレーは買ったその場で捨ててしまうほうがいい。
初山別の上の方にある無料のみさき台公園には泊ったことがあるが、オートは今回が初めて。
オートキャンプ場にも500円のフリーサイト区画はある。
バイク乗りとしてブレずにフリーサイトを選ぶのももちろんありだが、オートサイト(電源なし3,000円)を選んだ。
サンセットビューを重視してここは奮発する。
奮発といっても、愚痴をこぼしながらいつも利用している有野実苑のソロサイトは3,700円なのだから、3,000円のオートを選んだっておかしくはないだろう。
ただ、オートサイトは、ソロには手に余る広さ。それどころか、ファミリーでも広すぎる区画サイトだった。
風がやや強いのでガイロープはすべてペグダウンする。
水平線の向こうに、大きな利尻山がはっきり見える。最高のロケーション。
日帰り温泉は500円。
距離感がつかめなかったのでバイクで行ったが、歩いても5,6分しかかからない距離だった。
サウナを2セット。露天で外気浴をしながら、傾いてゆく陽の角度をなんとなく見定めて、いい頃合いでサイトに戻る。
キャプスタのB6を開いて、炭を熾す。
陽が沈むと風も凪いできた。海風に炭火特有の香ばしさが混じり、どこか懐かしい匂いになっていく。
子供時代の夏休みにも、こんな匂いがあった気がする。
早く焼きたい。でも、夕空からも目が離せなくて、忙しい。
このツーリングで初めてキャンプらしいことをしている。
豚肩ロースを焼いて、冷えたサッポロクラシックをひと口。
この瞬間のために板氷まで買って、温泉につかっている間、ずっと冷やしておいた。
やることが地味だが、この一瞬に賭ける執念は本気だ。
それはまるで映画のワンシーンみたいに見える、どこか別の星で見る夕焼けのようだった。
静かで、非現実的で、利尻山のシルエットが茜空に浮かんで、そして夜の闇に消えた。
空き缶も持ち帰りなのでコンパクトにツブしておく。
アスパラも半額の100円だったから買ってあった。
じっくり炭で焼きあげれば、塩と胡椒だけで、じゅうぶんうまい。
……マヨネーズがあれば、もっとうまいはずだが、普通はツーリングの準備段階でマヨネーズにまで気が回らないものだ。
日が暮れたら海は見えないので前面を締め切り、サイドの跳ね上げだけにする。
シチュエーションに応じて前室のバリエーションを変えられるのがマエヒロドームデュオの良いところだ。
各サイトに1個ずつ水道がついている。歩かなくて良いのでこれも地味に便利。
ツーリング7日目。
みさき台公園オートキャンプ場の朝。
ここなら2連泊しても良かったかもしれない。
昨日チェックインの時に日帰り温泉の朝風呂(6:30~7:30受付)の無料チケットをもらったけど、片付けで忙しいので行く余裕がなかった。
次来るときは2連泊しよう。
少し腹がゆるくて、なかなか撤収が捗らない。
サンセットビューに拘って管理・トイレ棟から離れたサイトを選んでしまった。
それでもトイレまで歩いて2分と掛からないが、もし2連泊するならトイレに近い1~5番の電源サイトがよさそう。
バイクに荷物を積み終わって、初山別を発つ前に、下の無料サイトにも偵察で行ってみた。
絶景のオーシャンフロントだ。
水場はある。グラウンドは芝がなく汚い。
トイレがないので、上まで長い階段で上っていく必要があり、実際泊るなら大変そうだ。
結局、初山別みさき台公園には「上の無料サイト」、「下の無料サイト」、「オートサイト」の3つがあるということか。
羽幌の「北のにしん屋さん」でランチしようと思ったが、残念ながら休みだった。
この羽幌あたりの神社のお祭りがあって、たまたまこの日は臨時休業の店が多いみたいだ。
留萌まで足を伸ばして、道の駅で情報収集し、カレー大将で昼食。特大カツカレー(大盛り)。
地域の職場勤めから支持されている人気店のようで、客足は絶えなかった。
留萌から芦別まで行くだけなら深川留萌道に乗れば、それで済む。
だが、道ばたの景色を拾い集めたい。下道を走ることにした。
7月10日。ひまわりは、もう咲いているだろうか。そんなことを思って、北竜ICで降りてみる。
でもIC出口のすぐ横に植えられた数本の茎を見て、ああ、これがひまわりか、と気づいた瞬間、まだ早すぎたんだと悟る。
見たい風景を少し急ぎすぎたかもしれない。
沼田の展望台「萌の丘」まで来た。
ここが舞台になったNHK朝の連続テレビ小説・すずらんのことは全く知らなかったが、ちょっと小高い山に登るだけで素晴らしい景色だ。
遠くに連なる山々と、手前に広がる田畑。その重なりが、何とも言えず美しい。
そのまま国道275号を南下していくと、北竜のひまわり畑にさしかかる。
まだ少し早いと思っていたが、思いのほか咲いていた。
7分咲きとまではいかないけれど、5分咲きくらいはあるかもしれない。
今年のひまわり祭りは7月20日から。あと10日もすれば、ここ一面が、黄金色に染まるのだろう。
北竜、そして雨竜を抜けて、砂川にさしかかる。芦別までは、もうひと息だ。
少しだけ寄り道して、黒瀬ラベンダー園へ向かうことにした。
黒瀬農園へ続く急坂は、舗装が荒れていて、バイクではちょっと肝を冷やす。
たどり着いた園は、ローカルで、こぢんまりとしたラベンダー畑だった。
中富良野の富田ファームのような「魅せる農園」を想像してはいけない。ここは、主が半分趣味でやっているような場所だ。
観光客の姿はなく、代わりに元気な中型犬が2頭、尻尾を振って出迎えてくれた。
ひとつだけあった自販機には、通電の気配がない。
仕方なく、クーラーボックスに残っている昨日の板氷の半分融けたのを飲む。冷えててうまい。
ラベンダーは静かに咲いていた。けど、こういう場所で何ひとつ買うものがないというのは、ちょっと申し訳ない気分になる。
芦別から国道38で滝里湖オートキャンプ場に到着した。
二輪サイトに設営する。乗り入れ不可だったが駐車場所から15mくらいなので問題ない。
ダム湖のレイクビューで850円。ゴミは6分別で捨てられる。
曇り空なので今日はちょっと寒い。
浜松ナンバーのおじさんが何かと話しかけてくれる。
足はK1600だ。どこかの立派な会社の部長さんなのかな。K1600なのにテン泊とは、ロマンチストか。
21時を過ぎると、国道から場内へ続くゲートが閉じられる。
車両の出入りがなくなるので安心な環境だ。
お腹はすでにいっぱいだったので、夕食はつまみだけにした。
買っておいたカニカマは食べきれず、翌朝へキャリーオーバー。
昼の特大カツカレー大盛りをまだ消化しきれない。
19:00で管理人はいなくなるが、管理棟のトイレ・シャワー・ランドリー・自販機などは24時間使える。
シャワーが10分100円というのは有り難かった。落ち着いて汗を流せる。
ツーリング8日目。
昨夜は疲れていたので、朝寝坊する。
二輪サイトにはブタナの黄色い花弁が一面に咲いていた。
昨日は一輪も咲いていなかったのに、たったの一晩で。
こんなことってあるんだな。
K1600のおじさんは2連泊すると言って、テントを片付けずに出発してしまった。
くそっ、その手があったか。
ここは富良野が近いから連泊は理にかなっている。
「ロングツーリングにおける連泊は怠慢と堕落の入口」みたいな、妙な信念があって後ろめたいので基本やらないが・・・いいなあ、連泊。
ようし、それならこっちも行っちゃう。
中富良野のラベンダー・イースト。
ラベンダーソフトは、まるで石けんを食べてるような味がする。
ベベルイから・・・
麓郷を経由して、国道237で金山に抜ける。
午後2時前、占冠の道の駅に着く。
けれど飲食店はまだ準備中だった。
そういえば、占冠でまともに何かを食べられた試しがない。
結局空腹のまま、高速へ。占冠ICから追分ICへとひとっ走り。
そして国道234を下って、苫小牧アルテンへ。
金曜だから空いてて正解だった。土曜のアルテンは経験値の低い民衆でごった返すので騒々しいから。
平日のバイクソロはセミオート1,100円。
金曜日の苫小牧。
そのままフェリーで帰ってしまうのも、ひとつの選択肢かもしれない。
でもアルテンには、600円で入り放題の良質な温泉がある。
翌日は、何の予定もなくフェリーに乗るだけという、一切の時間に追われない余裕。
旅の終章にこそ、この贅沢は外せない。
苫小牧を単なる通過点とだけ考えるのは惜しい。
テントを張ったら、まずは温泉へ。
ひとっ風呂浴びて落ち着いてから、食材の買い出しに出かける。
昨年まで「ビック」だったスーパーは、いつの間にか「アークス」に看板が変わっていた。
アークスに変わっても、豪快な値引きっぷりは健在だった。
黄色い半額値札に興奮を抑えきれず、ついつい買いすぎてしまう。
まぁ、食べきれなければ、船の中でゆっくり食べればいいだけのことだ。
静かな夜になるかと思ったが、そうでもなかった。
隣のCサイトからは、賑やかな笑い声が響いてくる。
会社仲間だろうか。野郎ばかり10数人のグループが、楽しそうに盛り上がっている。
こちらはこちらで、B6グリルに火を入れ、ツブを焼いて、焼き鳥を焼く。
350mlの缶を続けざまに空けていく。
賑やかさの向こうで、自分の時間だけが静かに流れる。
買ってきた半額惣菜はどう考えても食い切れる量ではない。
晩酌を早めに切り上げて、もう一度、温泉へ。
キャンプに限らずだが、湯でさっぱりしてからの食事と、
食事を終えてからの湯——どちらも捨てがたい。
その二兎を、きちんと追えるのが苫小牧アルテンなのだ。
ツーリング9日目。
フェリーに乗るだけの日。
テントを畳み終えたあと、もう一度、温泉へ向かう。これで3回目だ。
温泉は朝10時から開いている。
男女入れ替え制なので、昨日とは違う湯室を楽しめる。
茶褐色の湯はとろりと肌を包み、じんわりと芯まで温めてくれる。
もし雨が降っていたら、
乗船の時間まで、温泉でのんびりゴロゴロしていようと思っていた。
けれど、空は見事に晴れている。
湯に長居するには惜しい天気だった。
そんなわけで、苫小牧の市内をあちこち巡りながら、ゆるやかに、時間を過ごすことにした。
錦大沼公園のハナショウブ園がまさに見頃だった。
お昼はクリッパーの回転寿司。
家族へのお土産を買って、余った時間で苫小牧美術博物館の常設展示を見て過ごす。
1時間でだいたい見れる規模だった。
苫小牧西港フェリーターミナルに到着。
17:00頃から乗船誘導が始まるので、少し早めに、16:30までには受付しておかないと。
このところカッパ着ての乗船が続いてたけど、晴れて良かった。
18:45に出港。食堂がオープンする19:00は、みんながそっちに行くから大浴場に行くチャンスだ。
サウナハット持ってGO!
船での食事も、アークスで。3食を買っておいた。
さんふらわあの食堂ビュッフェもすごく好き。だけど、行列に並びたくない。
個室に籠もって、マイペースに食って飲んで風呂に行く。
9泊10日で、一度も降られなかったのは珍しい。
今回の走行距離は、1,713キロ。
家から大洗までの往復も含めてこれだから、まあ、相当短いね。
スタンプラリーをやってた頃は3,000キロ以上走ったが。
目的が、走りよりも温泉とキャンプだからこんなもんか。
今回は長いの読んでくれた人、ありがとう!