VUCAとは?
会議の終盤。しばらく沈黙が続いた後、
「スピーチの最後は、『VUCA』で締めようと考えています」と天野さんが口を開いた。
「『VUCA』って、何のことだい?」と俺は正直に尋ねた。
大杉さんが説明を始めた。

「VUCA(ブーカ)とは、現代のビジネス環境や社会状況を表す言葉で、以下の4つの英単語の頭文字を取ったものです。
V:Volatility(変動性)
U:Uncertainty(不確実性)
C:Complexity(複雑性)
A:Ambiguity(曖昧性)
つまり、予測不能で、単純な正解が存在しない時代のことを指します」
「なるほど、VUCAとはつまり、“正解のない時代”のことか……」
今までは、“過去のやり方”が“未来の保証”になっていた。
でも、これからは違う。昨日の正解が、明日の足かせになる時代――それが、VUCAらしい。
「つまり、それに対する武器が、ダイバーシティでありインクルージョン。そして、“自ら学び、動く”個人の力ってわけだな」
俺はそう呟いた。
天野次長はうなずきながら、スライドの最後のページを示した。
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