ディスカッション in 鹿児島。
新大阪駅から九州新幹線「さくら」に乗って、約4時間。気がつけば5月の車窓の景色はどこまでも青く、どこまでものんびりしていて、まるで時間がゆっくり流れているようだった。
鹿児島中央駅に着いた。目的地は、鹿児島経済研究所が入っている鹿児島中央銀行の本店ビル。駅からは路面電車で10分くらい。
受付で待っていると、ひとりの女性が追って現れた。落ち着いた雰囲気で、それでいて凛とした佇まい。

「宮原社長。初めまして、大阪ビジネスコンサルタンツの山本です」
「ホスピリンクの宮原です。今日はよろしくお願いします」
ちょうどそのとき、奥から現れたのが水流(つる)所長だ。スーツ姿なのにどこか南国の風をまとっている。

「お二人とも、どうぞ。会議室にご案内します」
こうして本題、「労働人口減少に企業はどう対応すべきか」についてのセッションがスタートした。
山本:「今日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。労働人口が減る中で、企業はどう立ち向かうべきか。率直なご意見を伺えればと思います」
水流:「まず中小企業では、まだまだ業務の非効率が多く、仕事が特定の人に偏りがちです。結果、労働時間の短縮も進んでいません。業務の見直しで、必要な人数はもっと減らせると考えています」
宮原:「うちのホテルでは、職種に関係なく男女が活躍できる体制を整えています。ICTに投資したことで、コストも下がり、営業効率もぐんと上がりました」
水流:「若い人は単純労働にあまり興味を示しません。だからこそ、単純作業は自動化か外注が基本。日本全体のGDPは伸び悩んでいますが、人口が減った分、一人あたりの所得はむしろ上がってるんです。ICTとシンプルな業務改革で利益を最大化するのがカギですね」
山本:「なるほど。では、“労働の質”の向上については、どうお考えですか?」
宮原:「地方で優秀な人材を確保するには、まず高待遇。企業は地域に貢献してこそ価値があると思っています。リスキリングやリカレント教育に加えて、哲学やリベラルアーツも含めた“学びの仕組み”を整えることが大切です。特に外国の方って、『正解のない問い』への対応力が高いんですよね」
山本:「す、すみません。リベラルアーツって……なんでしょうか?」
宮原:「ざっくり言うと、“生きる力を身につける方法”と考えてもらえればいいと思います」
山本:「生きる力……! 深いですね……(メモメモ)」
宮原:「教育投資は、ちゃんと組織に残る仕組みをつくるべきです。3年1サイクルで人材が動く時代ですから。女性、外国人、そして障がい者の方々も含めて積極的に採用・教育しないと。そして社内結婚や子育て支援など、働く人が安心できる環境づくりも大切です」
こうして、あっという間の1時間半。内容はどれも深く、そして実践的だった。
俺のメモ帳はすでに真っ黒。黒豚より濃い情報で、脳みそがかなりヒートしていた。
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