土俗村蔘鶏湯。
できたてほやほやのパスポートを握りしめて関西空港から、韓国・仁川(インチョン)空港へ。

ところで俺はこれまで、カルチャーも料理も含めて韓国にまったく興味がなかった。足を踏み入れるのも今回が初めてだ。
若い頃、仕事で韓国を相手に農水産物の輸入貿易はやっていたが、ほとんどが下関支店の扱いだった。
恥ずかしながら、ソウルがどの辺にあるかすら知らず、地図を見て「おお、北朝鮮の近くなのか」と驚き、「釜山は日本の対馬のすぐそばじゃないか!」と認識する。そして仁川空港のデカさにもビビる。
出口付近で、日本輸出振興会ソウル事務所長の前田さんが待っていてくれた。
襟の「Jeero」バッジですぐに分かった。
「大阪ビジネスコンサルタンツの山本です。所長自らお出迎えいただき、恐縮です」 「遠路、大阪からお疲れさまです。商工連の小里さんとは、昼食会場で合流します」 「分かりました。よろしくお願いします」
繁華街の大通りから、少し路地に入ったにぎやかな店。看板には「土俗村蔘鶏湯」とある。
「チキンスープの店ですかね?」と俺は能天気に聞いてしまった。
「トソッチョン・サムゲタン、蔘鶏湯(サムゲタン)の名店ですよ。平日でも行列ができるほどの人気店です。
参鶏湯は、鶏肉と一緒にもち米や高麗人参、かぼちゃの種、栗、ナツメなど、栄養満点の具材を煮込んで、柔らかい鶏肉と濃厚なスープを存分に味わえる料理です」
「へぇ〜、生まれて初めて食べますよ。楽しみだなあ」
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