これ、毎回はやばいな。
週明けの月曜日、昼近くになり、千崎部長の席に報告に向かった。
「黒龍は旨かったですか?」部長は書類に目を落としたまま言った。
「はぁ、部長、ご存じなんですね。」
「えぇ、まぁ。」千崎部長は、さも当然のように答える。どうやら福井の日本酒事情にも詳しいらしい。
部長が顔を上げた。
「出張報告書は簡単で結構ですが、今後当部から顧客への提案書に使えそうな素材やキーワードは、しっかり文書に残しておいてください。」
「分かりました。」
それから俺は、法人クレジットカードの利用明細を恐る恐る庶務の榎本さんに提出した。内容は、JRのチケット代やホテルの清算など、結構な枚数だ。その最後の一枚が、あの「ステーキ鐵船」の明細だったわけだが。
樫本さんがその金額を見て、「うわっ!」と叫んだのが聞こえた。俺は、何事もなかったかのように、9階の社員食堂へ逃げるように階段を昇って行った。
「あの金額で経費処理できるんだろうか?」と、自分でもちょっと心配になりながら、昼定食を食べる俺であった。
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