半年前に、CB650R e-clutch を注文したような。
「BOXER」に行こうとしたが…。
その日の夕方、寮の駐車場からバイクを出してエンジンをかけようとした。
「ギュル。ギュール。」
まずい、バッテリーが上がっている。
独身寮の前の道は、緩やかだが、長い下り坂になっている。
「1発勝負だな」と心で思いつつ、イグニッションキーをONにして、ギヤをsecondに入れて、クラッチを切った状態で、全力でK75を押した。
勢いがついたところで素早く跨り、クラッチを一気に戻す。
「かかれ。たのむ。」
「カ、カ、カ、ブル。ブル、ブルーン」
「かかった、」すぐにクラッチを切って、ニュートラルに戻し、アクセルをいつも以上に、吹かした。
「ラッキー。」そのまま「BOXER」に向かった。
高井戸の「BOXER」まで、エンストしないよう丁寧なクラッチワークを心がけた。
店に到着すると江口つぁんは店の外に立っていた。
「バッテリー、ダメになったろう」江口つぁんから声をかけてきた。
「まじで、なんで分かったんすか?」
「いや、今、分かった。」「前回来た時とクラッチワークが全く違う。」
「絶対にエンストさせませーんと、お前のクラッチワークが言っている。」
「さすが。そこですか。」
さっさと、降りやがれ。俺は忙しいんだ。
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