リョウタの家の近くには、「あきらめ坂」と呼ばれる急な坂道があった。自転車でのぼるのがとっても大変で、町の子どもたちはみんな途中でおりてしまう。
「こんなのムリだよ!」「押していったほうが早いよ!」リョウタも、何度ものぼろうとしては、すぐにあきらめていた。
でもある日、おじいちゃんにこう言われた。
「できるかどうかは、やってみなければわからない。でもな、“できるまでやる”って決めたら、いつか必ずできるんじゃ。」
リョウタは考えた。
「本当に、ぼくにもできるかな…」少しだけ心がチクッとした。
次の日から、リョウタは毎朝「1メートルでも先へ進む!」と決めて、自転車で坂にのぞんだ。
最初はすぐに足が止まった。でも、次の日は昨日よりちょっとだけ長くこげた。
また次の日、もっと先まで行けた。汗をかきながら、くやしさと向き合いながら、それでも「あと少しだけ!」とペダルをこいだ。
そしてある朝――リョウタは、ついに坂のてっぺんまで止まらずにのぼりきった。
「やったぁー!!!」
風をあびながら坂をくだるその瞬間、胸がドキドキしていた。がんばった分だけ、景色がキラキラして見えた。
「できるかどうかじゃなくて、やるって決めることが一番大事だったんだ」
それから、リョウタは「ムリだ」と思う前に、まず「やってみよう」と言うようになった。