昼に続き夜の部。


■熊谷陣屋(くまがいじんや)


一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)から「熊谷陣屋」の場。


平家物語の登場人物として古文の教科書にも登場する熊谷次郎直実が主人公。


主君、源義経の命で天皇の嫡子の身代わりに自身の息子の首を差し出す熊谷。


熊谷役は仁左衛門の予定でしたが体調不良につき代役は尾上松緑が初役で勤めます。


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これは彼の祖父である二代目・松緑の当たり役。


いつかは挑むべき役ですが、


彼が得意とする役は荒事や江戸の世話物。


このような時代物の実事を演じるには、まだ少し風格不足か。


見どころである正札の見得は迫力満点に決めてました。


これからも頑張れ!



■汐汲


昼に続き重厚な狂言の合間に、中休みとして舞踊劇。


従来の「汐汲」という舞踊に、能の「松風」という演目の要素を取り入れ、


坂田藤十郎が復活させた舞踊。


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昨年の春に大阪で観ましたが、


この形になってからは東京での初お目見えとのこと。



■四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)


安政二年に実際に起きた幕府の金蔵破り事件を題材にした作品。


泥棒を主人公にした「白浪物」を得意とした河竹黙阿弥の原作。


江戸時代の牢屋内における囚人たちの統治システムが、


事実に基づき描かれており、歴史的な意義も深い作品です。



実際の金蔵破りの場や、盗んだ金を使う場面は割愛されていましたが、


二人の男が犯罪を画策し、捕らえられ磔にされて命を落とすまでの


太く短い人生の様を垣間見るには最適な場面がチョイスされていました。



富蔵(菊五郎)と藤十郎(梅玉)が磔の刑を言い渡される大詰の場。
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歌舞伎でストーリーを最初から最後まで演じる「通し狂言」を上演するのは


時間的な制約から難しいので、どの場面を組み合わせるのかも重要。


その組み合わせを楽しむのも一つの醍醐味であります。




「顔見世」の意味合いが薄くなった今日の顔見世歌舞伎ではありますが、


「双蝶々~」の「井筒屋」の戦後東京初上演、


「汐汲」の「松風」版の東京初上演、


そして当代松緑が初役を勤めた「熊谷陣屋」など、初物尽くしでありました。