11月は「顔見世歌舞伎」。
昔は劇場ごとに役者が契約しておりまして、
その契約満期が10月。
つまりその翌月である11月には、
「この一年間、この劇場ではこれらの役者が見られますよ」
という顔見世、つまりお披露目の興行が行われていたのだそうです。
顔見世興行は「演劇の正月」とされ、
年末で財布の紐が固い人々へのアピールの意味合いもあったとか。
現在、歌舞伎の主要劇場は松竹株式会社の運営ですので、
「顔見世」の意味合いはありませんが、
慣例に従って顔見世歌舞伎では劇場の屋根に櫓が登場します。
さて、今月の演舞場では、時代物の西のエースである仁左衛門が出演予定でしたが、
この日は残念ながら体調不良で休演でした。
■双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)
二組のカップルの恋模様に、力士による殺人事件が絡む世話物の名作。
「引窓」という場面が頻繁に上演されることが多い演目ですが、
今回は「井筒屋」「難波裏」「引窓」という三幕上演。
特に殺人事件の発端となる「井筒屋」の場面は、
東京では戦後初の上演らしく、貴重な公演。
義理の兄である長五郎を逃がす与兵衛。
与兵衛役は本来仁左衛門でしたが、梅玉が代役。
先月の染五郎の代役に続き、見事な代打っぷりでした。
仁左衛門が見られなかったのは残念だったけど、
いい演技が見られたので満足。
長五郎役の左團次も円熟味のある演技で◎。
■人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
江戸終盤~明治に活躍した噺家、三遊亭円朝による人情噺を歌舞伎化。
気前のいい江戸っ子、長兵衛は腕のいい左官屋でありながら、
大の博打好きが仇となり、溜まった借金で年を越せない状況に。
娘が奉公に出ることで得た50両を持ち帰る途中、
奉公先の掛け金50両を紛失し、身投げしようとしていた文七に出会い・・・
山田洋次が補綴した中村屋版はコメディドラマ調でしたが、
菊五郎劇団の音羽屋版はより落語色を強く感じる演出。
江戸の世話物は菊五郎の真骨頂。
気のいい江戸っ子親父を演じさせたら右に出るものはいませんねー。
今月の昼の部は非常に濃い演目揃いでした!!


