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カーヴ・ドランジュ たかお社長のブログ

ワインショップを経営する日々のよしなし事、酒を飲みながら思うこと、だらだらと書き連ねております。

ふと思い立って樋口一葉のにごりえを読み返していたんだけど、なんとまぁこんなパンキッシュな文章だったっけ?てな学生時代の自分の不勉強というか感性の低さを改めて感じてしまった次第。

樋口一葉っていうと5,000円札の人ってくらいで実際に読んだことある人は少ないのかもしれないが、この人はすごい、これを明治の半ばに女性が書いたっていうのがなんともすごい。瑞々しく生き生きとしたリズム感ある文章で、情景の描写がとっても映像的。僅か一年ちょっとしか作家として活動していないのに、これだけ世に残る作品を書き上げたってのは恐ろしくロックである。

昔は文語体の読みにくい文章ってだけで敬遠して適当に流して読んだんだろう。ハンセー。

他の作品は、一緒に入ってた『たけくらべ』以外は読んでないから、読まないとあかんわ。やっぱり古典となってるような作品は読んだり聞いたり見たり、経験しとかなあかんなぁと人生の栄養になるものだなぁと自戒を込めて書き留めるものなのであーる。

スコットランドの蒸留所名をどのように表記するかってのは難しい問題で、もちろんスコットランドも英語なんだけれどもかなり訛っていて地元の人の英語なんてほとんどわからない。エディンバラやグラスゴーなんかの南部の大きい町では問題ないけど、ハイランドの田舎町とか島に渡ったりするともう無理で、そこそこ会話できるという英語に対する自信を木っ端微塵に打ち砕いてくれる。

簡単なところで言うと、Islayはイングランド読みではアイレイと発音するが、スコットランドの人はアイラと発音する。以前、某バーのマスターにLEDAIGはレダイグではなくレディエグと発音するんだから案内文書にもそう書けとか言われたが、レディエグの新商品入荷!とかって言っても何のことか気付いてもらえない。

僕がスコットランドに行ったときによく泊る町というか村Craigellachieは蒸留所名でもクレゲラヒと書いてあることが多いが、クレイゲェラァキーと表記するのが地元の発音に近そうだ。たぶんノルディック系の発音なんだろう。はじめてこの綴りを見たときは、どう発音していいものか頭を抱えたもんだ。

Islay島のBunnnahabhainも知らなかったら全く分からない。日本ではブナハーブンと書くが、ちょっと違う感じ。Caol Ilaもカリラではなくコォリラの方が近い。昔はカオル・アイラなんて言ってたことを思えば格段の進歩だけども。Auchroiskなんて、なんでオスロスクって読むのかさっぱり分からない。このオスロスクって表記も誰が決めたのか知らないがなんか違う。なんでchでスやねん。

ポピュラーな名前だけど通じにくい発音としてはMacallanがある。日本語ではマッカランと書くがそのまま言うとまず通じない。これは、マクドナルドとかと共通する問題で、McもしくはMacとその後に分かれてるんだということを意識して話さないと無理なのだ。つまり、マク・アランと言った方が通じやすい。

これは、マッカーサーとかマッカートニーとかスコティッシュ系の人たちに特徴的な名前でJacksonとかのSONと同じ意味合いである。マク・アーサーでありマク・アートニーである。ちなみにアクセントはマクの後の最初の文字に掛る。

最近、グレンモーレンジも地元の発音に近付けて、グレンモランジーと言ったりするようになってきた。

徐々に変更していくのはいいことだろう。でもイングランドの人でも綴りを見て、うーんと唸ってるくらいだから、日本人に正確なところを理解するのは所詮無理な話なのだ。若干マシにしていく作業を地道に続けるしかない。

10年くらいたったらだいぶ表記も変わってるかもね。


昨年末だったかに発売になってたポートエレンの31年を飲ませてもらった。もちろんお金は払ったけど格安で。普段はワンショット6,000円で売ってるんだって。高っ!

で、感想はというと、ん~こんなもんかな…まぁおいしいけど31年も寝てる感じはしないな。これを6000円はちょいと割高感ありありな感じ~。ウチから買ってもらってたから、そこまで言わなかったけど期待度が高すぎたかな。


ところで以前、『なんでUDはこんなに人気のあるポートエレン蒸留所を閉鎖しちゃったんですかねぇ』てなことを訊かれたことがある。当然ながら僕が決めた訳じゃないから正確な理由はわからないけど、なんとなく想像することはできる。

まず時代背景を考えてみよう。

ポートエレンが閉鎖したのは確か1983年。僕は中学1年生なので実体験してる訳ではないけど、この頃って世界的に(特にアメリカと日本で)ピーチツリーフィズなんてカクテルが大流行して、アルコール度数も低くフルーティーなリキュールやスピリッツが売り上げを伸ばした。反対に旧勢力代表みたいになってしまったウィスキーは売上をガンガン落としていき、各蒸留所も生産調整せざるを得なくなっていた。

そこでUD社のような大きなグループでは生産拠点である蒸留所を集約することを思いついた…。

というのが、そもそもの話である。


で、UD社はアイラ島に持っていた二つの蒸留所を集約しようとして、どちらか一つを閉鎖することにした。その2択がカリラとポートエレンだったのだ。

そして彼らはカリラを残すことを選んだ。


経営的に生産拠点を集約しなくてはならないのは仕方ないことなので、ここではこの2択の結論が正しかったのかどうかを考えよう。

僕の考えを先に言っておくと、UDは至極真っ当な結論を出したと思う。僕に選ぶ権利があったとしてもカリラを残しただろう。

今我々が口にできるポートエレンは27年熟成以上の物が大半である。1983年に閉鎖してるんだから当然だ。それと現行品のカリラ12年とかと比べるのは不公平である。

僕はオールドボトルのポートエレン8年というのを飲ませてもらった事がある。

ポートエレン8年は、非常にモルティでピーティさももちろんあり、なかなかのもんだ。でも『なかなかのもん』っていうのは逆に云えばやや個性に乏しく、アイラモルトの王道は行ってるんだろうけど際立つものがない。同じモルティでピーティなアイラモルトであるラフロイグと比べても、そこまで骨太でもなくピーティさも穏やかである。かといってボウモアのようなトロピカルフルーツを思わせる酒質を持つ訳でもない。アードベッグやラガヴーリンのような爆発するようなピート感もない。

極めて中庸。

対してカリラはどうだろう。現行品は大人しくなってしまってるからそこまでの個性は感じなくなっているが、昔のオレンジラベルとかのカリラ15年とかを飲んでみよう。僕は初めてこの酒を飲んだ時にちょっとショックを受けた。こんな超ドライな酒があるんや!ブルーチーズのようなピリピリきまくるピートとあくまで引き締まった酒質ガツンとくる潮っぽさ。こんな攻撃的なウィスキーはそうない。


今の閉鎖蒸留所に対するノスタルジーからポートエレンを過大評価する向きもあるが、僕の中ではまぁまぁの蒸留所という評価でしかない。当然、カリラを取る。


もちろんいかなる蒸留所でも閉鎖されてしまうのは残念なことなので、続けれるならそれに越したことはないがあの状況なら致し方なかったかとも思う。選択としては、ま、正解です。


バカ高いポートエレンを買うくらいならもっといいアイラモルトはありますよ。コレクターの人はもちろんコレクションで買って下さったらいいけど、実際に日々飲んで楽しもうって方にはおススメしません。


追記すると、同じUD社がロウランドで下した選択は間違いだったと声を大にして言いたい。

グレンキンチー、ブラッドノックとローズバンクで何故ローズバンクとブラッドノックを閉鎖するのか。バカヤロー!

正に痛恨の極み。特にローズバンクは今からでも再開して欲しい。僕にお金があったら買収してでも再開したい。

一生無理そうだけど…。