デパートへ行こう!
図書館でタイトルに魅かれて借りた真保裕一の『デパートへ行こう!』
- デパートへ行こう! (講談社文庫)/真保 裕一

- ¥780
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明かりの消えた深夜のデパート。誰もいないはずの店内に、それぞれの目的を果たすべく人目を避けて潜り込んだ人々と警備員が、鉢合わせして互いの思惑が狂っていくという内容です。
恥ずかしながら真保裕一という作家もよく知らず初めてだっのですが、面白かったです。
略歴を調べてみるとアニメーターから作家に転身したそうで、息をつかせず惹き込むシナリオ展開はさすがだと思いましたし、デパート業界についての表現も、以下のごく一部ですが引用の通り、作家らしからぬするどいビジネスセンスを感じました。
娘の目から見れば、そこに行くだけで何でもそろうというコンセプトの百貨店は、もはや時代遅れの店なのだとはわかる。専門店に足を運び、こだわりの品をセレクトして、自分という個を主張する。それが彼女たちの世代だった。
ここはもう、加治川の知るデパートではなかった。
そう、単なるファッション専門のテナントビルだ。子ども連れで一日楽しくすごせる場所ではない。映画館やゲームセンターを併せ持ったショッピング・モールがそれに取って代わり、世間もデパートに温もりを求めなくなったのだ。
多くの客は、夢ある暮らしを家族そろって見つめたいと思うのではなく、安売りという現実を追い求めて汲々としている。昔は誰もが夢を持てる時代だったからこそ、デパートは人々を引きつけた。でも今は夢なんか、どこにもない。
しかし、レビューを見ると、真保ファンの間では『デパートへ行こう!』は真保作品の中では、展開が予定調和、登場人物が多すぎて掘り下げが足りないなどで、あまり評価は高くなかったです。
他の真保作品はもっと面白いかと思うと、これからいろいろ読んでるのが楽しみです。