火葬場に着いた
昨日はよく分からない感情のまま
立ち去った
そこに居ていいのか分からなくて
あまり見ないように
ただただ通り過ぎただけ
今日はゆっくり向き合いたい
怖いかもと構えてはいたが
何十分も眺めていると
自然で当たり前の光景であり
生と死は対極のことではないんだと
気づかされる
運ばれる薪に
火がついたばかりの薪
轟々と燃える薪
真っ黒に燃えきった薪
薪を運んでくべる人
布で覆われお花を飾られた死体を担架で運ぶ人
親族を率いて儀式を行う人
それを眺める地元民と観光客
死人から落ちた花を食べるヤギ
それぞれが
それぞれに役割がある
燃え尽きた場所に
また新しい薪が運ばれる
そこに次の遺体が運ばれる
繰り返し繰り返し
私のイメージする葬儀のように
別れを悲しむ様子もない
最後にここに来れたこと
ガンジス川に帰ること
が何よりも
意味が在る事なのかもしれない
ずーっと様子をみていて
その場を離れない
私は後方の階段まで下がって
子どもたちを含むその光景を眺める
輪廻とは
古代インドのバラモン教で生まれた思想で
命あるものは何度も生まれ変わり
生前の行いによって
次生まれる世界が決まるというもの
しかし輪廻は苦行とも考えられ
輪廻の世界から抜け出し
永遠に生まれ変わることのない境地に
達する事が至福の状態とされる
死後、灰を聖なる川に流せば
輪廻から解脱できるとされている
輪廻転生すること
どちらかと言えば
ポジティブにとらえていた私
新しい価値観に触れる
電車の時刻もある
そろそろ行こうかと声をかけて
ゆっくりと宿まで歩く
子供までを惹きつける
ガンジス、バラナシ
また戻ってきたい