31)後② | 岩感の正体

岩感の正体

全成俯瞰全

元ブラジル代表のジョーや元スペイン代表のアンドレス イニエスタ、元ドイツ代表のルーカス ポドルスキといった世界基準の華麗なプレーが繰り広げられたスペクタクルな熱戦は、ほんの数センチの差で神戸に凱歌が上がった。

残留争いに巻き込まれた両チーム。暫定15位の名古屋は勝点34、対する神戸は同12位で勝点37と、名古屋が勝てば勝点で並び、得失点差で上回ることができる。神戸が勝てば残留争いで大きなアドバンテージを得ることになる状況だ。

この試合、名古屋は3試合ぶりにフォーメーションを[4-4-2]に戻した。右SBには櫛引 一紀を起用、左SBには金井 貢史が戻った。対する神戸は大きくメンバーを変更。GKにはリーグ戦初出場の前川 黛也が、ディフェンスラインにはアフメド ヤセルが5試合ぶりに、中盤の底には伊野波 雅彦が明治安田J1第5節以来の先発となった。攻撃陣は1トップに古橋 亨梧が入り、その下にルーカス ポドルスキとアンドレス イニエスタが並ぶ。

試合の立ち上がりを課題としていた名古屋だが、この試合ではわずか3分でチャンスを作る。左サイドでエドゥアルド ネットの裏に抜けるパスを受けた前田 直輝がDFをかわしクロスを送る。しかしジョーのダイレクトシュートは相手GK前川の正面に飛び先制点を挙げられない。すると徐々に神戸ペースで試合が進んでいった。

「前半は一方的に攻められた。相手に気持ちよくサッカーをやらせてしまった」とベテラン・玉田 圭司が悔しがったように、神戸は6分、ルーカス ポドルスキのミドルシュートで名古屋ゴールを脅かすと、10分にはDF裏に走り込んだルーカス ポドルスキにアンドレス イニエスタが絶妙なタイミングで浮き球のパスを通し神戸が先制点を挙げる。一瞬でも遅れるとオフサイドになろうかというアンドレス イニエスタの技が光った。

その後も試合の主導権は神戸に。名古屋は相手のカギとなるアンドレス イニエスタとルーカス ポドルスキへのマークが甘く、彼らを自由にプレーさせてしまった。多くの得点機を作られるが、GKランゲラックの好セーブもあり、なんとか最少失点で前半を折り返す。

後半に入るといきなり名古屋が同点に追いつくゴールを決める。金井に代え和泉 竜司を投入しシステムも3バックに変えた名古屋は、キックオフからそのまま神戸ゴール前に持ち込み、小林 裕紀のパスを受けた玉田がGKの体勢を崩して角度のないところからゴール。同点に追いついた。

その後も名古屋がボールを支配。神戸は古橋を起点としたカウンターでチャンスを作るが決め切れないでいると、勝負を決めたのは元ドイツ代表の世界の技だった。85分、右サイドからルーカス ポドルスキがドリブルでカットイン。DFはしっかりついていたが、一瞬のスキを作り左足を振り抜くと、シュートはゴール右上に突き刺さった。

4万人以上を集めたホームで負けられない名古屋はアディショナルタイムに、前田のクロスを玉田がヘディングシュート。しかしこれはクロスバーに当たり真下に落ちたが、ラインを割らずゴールとはならなかった。クロスバーの数センチ下に当たっていたら、ボールが落ちる角度が数センチ内側だったらと思わせる、まさに勝敗を分けるシュートだった。

試合はそのまま2-1で神戸が勝利。勝点を『40』に伸ばし残留争いで有利な状況に。名古屋はまたしても“もったいない”結果となり、勝点を上積みすることができなかった。