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林 太郎

猫好き弁護士 東京在住 「動物の愛護及び管理に関する法律」に関心を持っています。 伴侶動物は猫3頭 2頭は家、1頭は虹の橋

3 自治体の犬猫引き取り義務の撤廃
 現在、自治体の保健所や愛護センターで殺処分される犬猫は年間20万頭を超える。売れ残りの犬猫を持ち込むブリーダー、ペットショップや、繁殖させて世話をしきれなくなった犬猫を持ち込む一般飼養者も後を絶たない。一方、自治体もそのような安易な持ち込みを拒絶できないのが現状だ。

 その理由は、現行法では、所有者が犬猫を持ち込んだときは自治体は「これを引き取らなければならない」と規定され、自治体の引き取りが義務化されているからだ。

 そこで今回の改正では、自治体の無条件での引取義務を撤廃し、正当な理由がある場合に限って引き取り義務を認める方向に修正がなされると予想される。


4 虐待の防止
 糞まみれのまま飼養されている犬、感染症や皮膚病などの疾病の治療も受けさせないまま飼養されている猫など明らかに虐待にあたるケースについて、警察サイドが動物虐待罪で立件しにくいのが現状だ。

 その原因の1つが現行法の動物虐待罪の定義があいまいなことだ。現行法では動物虐待罪は、「餌や水を与えないで衰弱させる等の虐待を行うこと」と定義されているが、この定義の中の「等(など)の虐待」に何が含まれるのか不明だからだ。警察としても、定義中に具体的な行為類型が定められていれば立件しやすくなる。

 そこで今回の改正では、現行法の動物虐待罪の定義を修正し、具体的な行為類型が盛り込まれることが予想される。

 もう1つ警察サイドが立件しにくい理由は、動物虐待罪の罰則が低すぎることだ。

 現行法では動物虐待罪の罰則は50万円以下の罰金であり、懲役刑はない。同じく動物関連法である外来生物法の3年以下の懲役、300万円以下の罰金と比べても格段に低い。警察としても、「苦労して立件しても罰金払えばそれでおしまい」という徒労感がある。

 そこで今回の改正では、罰則の引き上げもなされると予想される。

 動物愛護管理法の改正が間近だ。民主党のワーキングチームは連休明けにも改正案をまとめ、野党との協議の後、法案を本国会に提出する予定だ。
 今回改正が予想される事項をまとめてみる。


1 幼齢犬猫を親から引き離す日齢

 今回の改正の目玉である。親から引き離す最低限の日齢を法令で規制することが、殺処分減少への大きな原動力となるとされているからだ。

 犬猫は出生後一定期間、親兄弟と共に過ごすことで社会化することが動物行動学の研究から明らかになっている。社会化とは、人間や他の動物への警戒感をなくし、仲良く生活できるようになることをいう。

 社会化ができないと吠え癖や咬み癖などの問題行動が治らないことが多い。現在自治体の保健所や愛護センターに持ち込まれる犬の約3割は問題行動が治らないことを理由とするものだ。社会化できていない犬猫の流通を減らせば殺処分を減少させることができると期待されている。
 ところが、現行法では、幼齢犬猫を親から引き離す日齢については、「適切な期間」親兄弟と共に飼養することとしか規制されていない。そのため生後40日程度でオークション経由
でペットショップへ販売されているのが現状だ。

 そこで今回の改正では、幼齢犬猫を親から引き離す日齢について、具体的数値で規制が盛り込まれると予想される。ただ、具体的数値をどう定めるかについては、欧米で既に実施例のある8週齢、ペット業界の主張する45日、その間をとった7週齢など意見が分かれる。


2 対面販売・対面説明・現物確認の義務化
 動物のインターネット販売の問題である。インターネット販売をめぐっては国民生活センターに数多くの相談が寄せられている。その多くは「写真の子犬と違い、可愛くない」など実際の生体を現実に確認していれば防げるトラブルである。

 ところが現行法では、インターネット販売についての規制はなく、生体については写真で示しても可、動物の特性等の説明についても電子メールで可となっている。

 そこで今回の改正では、動物を販売する際の対面販売・対面説明・現物確認の義務化が盛り込まれると予想される。

犬・猫へのストレスを防止する観点から、本年1月20日に動物愛護管理法施行規則の改正が行われ、犬・猫の午後8時から翌朝8時までの展示が禁止された。新法は本年6月1日から施行される。


これに反発するのが猫カフェ業者で構成される業界団体だ。猫カフェは成猫が中心であり、ケージに比べ格段に広い空間で猫を展示しているので、猫にストレスは与えないというのがその理由だ。業界団体は、夜間展示を禁止した新法は、営業の自由を保障した憲法に違反するとの意見書も環境省に提出した。


確かに、今回設けられた犬・猫の夜間展示禁止の規定は、主として深夜に犬・猫を販売している繁華街のペットショップの規制を念頭に置かれたものであって、猫カフェは念頭に置かれていなかったのも事実である。


そこで環境省も一定の条件を満たした猫カフェについては、新法施行後も2年間は猶予期間を設けて夜間展示禁止の対象から外し、猶予期間中に猫カフェ規制の必要性について再度検証するという案を検討中だ。


禁止の対象から除外される猫カフェの条件は、①展示されるのは成猫(1歳以上)であること、②成猫が自由に飼養施設内を行動でき、自由に休憩場所に移動できること、③展示時間は夜10時まで、というものだ。


一方、動物愛護団体からは、猫にとっては見知らぬ人と会うこと自体がストレス。猫カフェを禁止対象から外すべきではないとの意見が寄せられている。


環境省は、猫カフェを夜間展示禁止の対象から除外するか否かについて意見公募(パブリックコメント)を実施する予定だ。