学童クラブには、どこの学校にも、二・三名の発達障碍児(と思しきお方)に出会います。

 

 私はやさぐれおっさん故に複数の小学校を渡り歩いており、市役所のヘルプで呼ばれた小学校では、大抵そういった行動特性をお持ちのお方のお守をします。

 

 彼らと接していると、ふと昔の思い出がよみがえりました。

 

 当時、知り合いの中学校の先生から聞いた話です。

 

……

 その子は、当初は普通学級でお勉強をしていた中学一年生でしたが、授業中に教室を抜け出して行方不明になることがしばしばあったため、特別支援学級に入級することとなりました。

 

 特別支援では先生の目が行き届きやすくなりますが、困ったことに教室内で大騒ぎしたり、他の子に迷惑をかけてしまったりと、大変世話のかかる子でした。

 おまけに、放課後は窃盗や住居侵入を起こすようになりました。

 

 犯罪行為が繰り返されてしまったため、その子は程なくして、自宅から遠く離れた矯正施設(宿泊付)に入所が決定しました。

 

 その子は、ADHAであるが故なのか、親から虐待を受けていました。

 

 真剣に、親を憎んでいました。

 

 親自身も子を愛していなかったので、相思相愛の真逆でした。

 

 

 それから数年が経過し、その子はふと中学校に姿を現しました。

 

 変わり果てた姿でした。

 

 赤い髪にピアスだらけの顔…まだ幼さは残るものの、完全にヤンキー姿でした。

 その子は、母校がなつかしくなり(一年も在籍していませんでしたが)、中学校に顔を出したそうです。

 

 その子の話を聞いたところ、今は(地域最底辺の)公立高校を辞め、飲食店で働いているそうです。

 辞めた理由も、たばこを吸っているのが先生にばれたため。

 

 

 あれから随分経ちますが、この子は大人になり、今、どこで、何をしているのでしょうか?

 

 おそらく、まともな人生は歩んでいないことでしょう。

 

……

 

 今私は、ADHDの子のお守をしています。

 とても衝動性が強く、頭のスイッチが入ると、言葉では止めることができません。

 押さえつけると、暴れだし、暴言を吐きます。

 癇癪持ちで、遊び中でも自分の思うような結果にならないと、奇声を上げて暴れだし、持っているものを投げつけます。

 

 でもスイッチが切れて普通の状態になると、大人しく可愛い子になります。

 

 この子には、適切な医療と矯正が必要です。

 

 学童にいては、この子と親にとって、何の解決にもなりません。

 

 昔私が先生から聞いたあの子のようになるのか…暗澹たる思いです。