PTSDという言葉は、結構メジャーになってきましたので、ご存じの方は多いかと思います。

 

 PTSDとは、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験に晒されたことで生じる、特徴的なストレス症状群のことをさします。

 (一般社団法人日本トラウマティック・ストレス学会より)

 

 精神的衝撃とは、災害、暴力、深刻な性被害、重度事故、戦闘、虐待などが挙げられます。

 

 ストレス症状の具体例は、トラウマとなった出来事に関する不快で苦痛な記憶が突然蘇ってきたり、悪夢として反復されたりすることです。

 また思い出したときに気持ちが動揺したり、身体生理的反応(動悸や発汗)を伴います。

 

 一方、PTGという用語をご存じの方は、少ないかと思います。

 

 PTSDとは逆の概念で、「心的外傷からの心理的成長」を指します。

 

 この概念はポジティブ心理学における用語であり、危機的な出来事や困難な経験を乗り越えた後に、ポジティブな心理的変容が生まれることを指します。

 

 具体的にどのような成長がもたらされたかというと…

 1 他者関係:他者との親密感が増し、人間関係を重視するようになった。
 2 精神的変容:宗教的な信念が強くなり、人間のすばらしさを学んだ。
 3 人生の感謝:毎日に感謝するようになり、他者を思いやるようになった。
 4 新しい可能性:自分の人生の価値を理解し、新しい興味をもった。
 5 人間の強さ:自分の強さを実感し、困難に対処できるようになった。

 

 つまり、トラウマをポジティブに捉えましょう、ということです。

 

……

 以上を踏まえ、私のケースを取り上げます。

 

 私はブラック職場で精神を破壊され、うつ病を患いました。

 人間関係で悩み続け、慣れない仕事に翻弄され、上司に苛め抜かれました。

 慣れた仕事に戻されることなく、うつをさらに悪化させ続け、退職を余儀なくされました。

 退職後手にしたのは、わずかばかりの障害年金と精神保健福祉手帳。

 

 うつ病は改善傾向に向かっていますが、ふとしたことで過去の辛い記憶が蘇り、気分が落ち込みます。悪夢にうなされることもあります。

 

 私の場合、PTGに該当するような成長は、全く見られません。

 

 危機的な出来事を体験した先に待っていたものは、厭世観と人間不信です。

 

 もう二度と、正規の職場に戻ってコアな人間関係を築くことはできません。

 

 そのため、やさぐれた人生を送っています。

 

 今の日本社会に対して、悲観的な将来しか思い浮かべることができません。

 

 トラウマをポジティブに捉えることなんて、とても考えられません。

 

 なので、今の私には、とてもPTGなんて概念を信じることはできないのです。

 

 トラウマから成長できた人がいましたら、ぜひ教えてください。