この前、久しぶりにバスに乗ったら、「バス運転手大募集」の貼り紙。

 

 文面を見るからに、「本当に着て頂戴! 来てくれないと困るのよ!!」的なニュアンスを感じます。

 

 そういえば、昨年私が求職活動をしていた頃、やたらタクシー運転手の求人が来ました。

 固定給は高い、二種免許を持っていなくても会社持ちで取らせてくれて、その間も給料支給という優遇ぶり。

 

 でもさすがに、タクシーにせよバス運転手にせよ、人を乗せて運転するのは、とてもしんどそうなので尻込みしてしまいます。

 

 なのでこの業界は、少々給料が高くても、乗客からの賛同は得られるのかな、と思ってしまいます。

 

 二種免許を取るのも、とても大変かつお金がかかるそうですから。

 

 話は変わり、大阪万博です。

 

 大阪市内とその周辺地域を走る地下鉄「大阪メトロ」の車内が、大阪・関西万博の会場への送迎を担うバスドライバー募集の広告にジャックされているそうです。

 よほど人手が足りないそうで…

画像

 

 十年以上前の2012年に当時の大阪市長が何をやったのかを知っている人は、「今さら何言っちゃってんの? アホでしょ。」と呆れてしまいますね。

 

 当時の大阪市長は、浅はかにも市バスの運転手らに対し「今までとち狂ったような給料で生活していた」と断罪した上で、民営化前だった大阪市交通局のバス運転手の年収を4割削減しました。

 

 これまた当時の大阪府民も、浅はかにも大阪市長の「英断」に賛同し、この市長は総理候補にまでのし上がりました(これは言い過ぎか?)。

 

 これぞポピュリズムの集大成。

 

 仮想敵国(ここでは公務員)を作り出してナショナリズムを煽り、国民の支持を集めるやり方は、ポピュリズムの常とう手段です。

 

 ただ世界史において、このやり口を実践してうまくいった例はありません。

 

 この元市長は事実上政界から引き釣り降ろされ、今はコメンテーターとして言いたい放題言っています。

 彼は実務家ではなく、評論家向きなんでしょうね。

 

 さて、市バスの給与を下げた結果どうなったかは、言うまでもありませんね。

 

 大阪市に限らず、バス業界は運転手不足に悲鳴を上げ、全国各地でバス路線が廃止、縮小され、便数も減少しています。

 

 大きな理由は、長時間労働・低賃金。

 

 元々バス運転手は長時間残業を強いられていたからこそ、残業代がつき、給料が高く見えてしまったのです。

 

 それで「バス運転手は給料が高い!」等と叫んだ元市長は、愚か者の極みです。

 

 現役バス運転手としても、たまったものではないですよね。

 

 長時間残業に苦しめられた挙句に給料を減らされ、成り手がいなくなって運転手が減り、待遇は酷くなるばかり…

 

 ここへきてとどめの一発が、2024年からの残業規制。

 

 まさに風前の灯火ですね。

 

 当時、バス運転手の給料削減に乗っかった親愛なるマスコミ様へ。

 そんな元市長をコメンテーターとして重宝するのではなく、当時の施策の成果検証でもなさったらいかがですか?