人事院は5月13日、2024年度の国家公務員採用試験で、一般職(大卒程度)の申込者が前年度比7.9%減の2万4240人となり、過去最少を更新したと発表した。

 省庁の幹部候補でキャリアと呼ばれる総合職の春試験の申込者数は3月に公表しており、過去最少の1万3599人だった。

 

 国家公務員に限らず、地方公務員の申込者数もまた、減少傾向にあります。

 

 理由は諸説ありますが、世の中景気が良くなると、民間企業に人材が流れると言われています。

 事実、バブル崩壊後の公務員人気は、それはそれは高いものでした。

 

 でも、今って本当に、景気がいいんですか?

 

 私にはそうは見えないですね。

 

 確かに、一部の大企業は業績が改善しているし、株は高いし、有効求人倍率も高いです。

 しかしその一方で、実質賃金は一向に上がらず、庶民は物価高に苦しみ、求人倍率の高さは、単なる人材不足からくるものだと考えられます。

 

 私が考える理由は一つ。

 

 新卒の若者にとって、公務員の仕事は魅力を感じないからです。

 

 要するに、学生時代に好きでもない勉強をしてまで、公務員になりたいと思う学生が減っているからです。

 私たちおっさん世代が考える以上に、今の若者たちは仕事のやりがいを求める傾向が強いのです。

 

 元々公務員の仕事の大半は、地味で派手さはなく、つまらないものなのです。

 

 公務員=安定 という大原則は変わりませんが、それだけでは公務員の担い手は増えません。

 

 公務員=仕事が楽 という勘違いも、昭和世代の幻想もしくは妄想から生まれてくるものです。

 

 今の公務員職場の多くは、ブラックです。

 

 長時間残業が当たり前の部所が、ここ三十年間で、格段に増えました。

 

 この三十年で何があったかと言えば、公務員の定数削減の嵐です。

 

 地方公務員数は、平成6年の340万人近くをピークに減少を続け、令和5年は280万人まで減りました。

 

 これだけ理不尽に人を減らせば当然、公務員の仕事は忙しくなります。

 

 近年の行政需要の高まりで、仕事は相対的に増えていますから。

 

 ありがたいことに、標稼ぎしか考えていない首長や議員様、利権に群がる各種団体様、公務員叩きを生きがいとするマスコミ様のおかげで、公務員の仕事は果てしなく膨張します。

 

 仕事はつまらない上に長時間残業、こんな仕事、誰が選びますか?

 

 もう少し、具体的に言いましょう。

 

 実務能力の高い公務員は、そうでない人の尻拭いをさせられます。

 実務能力の低い公務員は、公務員であるが故にクビにできないので、数少ない場末の組織(=ヒマで最もやりがいのない仕事)に飛ばされます。

 

 つまり…

 能力の高い人にとっては、公務員は勝ち組ではありません。
 能力の低い人(もしくは能力の低さを演じている人)にとっては、公務員は勝ち組です。