課長は部下だけでなく、上司からも辛い目に遭います。

 

 これぞ、板挟みになる中間管理職と呼ばれる所以です。

 

 課長級以上の管理職は、部長と呼ばれます。

 

 彼らは、一人だけの部屋をあてがわれます。

 

 そして給料も跳ね上がります。

 

 部下と言えば数少ない課長だけですので、部下の指導育成に苦労しません。

 

 だって大抵の課長は、常に理不尽の嵐にさらされているので、何をしても歯向かいません。パワハラも連呼しません。

 「できない」と言ったら、軍隊の世界でいう敵前逃亡にあたり、重罪です。

 課長こそ、優秀なる社畜の集大成です。

 

 部長は部屋に引きこもっているか(何をしているか分からない)、会議の場でふんぞり返っているか、それだけの存在にしか(ヒラ社員からは)見えないので、勝ち組にしか見えません。

 

 厄介なことに、彼らは更なる高みを目指して、分かりやすい業績に飢えています。

 

 つまり思い付きで、面倒な仕事を増やしてくれます。

 ご丁寧にも、従来の仕事も、コンプラや業務改善という名の魔法を使い、難しい仕事に仕立て上げてくれます。

 

 そして、…課長が呼ばれます。

 

 困るのは課長ですね。

 

 新たなる仕事を振ろうにも、課の社員たちは長時間労働でオーバーワーク。

 仕事なんてふったら切れられるか、パワハラと言われるか、どちらかです。

 

 そうなったら、プレイニングマネージャーの本領発揮。

 自分で、部長から与えられたミッションに挑まなくてはなりません。

 

 部長にあげたら「俺(私)のやりたいのはこんなじゃない!」と駄々をこねられ、持ち帰って検討し、また部長にあげて、また駄々をこねられて…の無限ループ。

 「これって、何かの罰ゲーム? 王様ゲーム??」

 自虐的な笑みが、口元を歪めます。

 

 部長向けの定例業務の報告でも、部下と同席する課長は、ダメ出しを最大の武器とするドS部長に優しく責めたてられ、「練り直し」を食らい、某首相も大好きな検討地獄が始まります。

 そして全く用をなさない手持ち資料が増殖し、ファイルが何十冊にもなります。

 (これぞブルシットジョブ)

 

 私のいたブラック職場には、課長達の墓標がたくさんありました。

 「つはものどもが ゆめのあと」そこに、かつての面影はありません。

 

 志半ばにして…さぞかし、無念だったことでしょう。

 

 課長達の願いは二つ…課長が一番偉い組織である小さな出先(支店)に異動してお山の大将になるか、勝ち組の部長に昇格するか。

 

 まあ、ポンコツと化したやさぐれおっさんにとっては、どうでもいい話です。