派遣の仕事を始めて間もない頃、珍しく若い派遣の人に出会いました。

 

 とても気さくな方で、私のような厭世観漂う中年男性に対して、フレンドリーに話しかけてくれました。

 

 聞くところによると、誰もが知る大手企業を退職し(残業時間が半端なかったらしい)、紹介予定派遣制度を利用して、正社員としての勤務先を探しているそうです。

 

※紹介予定派遣とは

 派遣先の会社に直接雇用されることを前提に派遣される働き方

 

 このように、前向きに派遣制度を利用している方もいることを知り、若干気分がよくなりました。私とは大きな違いです。

 

 私が就活をしていた頃は、ちょうど就職氷河期にぶち当たっていた時期でした。

 バブル崩壊と共に不景気が訪れ、企業は求人数を抑制しました。

 このおかげで、私の世代は就職難に直面し、仮に才能があったとしても正社員として採用されず、出口のない非正規の道を歩む人が多数に上りました。

 

 しかし今の雇用情勢は当時よりも改善しており、若者が職にあぶれることはない…はずです。

 

 若者が職にありつけないことは(おそらく)なくなりましたが、離職率が高いことも近年の若者に見られる特徴です。

 「3の法則」とも呼ばれますが、就職後3年以内に離職する割合が3割ということです。

 終身雇用制度がなくなった昨今、若者は一つの会社に縛られることがなくなりました。つまり転職を前提として、職を探しているわけです。それはそれで、良い傾向なのではないでしょうか。

 

 ただしそれには、大前提があります。仕事をする中で、転職市場において売りになる知識や経験、資格を身に付けることです。それから、転職は40代のうちに済ませておくことです。

 

 何も持たずに辞めてしまうと、私のようになります。

 

 あの時会った若者が、どこぞの会社で正社員として元気に働いていることを願っています。