天気もそんなに良くなさそうだし、週末だからどこも混むだろうし、どこに出かけて何をしようと考え込んでしまった。
鎌倉はきっと紫陽花の季節だから混雑しているだろうし、人混みの秋葉原も都心もうんざりするなあ。
京都へも腰が上がらない。
とりあえず、ふらりと行けるところで京都方面への途中。
熱海ならこだまも止まる。
そうだ。熱海へ行こうとなった。
新百合ヶ丘まで小田急線で出て、そこからロマンスカーで小田原まで行き、東海道線に乗り換えて熱海まで。
ロマンスカーはほぼ満席だった。でも大多数は箱根に行くみたいだった。
人々は座席で飲み物や食べ物をテーブルに乗せて、ワクワクしている雰囲気。
車窓からの景色はどんどん都会らしくなくなってゆく。
川の中に腰近くまで入って釣りをしている人たちがいる。田んぼの畦道を親子が歩いている。その向こうにモリモリと山の緑が濃くて、緑の上には夏の空。
そんな景色に見惚れていたら、あっという間に小田原についてしまった。
東海道線ではドアの近くに立っていたら、海が見え始めた。久しぶりに見る日本の海。
ふと思いついてから、なんとも呆気なく熱海についてしまった。
電車の中で予約を入れておいた素泊まりの宿「瑞宝荘」は熱海の駅前の商店街のすぐ先だった。
まだチェックインには早い時間だったので、荷物だけ預かってもらって、宿の女将のアドバイスに従って、坂道を上がって行ったところにある「来宮神社」へお詣りに行くことにした。
ここへ来るのは2回目。緑が鬱蒼としていて、なんとなくここだけ少しだけ薄暗くて、でもそれが陰気な感じではなくて、空気がしっとりとしていて浄らかな感じがする場所。樹齢2千年の楠に人々は手を合わせていた。
そのあとは、勢いよく流れる小川沿いを海岸に向かって降りていった。
細い路地は昔から変わらない感じで、川の流れる音が心地いい。
川の音にも、木の葉が風にそよぐ音にも、精霊の小さなざわめき聞こえるような気がする。
熱海は私が子供の頃に祖父母と訪れた頃とあまり変わっていないように見える。
つまり、昭和40年代の頃と同じ雰囲気。
そのうち、サンビーチへ出た。
子供たちが水際で遊んでいたけれど、泳ぐにはまだ早いみたいだ。
私たちはお腹が空いていたので、熱海駅まで戻って魚を食べる事にした。
店で私は地元で釣れた魚の海鮮丼を注文した。このお味噌汁にはアオサが入っていて、潮の香りがして美味しかった。
商店街はとても混んでいて、温泉まんじゅうの湯気があちこちで上がっていて、練り物の串焼きを食べている人が沢山いた。
ニューサマーオレンジに、金目鯛や鯵の干物、わさび漬け、かまぼこ、欲しくなるものがいっぱい売られていたのだけれど
この後も旅を続けるので、我慢した。
新百合ヶ丘からロマンスカーで1400円。買い物だけにきてもいいかもしれないと思うくらい海の幸、山の幸が豊富で昭和の雰囲気がムンムンの魅力的な商店街だった。
宿のこと、熱海の夜も面白かったので、それは次回。