庭に鈴蘭と勿忘草がひっそりと目立たないところに咲いているのを見つけた。
勿忘草はヴィクトリアンな絵葉書などによく使われる花で、私にとっては菫と同様に可憐なイギリスらしい花の印象がある。勿忘草はまるで雑草のように飾り気なく野の花として咲いているし、鈴蘭も大きな葉の下に隠れるようにしてひっそりと咲いているのが可愛い。
少し摘んできて、飾ってみた。
小さなインク壺のようなアンティークのガラス容器に挿してみた。
鈴蘭の清らかな香りがふわっと漂った。
イギリスでは、今まで見たことのない花がメドウや庭に咲いているので面白く、その名前を調べるのには
古本屋さんで買ってきたポケットガイドブックが役に立った。手帖ほどのサイズ。
野の花と庭の花のガイド。活字や絵がとても好みなので、ただぱらぱらとページをめくっているだけでも
楽しい。
野に咲く茎が細くって楚々とした佇まいののの花が好きだ。
花びらが薄くって、透明感のある色合いで、儚い感じの花。
イギリスにはそんな花が多くて、優しい色合いの緑や空の色にとっても似合うのだった。
メドウや庭でそんな野の花を摘んできて家に飾るのは、花束で買ってきた花を花瓶に生けるのよりも
心のこもった、気持ちがスッとする時間だった。
なぜかサンディエゴで、野の花を家に飾りたいと思ったことは一度もない。
この優しい植物への気持ちは持ち帰って、新しいサンディエゴの生活では、また違ったスタイルで植物のある生活を楽しみたいと思う。