サンディエゴの少し内陸に入ると、そこにはアメリカ西部の大らかで広大な自然が広がっている。
友人の家は、サンディエゴの中心部から車で東へ30分ほど行ったところにある。
エルカホンというエリアをすぎると、目の前に巨大な象が蹲っているような形のエルキャピタンという山が見えてくる。
その山の谷を挟んで向かい側に友人は住んでいて、その山を望む近所のトレイルを一緒に歩こうと誘ってくれた。
目立たない、住宅わきの入り口からトレイルに入った。
気温が上がりそうだということで、暑くなる前の7時から歩くことにした。
太陽の熱で、地面が暖められて、土と植物のいい匂いがしている。空気は軽く、暖かい。
中心部にある私の家のまわりでは見たことがない花が咲いている。
友人は、葉をちぎって、これは、ホワイトセージ、これは、カリフォルニアセージと教えてくれて、香りを嗅がせてくれる。
ホワイトセージは、乾燥させて燻して、空間を浄めるのに使われたりする。
もともとは、インディアンの文化なのだろうけれど、南カリフォルニアでは、とてもポピュラーでヨガをする人やスピリチュアルに興味がある人が使うイメージがある。
カリフォルニアセージは、甘いとってもいい香り。
私達の目の前を白い丸い尻尾の兎や、トカゲが横切る。
このトカゲは、ホーンドリザードというらしい。
「昔はよく見たけど、もう10年くらい見てなかった!」と友人が歓声をあげた。
ワオーン。ワオーン。という大きな鳴き声が聴こえてくる。これは、孔雀らしい。
よく、野生の七面鳥も目にするらしい。
トレイルに沿って、山を下って、登って3時間いろんなことを話しながら私達は歩いた。その間、1人も人に出会わなかった。
青い空と、ワイルドな植物や動物と、大自然を独り占めしているかのような素晴らしい時間。
友人は犬達を連れて、ほぼ毎日このトレイルを歩くという。
なんという贅沢。
そんな秘密の場所を教えてくれた友人に感謝しつつ、残り数日になったサンディエゴの滞在中にここに来られて本当に良かったと心から思った。