

私中学2年生。
母は調理師として
病院に雇われた。
住居付き。
看護婦(当時の名称)寮の
寮母も兼ねて、寮の一部屋が
与えられた。
母は同棲していた男と別れてきたのだ。
新しい街で、新しい生活を始める。
と言った。
知人の家に預けられていた私は
数年ぶりに母と二人だけで住めることになった。
私は嬉しかった。
母と一緒に住めるというだけでなく、
母が男と別れたこと。
そして、新しい男もいなかった、こと。
私の父が死んでから、
母がつきあっている男がいないのは
初めてのことだった。
私、母を独り占めできる。
幸せだった。
本当に。
母、早朝から病院の調理室で働き出す。
寮は病院棟の隣。
6時半私は母が働いている調理室に行く。
即席ラーメンチャルメラを自分で作る。
毎朝。野菜は入れた記憶はないが、
卵は入れた。毎日、毎日同じ朝ゴハン。
そして、毎日7時28分の電車に乗る。
遠くの街の中学校へ通う。
チャルメラは箱ごと買った。
夕食は寮のキッチン。
うどんを作って一人で食べた。
相変わらず貧乏だった。
毎日同じものを食べていた。
でも私はとっても幸せだった。
母と二人きり。
寮の風呂にも一緒に入った。
そんな経験は初めてだった。
だって風呂付きの家に住んだことがなかったからだ。
しかし、
そんな楽しい時間は長く続かなかった。
数ヶ月後。
あの男が私たちの生活に舞い戻ってきた。
そして、母は私に言った。
妊娠したみたい。と。