「運転免許更新センターへ行けるかな」からの続きです。
結局その日の朝、明石の運転免許更新センターへ行って来ました。
活性炭入りの防じんマスクと、普段用の手作りマスクを重ねて着けて
柔軟剤から目を守るためのサングラスに
髪の毛に臭いが付くのを防ぐための帽子。
それと聴覚過敏症対策の耳栓をして
紫外線防止で長袖シャツ、手袋、日傘をさします。
大体、こんな感じです。
気合いを入れて出発。
自宅から舞子駅まで、青い海を見ながら坂を下って行きます。
街路樹がキラキラして美しい通りです。
なるべく人のいないところを歩いていましたが
後ろから走って追い抜いたお嬢さんが
私の目の前で走るのをおやめになり、歩き出しました。
うう、なぜだ、なぜなんだ。。。
柔軟剤の臭いで、家を出てわずか10分でノックダウン。
胃がムカムカして、頭がモウロウとした状態で舞子駅へ着きます。
大阪方面行の電車が30分遅れ。
でも明石方面への快速電車がすぐに来たので、最前車両へ乗り込みました。ラッキー。
人も少なく座席も空いていますが、柔軟剤が服に着くといけないので座りません。
柔軟剤の臭いが充満しているので、クーラーの風が出るところに立ちます。
みなさん、私、汗臭いのに、ごめんね。。。。
5分もしないうちに明石駅に着いた頃は、もうほとんど視界がおかしくなっています。
焦点がどうにも合わないのです。
柔軟剤の臭いがする改札の階段を恐る恐る降りて
ふらふらと何度か迷いながらバス停へ向かうと
神戸学院大行きのバスが発車するところでした。
慌てて乗り込むと、皆さんが私を見ているような気がして
(本当は誰も見ていないはず)
一番後ろの席が空いていたので急いで座りました。
しまった。。。!
前席の方から強い柔軟剤の臭いがして、座ったことを後悔します。
10分ほどで「免許試験場」に着き、下車します。
あれれ、更新センターはどっちかな。。。左だな。。。。
久しぶりだなあ。。。明石の更新センター。。。。
窓があるのに薄暗くて、天井の低い圧迫感のある建物。
一体どなたが設計されたのかな。。。
昔から少しも変わらないなあ。。。と入館して感じました。
人だかりがあるのを感じます。
辺りがぼんやりして、足が地についていない感じがします。
思考能力も無くなっていました。
耳栓を着けているので頭の中で、ごおおおおお~~~と雑音がしています。
人の声もはっきり聞こえてしまいます。
声がする方へ流れるがままに歩き、窓口へ突き進みます。
最初の混雑する受付以降は、私くらいの年齢の女性係員がおられます。
それぞれの窓口で、早口でおっしゃることを、聞き逃さないように集中します。
なんにも悪いことをしていないのに
だんだん、怒られているような気持ちになってきます。
私は排水溝にぐるぐると流される虫のようでした。
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今年で更新が6回目になりますが、毎回私は交通安全協会に入会しません。
「必要な道路を作る費用になります」とおっしゃりますが
なぜ低所得の一般市民から入会金を取って、それで道路を作るのでしょう?
更新時に必ず入会を求められます。
京都の更新センターは1回だけだったの対し
今回、明石では3回も求められました。
ひと昔は窓口でもっと執拗に求められましたが、それはおやめになったようです。
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さて、ついにこの日、一番ショックだったことが起こります。
更新手続きの作業の一つに「8桁の暗証番号を入力する」というものがあります。
ご高齢の女性が、その作業にどうやら戸惑っておられます。
「ええ~これ、どうやんの。。。???」
係員は一人もおられません。
私は自分のことでいっぱいになってしまい、声をかけられませんでした。
すると私の後ろにおられた男性が
「代わりにやりましょうか?」と、親切に教えて差し上げていました。
なんとなく、そのようなことが起こっているなあ。。。
という気配を、もうろうと感じながら
私はその女性を助けられなかったこと、声をかけてあげられなかったことが
とても情けなくなって、恥ずかしくなりました。
自分はこんなに器量の小さい人間だったのだな。。。
落ち込む暇はありません。
後ろから後ろから、人が押し寄せてくるので、先へ進みます。
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不思議なのが、視力検査はとてもスムースでした。裸眼で一発でパス。
でも実際はぼやけて見えています。
ヘッドライトなんて、まぶしくて目を開けていられません。
この視界のモヤモヤは、化学物質過敏症の症状のひとつです。
危険ですので、もちろん運転は一切しません。
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やっとの思いで証明写真を写す窓口までたどり着きました。
もうヘロヘロです。
笑顔の人は誰一人いない空間で
写真を撮ってもらっている、一人の若い白人男性がいました。
オレンジ色のラフなコットンシャツに茶色のチノパンツ。
中型のリュックを肩にかけながら、笑顔で係員と話していました。
その人をぼんやりと遠くから眺めていたら、自分の番がやって来ました。
でも並ぶ列が間違っていました。
「あんた、あっち」と
また並び直しましたが、すぐに順番が来ました。
「はい、写しますよー 座席の後ろまで座ってくださいね・・・
あー、手に持っている、そのかばん、それ、降ろしてください・・・
・・・はい、もっと顔を上げて、あっ・・・レンズを見て・・・はい!」
この後、受け取った新しい運転免許証の写真は
「これは一体誰なんだ?」と 思うものでした。
化学物質で赤く膨れ上がった顔を、何度も修正した形跡があります。
全体に色が薄く、青い背景が白っぽい水色に変わっています。
苦心して頂いたのだなあ。。。ありがとうございます。
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終盤に入ります。20分後に30分間の優良講習が待ち構えています。
事前にお手洗いの場所を確認しておきます。
何か起こったら、すぐに駆け込むためです。
席は出入り口に近い2列目の端。
冷房がかかっていましたが、窓や扉が開いたままで安心していました。
案の定、大部屋に次々と講習生が入ってきて
私は柔軟剤の臭いに囲まれてしまいました。ピンチ!
腹痛、吐き気と頭痛に耐えながらパイプ椅子に座ります。
『あともう少しの辛抱だから、がんばれ。。。!』と
舌を噛み、手首にあるの失神防止のツボをグリグリと押しまくり
マスクを3重にし、鼻を手で押さえます。
冷や汗もじんわり出て、息苦しくて動悸がします。
残り時間あと・・・10分。。。。
5年後の更新時は、私はどうなっているのだろうか。。。。
自分の周りが黒く淀んでいるように感じます。
もうだめだ、教室を出よう。。。
と、その時、教官が終わりを告げられました。猫のように私は教室から飛び出します。
新しい免許証を受け取り、足早に建物から出て
太陽で熱く照り返すコンクリートの地面に立ちます。
私の中には「バスや電車で帰る」ということは、もう、ありえませんでした。
「運転免許更新センターへ行ってどうだったか その2」 へ続きます。
