尾池和夫の記録(416)京都の地球科学(369)『氷室』2025年1月
京都の地球科学(三六九) 2025年1月号 題5行
兵庫県南部地震三〇年(一)
尾池和夫
一九九五年兵庫県南部地震による大きな揺れで阪神淡路大震災が発生してから三〇年となった。記念してさまざまな企画があり、さまざまな行事が行われている。
気象庁は「「阪神・淡路大震災」特設サイト」をウェブサイトに開設した。「甚大な被害が発生した阪神・淡路大震災(平成七年(一九九五年)兵庫県南部地震)から、令和七年一月一七日で三〇年となります。
兵庫県南部地震の発生当時は「震度七」の判定は現地調査により決定することとなっていましたが、この時「震度七」の判定に時間を要したことを踏まえ、震度計による観測で迅速に「震度七」を発表するとともに、気象庁以外の機関が整備した震度計のデータも取り込むことで、きめ細かい震度情報を発表できるようになりました。
また、この地震をきっかけに、政府の地震調査研究推進本部が設置されたことを受けて、気象庁では、各機関の地震観測データの一元的な収集や精密な解析処理を行うこととなり、我が国の地震調査研究にも貢献しています。
この特設サイトでは、阪神・淡路大震災を振り返るとともに、今後の地震に適切に備えていただくために必要な防災知識等に関する情報を掲載しています。」とある。そして当時気象庁が発表した情報から今行われているイベント情報まで豊富な情報を提供している。
「ひょうご安全の日推進県民会議」は〈https://tsunagu117.jp/〉に震災三〇年の特別サイトを開設した。「忘れない」「伝える」「活かす」「備える」「繋ぐ」のもとに、兵庫県民に焦点を置いて、さまざまな情報が提供されている。
内閣府政策統括官(防災担当)が防災推進協議会の協力で発信する「TEAM防災ジャパン」でも関連する多くの情報などを紹介している。この「TEAM暮防災ジャパン」は「多様な防災の担い手を生み出す環境や、そうした担い手が地域の中であるいは地域を超えて人的ネットワークを構築し交流する中で、防災の意識、知識、技術、能力等を高めていくことができる環境を作っていく必要がある」という認識のもと、「その環境として、地域コミュニティ等の地域に根ざした防災主体、企業やNPOなど社会構造の変化の中で生じてきた多様な防災主体、防災を教育・研究する有識者、公助の主体である行政など、防災に関わる様々な主体を結び付けるプラットフォーム(意見交換の場)として「TEAM防災ジャパン」を構築し、多様な防災の主体を育み、協働するための息の長い国民運動を行っていくものである」とする組織である。
震災のその後の日々福寿草 稲畑汀子
兵庫県立美術館は企画展「三〇年目の私たち」を二〇二五年三月九日まで開催している。六人の作家が参加している。
國府理、一九七〇年京都府生まれで、乗り物の形態をモチーフに、実際に稼働する動力と機能を備えた大型の立体作品を制作する。
束芋、一九七五年兵庫県出身、長野県在住。手描きドローイングと日本の伝統的な木版画の色彩を思わせるアニメーションを用いたインスタレーション作品で知られ、現代日本社会に潜む問題をシュールでシニカルに表現する。
田村友一郎、一九七七年富山県生まれ、京都府在住。既存のイメージやオブジェクトを起点にした作品を手掛ける。
森山未來、一九八四年生まれ、兵庫県出身。五歳から様々なジャンルのダンスを学び、一五歳で本格的に舞台デビュー。二〇一三年文化庁文化交流使としてイスラエルに1年間滞在、ヨーロッパ諸国で活動。
梅田哲也、一九八〇年熊本県生まれ、大阪を拠点に活動。現地にあるモノや日常的な素材と、物理現象としての動力を活用したインスタレーションを制作する一方、パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品など。
やなぎみわ、一九六七年神戸市生まれ、京都府在住。美術作家、舞台演出家。一九九三年エレベーターガールをテーマにした作品で初個展、以後国内外で個展多数。「女神と男神が桃の木の下で別れる」川中島 II」など。
米田知子、一九六五年兵庫県明石市生まれ、ロンドン在住。20世紀のイデオロギーをテーマに、戦争や震災の傷跡が残る日本国内およびヨーロッパ、東欧、アジアなど幅広い地域における人々の記憶が強く残る場所を訪れ、徹底した対象へのリサーチを重ねながら制作を続ける。
神戸大学は「 阪神・淡路大震災三〇年特設ページ」を解説している。「被災地の国立大学として、防災・減災や復興にかかわる研究に取り組み、研究成果の発信、地域社会への貢献を進めてきました」「神戸大学は、震災で学生と教職員合わせて四七人を失いました(旧神戸商船大学を含む)。その経験は常に研究の原点にあり、震災にかかわる資料の保存・継承、さまざまな被災地への支援活動にもつながっています。国内外で大災害が頻発する今、全学的な蓄積や取り組みを次世代に伝えるため、この特設ページを開設しました」とある。神戸大学の総力で取り組むウェブサイトが貴重な研究成果を提供する。とりわけ、都市安全研究センターの吉岡祥一教授による「巨大地震発生のメカニズム解明に挑む―震災三〇年シリーズ」は参考になった。
震災の日を見し雛でありにけり 稲畑廣太郎