開成の国語はわかりやすい | 2025 中学受験に向けて

2025 中学受験に向けて

2024年1月現在・小学5年生の娘の中学受験までの学習、活動などを綴っていきたいと思います。SAPIX には新2年生から通塾中。

開成の国語入試問題、どんな文章かなと思って読んでみました。

味わい深い・・。
80年代のバブル時代の建築業界を江戸時代の武士になぞらえ、東京と地方の労働環境の違いに触れ、創造的な仕事に必要なものは何か、と言うことが語られています。
どういう人が書いているのかな?、と思ったら隈研吾でした。(『人と住居』)
あ、買おうと思ってた本だった・・、読んでもらえなさそうだと思って保留にした本です。

この問題をやれば、本の一端に触れることができるな、そこから読書の幅が広がればいいなと思い、
てへぺろ「この問題解かせてみるか!」
と思ったのが2週間前。



体調不良とその遅れを取り戻す勉強を優先するなどしてようやく着手できました。

なんでSAPIXオープンの前日やねん・・、という思いが無いわけではありません。
即効性のある地理なども勉強していますが、知識系の科目は当たり外れがありますし、思い出す・思い出せない、みた・みてないといった偶然性にも左右されます。

しかし、論理的に構造を捉える方法は、どんな問題にも汎用性があります。
ここで、おさらいしておけば100% (国語の)試験に役立ちます。
まだ完全にモノにして使いこなせているわけではないので、しっかり思い出してもらいましょう。
・対比構造
・抽象化、具体化
・並列関係、階層構造で見る
などのアプローチを確認。
*これについては社会の記述のブレストなどにも使えます。


入試問題自体は、大問2つの記述問題に漢字が申し訳程度に4問。
大問2は女子の物語。
絶対これ喜んでやるやつじゃん、と思いました。
(「終点のあの子」柚木麻衣子 作。恵泉のOGで、文芸部のコーチもしているようですね。)


問題文を読ませてみると、、

難しい!全然わからない!!

と、10分ほどでギブアップ宣言ゲロー


え?そんなに難しかったのか・・・?

と思いましたが、

やらせてるのは最高レベルの学校の過去問ですからww、

「じゃあヒントをあげよう」

と優しく対応。できるまで意地でも考えろという場面でもないのでね。。。

# いろいろ勉強したりあそんだ後だったので、疲れもあり、集中して考える気にならなかった雰囲気あり。


「どういうこと書かれてる?」

「対比で捉えられるものはない?」

「それを言い換えると何?言い換えとか、抽象化で対応できるところない?」


いくつかの問い(=考える切り口) を投げかけて、あとは自分でやらせました。

カラーペンの使用もOK。


20分ほどでできた答案がこちら。採点もしてみました。



正確な配点は分かりませんので、3つの記述問題で42点としています。15/42 = 35.7%

ネットでサクッと調べた感じでは、合格者平均は 65%くらいかな?



配点のおおまかな考え方として、今回は大問2つだから50点ずつ、漢字で8点としたら残りが42点、3つあるから1つ14点と考えるように、伝えました。

各2行の記述なので、1行あたり7点、1要素2、3点として考えれば、何か3つくらいのポイントを書けば、部分点はもらえるだろうと。

もちろん、肝となる構成により多くの配点が置かれている可能性はあります。

ただ、こんな感じでざっくり捉えておけば、少しでも多くの情報を盛り込んで、より密度の濃い文章を書くことにつながると思います。





解説

(DLできる解説はそこまで詳しくないので、私の解釈。)



この問題は綺麗な対比構造で書かれています。

ただ、時代を超えた2つの対比があり、それを入り組んだ形で文章にしているので読み解くのが少し難しく感じるとおもいます。

1) 戦国時代  vs 江戸時代

  ||        

2) 戦後から70年代 vs 80年代


・戦国時代では武士が刀を持って戦い活躍したが、全国統一という目的が果たされた後は平和になって役割を失う。平和になると、存在意義を正当化するために武士道精神を振りかざす。

・戦後の建築業界は復興で忙しかったが、そのフェーズを終えた後は、その存在意義を正当化するために必要のない物を作り、利権を振りかざした。


まとめるとこういうことが書かれていました。

この構図を論理的に整理できると、問いに対して綺麗にまとめて回答できると思います。

ただ、そのまま抜き出すというよりは、必要な要素をうまく抽出、編集する必要があります。

模範回答では抽象化して言葉を変換しなくても良さそうでしたが、武士と建築業界を対応させる書き方だと枠が足りないので、抽象化が必要だと思います。




東京、檮原(ユスハラ)の環境の違いも対比で表現されています。

ここも抜き出しに近い形で要約できれば回答できますが、文字数を減らすためにも、要素の整理、抽象化はできた方が望ましいように思います。


もう一つのポイントは、2つの具体的なエピソードの対比。

基本的にはここを書けば良いのですが、対比の前に著者が建築家として仕事をする上で大切なことを書いている箇所があります。

意義のある仕事とはどういうものか、どういう環境かでそれを達成できて、どういう環境下ではできないか。


それを踏まえて要約すると、

・檮原では建築家として大事な仕事をする環境が整っている。

・具体的には、職人と直接対話することで、創造的なアイディアが生まれたり、仕事に忙殺されないので考える時間がある、など。


東京はこの逆だといっているのですが、それを踏まえて設問に対して回答すれば大丈夫。





このレベルの文章を速やかに構造的に処理し、求められる回答文を作成し、解答欄のボリュームに合わせて抜粋、要約する力はきちんと論理的思考を鍛えるトレーニングをしないと難しいな、と思いました。逆に、そういう仕事を日々行なっている社会人にとってはとてもやりやすい問題だと思います。(その能力に欠ける社会人が解くの難儀だと思います。)


つまり、「大人のような力を身につけろ」、ってことを入試で問うていますよね。



文章の中身に入り込むと、戦国時代、武士道、レゾンデートル、バブル、利権、など・・語彙力や歴史知識が乏しい子供には難しく感じる要素もたくさんあると思います。

ただ、上で私が解説しているように、そういった知識がなければ回答できない問いは出されていません

「おじいさんとおばあさん」、「男と女」のようにシンプルな対比構造に置き換え、文章構造を把握できるかどうかだけをみています。


そうはいっても、知らないことばかり書かれた文章や、経験したことがない価値観、視点で書かれたものは読みにくいと思います。

この程度の知識が普通に常識として備わっていることを大前提としていますね。

つまり、求められているのはお子様ではなく大人です。

SAPIX の保護者説明会などで繰り返し言われていることです。




タイトルの

「開成の国語はわかりやすい」

この意味は、

・問題のレベルが易しいということではありません。

・一般常識としての教養・知識があって、構造的に文章を捉えることができる大人、つまり、論理的思考力のある大人にとっては、とても理解しやすい。

ということでした。

ただ、大人でも、スピーディーに読解し、合格レベルの文章を作成するのは一筋縄ではいかないと思いますから、コンスタントに受かる力が身についている子はすごいです。

また、漫然と記述練習をしていては絶対に力がつかないので、論理学、論理的思考、というものをよく理解しておく必要があると思います。



これは、何年分もの過去問を解いてたどり着いた結論ではなく、わずかサンプル ”1”での私の結論です口笛

しかし、入試問題が求めていることは、より汎用的な技術、高度な論理的思考力。

仮に、何年分もの入試問題を見たとしても私の結論は変わらないでしょう。

# 選ぶ文章にはトレンドがあるでしょうけど、論理的に読み解く力があれば文章の中身なんて関係ない。

でも、子供だから中身に引っ張られるんですよね。だから、娘も「難しい、わからない」っていうんですよね。

そこが中受の難しさ。。







対比についてはこちらもどうぞ。