【国語】論理的に考える方法 | 2025 中学受験に向けて

2025 中学受験に向けて

2024年1月現在・小学5年生の娘の中学受験までの学習、活動などを綴っていきたいと思います。SAPIX には新2年生から通塾中。

 国語は論理学

 
出口さんは「国語は論理学」だといってます。
ただ、この考え方も40年前には国語教師から反対を受けていたそうです。アホですね・・・。
しかし、彼がいってることはロジカルシンキングの提唱者と何ら変わらないです。方法としての表現が少し違うだけ。

例えば、「要点とかざり」とありますが、これは抽象・具体の関係で、階層構造で表せます。下記に説明するピラミッドツリーと同じことです。否定しているわけではなく、教え方が少し違うだけで正しいと思っていますので、動画はみる価値があると思います。(1つしか見てないけど、それで十分わかります。)

 

 

 

 

国語を教えている人で論理学を背景に説明できる人は多くないと思います。その素養を持ち合わせた先生はいるのでしょうが、指導要綱に沿ってやるためにできないこともあるのでしょう。

 

 

 

論理的思考の技法を集約するとシンプルに体系化できます。
MECE (漏れなくダブりなく)、ピラミッドツリー、基本的にはこの2つに集約されると思って良いです。それを徹底的に叩き込んだほうが、はるかに国語が簡単なものになります。
 
今回は、MECE、ピラミッドツリーについて説明するとともに、「分類(仕分け)」についても説明したいと思います。論理的な分析、思考、読解のポイントは、「分類(仕分け)」が全てと言っても良いでしょう。
 
何度か言及しているテーマですので、要旨は同じです。
 
 
 

 MECE(漏れなくダブりなく)

数学の集合、包含関係をイメージするのが良いと思います。
ある事象全体を[X]とした場合、[X]は A, B の2つだけで構成されます。諸々の事象はAまたはBどっちかに入ります。
具体例を挙げると、人間の性別は男(A)か女(B)、地球上の国家は日本(A)かそれ以外か(B)、
ダブらなければ分割は幾つでもよい。分割の仕方は3つでも4つでもなんでも良いのです。
ダブるのはダメ。体は男だけど心は女、そういうことは考えません。それをやると、A、Bに重複が起こってしまうから。
 
これを国語の問題に当てはめると、
説明文対比構造で語られることが多いので、文章はA:Bで対比的に説明されます。
物語文:様々なパターンがありますが、人間関係を対比させたり(親子、金持ち/貧乏、主君と従者、自分と友人)、心情(明暗、ポジティブ・ネガティブ)を対比させるケースが多いと思います。多くの場合、物語では時間が流れているので、時間軸の概念が入ります。
したがって、【初め:終わり】のような前後関係で捉える必要が出てきます。(説明文でも、過去、現在といった時間軸が使われる場合はあります)
 
例として便利なので「対比」を挙げましたが、「並列関係」でも構いません。
全体を1−10までの整数とした場合、そこに含まれるのは 1, 2, 3, 4, ,,10 の数字です。
それぞれの数字は並列関係であって対比ではありませんから。
 
 
 
これを構造的に表したものがピラミッドツリー。
 

 ピラミッドツリー、階層構造(縦の関係):

 
[1−10までの整数]
 - 1
 - 2
 …
 -10
 
カテゴライズされている物はほとんどこの概念が使われています。
真核生物
- 脊椎動物
 ・哺乳類
 ・爬虫類
 ・・・
- 無脊椎動物
 
抽象化、具体化とは、階層の上下移動を表す言葉です。
「哺乳類とか、爬虫類、一言で言うと何?(抽象化)」 ー>「脊椎動物」「生き物」
「脊椎動物って色々あるじゃん。具体的には何?」 ー>「例えば哺乳類。さらに具体的にいうとライオンとかゾウ。」
 
抽象化の方向にいくほど、汎用性が高まりますが、内容が薄く見えてしまいます。
ただ、その中に含まれる物事に洞察が及ぶ人にとっては、全てを網羅した深みのある言葉になります。
例えば、「最後まで諦めないことが大事」ということをオリンピックのゴールドメダリストが言うと、それにまつわるエピソードがたくさん出てきます。
オリンピックの試合の中でのエピソード、代表になるまでの過程、大怪我で引退しようと思ったこと、代表に選ばれなかった時の悔しさ、など。
(↑この文章だけでも、階層構造・並列構造で表現できます。抽象的なキーメッセージを最初に述べ、例えば以降が具体例。オリンピックの試合の・・以降は並列関係。)
 
 

MECE、ピラミッドツリーの組み合わせで書かれた説明文を仕分けで読み解く

・(抽)筆者の主張
 - (具)主張を裏付けるエピソードA
   - (具)対比関係にあるB (Aの引き立て役として使われる)
 
「こうなる」と言ってさらっとまとめてしまいましたが、これができるのは、文章や単語の一つ一つを「分類」しているからです。
・これは具体かな、抽象かな?
・これはAのことかな?Bのことかな?
・筆者の持論は、Aかな?Bかな?
 
 
具体と抽象、AとB、対比関係の「箱」があるとイメージし、段落、文章、単語のレベルでどちらかの箱に入れるイメージです
 
つまり、要素の仕分け、分類です。
 
可視化するとわかりやすいです。
色を変えた棒線を引いたり(具体抽象)、⭕️❌などの符号でマーク、対比構造を把握します。
色が異なっている方が視覚的な印象が強く残ってわかりやすいのでおすすめです。
ただし、テストでは色は使えませんから、記号や線の形を使いこなせるようになる必要があります。両方できるように練習することをお勧めします。
 
論理的思考ができない、国語が苦手、と思っている人は、この分類ができていないと思います。
こればかりは、意識して練習するしかないと思います。
 
できない理由の一つに、文章の語彙や内容が難しい、知識がないということも挙げられると思いますが、「論理的な構造を把握したい」という目的に対して、難易度の高い、知識が求められる文章はノイズです。塾のテキストが難しい、新聞が難しいと思ったら、無理にそこから入らなくても良いと思います。
もちろん、入試には必要ですから、いずれはできなければなりません。
が、いきなり難しい文章でやる必要はありません。
初めて自転車に乗る子が、上り坂を自転車で上る練習を最初にしませんよね?
段階というものがあります。
まず、めちゃくちゃ簡単な文章で練習してみることで、その目的は果たせます。
 
 

 (反論) そうは言ってもさ・・・

国語って国語特有の文法を学ばないと理解できないこともあるでしょ?
と思う方もいるかもしれません。
例えば、
1. 「指示語」が何を指しているか聞かれたりするけど、それはMECEや階層とは違うでしょ?
2. 「しかし」、とか、「つまり」、とか、「あるいは」とか、接続詞を使った理解も必要でしょ?
3. 「言い換えている場所を探しなさい」という問題もあって、それこそ論理的思考力よりも読解力や語彙力がないといけないのでは?
 
違います。全部、上記の手法で論理的に説明できます
1. 「それ」という指示語は別の箇所にある「具体的なこと」を指す抽象語の「箱」です。前述の、後述の、といった表現も抽象語の箱。箱には何かものが入ります。
2. 「しかし」はAに対する逆の何かを指します。それはBかもしれないし、Aの中のことを説明している時に必要な逆の要素かもしれない。「つまり」は、言い換え。具体例は違うが、要旨としては同じことを言っている。抽象化している場合もあります。
 「あるいは」は、並列関係にある他の物事ですね。「鬼舞辻無惨に勝つには、奴より強くなる必要がある。あるいは、奴を弱らせる必要がある。」
  接続後、という国語的な表現で捉えようとするよりも、そのモノゴトの関係性が並列なのか、反対なのか、含まれるのか、そういう捉え方をする方が構造的な思考が育つと思います。
3. 「言い換え」はまさに並列関係です。
 
 
国語的表現での考え方は、理解しておく必要はあると思います。
ただ、「論理」はパズルのようなものですから、もっとシンプルに捉えることができます。
パズルが得意、数学的な思考が得意であれば、論理的な文章構造の捉え方ができる素養があるはずなのです。
 
 
次のブログでは例文を用いて対比構造の捉え方について説明したいと思います。